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韓国放審委が通信審議規定改正を強行 インターネットでの“権力批判”を萎縮

登録:2015-12-10 22:59 修正:2015-12-11 06:06
放送審議委員会「第三者申請による名誉毀損の審議」を強行 
市民社会の反対世論の意識し「公的な人物を除く」規定も 
放送通信審議委員会//ハンギョレ新聞社

 放送通信審議委員会(放審委)が通信審議規定の改正を強行し、当事者ではなく、第3者の申請や放審委の職権で、インターネット投稿を名誉毀損で審議できる道を開いた。これにより、インターネット公論の場が大きく萎縮するという懸念の声があがっている。ただし、放審委は“政治的な濫用”の可能性などに対する市民社会の強い反対世論を意識し、「公的な人物」(公人)については、第3者の名誉毀損審議の申請を制限する内容の「内部指針」も議決した。

 放審委は10日に開かれ全体会議で「情報通信に関する審議規定」改正案を議決した。名誉毀損関連の事案について被害者が直接審議を申請するようにした条項(第10条2項)を削除したことが主な内容だ。これにより、今後ネット上に投稿された文が(特定の人の)名誉を毀損したかどうかについて、第3者の申請や放審委の職権でも審議が可能となった。放審委の審議により名誉毀損に当たると判断されると、そのインターネット投稿文は削除されたり、アクセスがブロックされる。

 このため市民社会では、「審議規定の改正が、権力を批判する投稿を制御するために悪用される恐れがある」として反対してきた。例えば、政治家が他人の手を借りて、自分に批判的なインターネット投稿を名誉毀損だとして審議の申請を行い、さらに審議の結果によっては、投稿文を削除させたり遮断するために悪用される恐れがあるということだ。

 放審委は同日、「名誉毀損関連の通信審議制度の改善事項」という題名の内部指針も議決した。高位公職者、政治家、公共機関・金融機関の長、資産総額1兆ウォン(約1千億円)以上の企業の代表取締役などを「公的な人物」と規定し、彼らについては、当事者又はその代理人のみが名誉毀損審議を申請できるように制限する内容だ。ただし、裁判所の確定判決などがある場合には、公的な人物であっても申請資格の制限を設けないようにした。与党推薦審議委員6人は全員改正案と指針に同意しており、野党推薦審議委員3人は改正案には反対、指針には棄権の意思を明らかにした。

 これについて正義党言論改革企画団は「これからのインターネットには親政府は、親与党、親財閥のコメント部隊と共に、批判や反対の声を見つけて通報を濫発する通報部隊が幅を利かせることになるだろう。その結果は、権力とお金を持つ人たちに逆らわない意見だけが溢れる、インターネット公論の場の死につながるだろう」と批判した。 報道機関9社と市民団体も声明を発表し、「『公的な人物に対する例外』を設ける審議基準が明文化されていない以上、実効性が疑わしい」と指摘した。

チェ・ウォンヒョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-12-10 21:34

https://www.hani.co.kr/arti/society/media/721403.html 訳H.J

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