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韓国有権者、野党の無気力に失望し「無党派」に

登録:2015-10-30 01:07 修正:2015-10-30 06:56
ザ・ミレ研究所、有権者意識調査 
次期総選挙・大統領選挙、野党支持が半数超す 
金大中・盧武鉉政権の肯定評価高い

 韓国では保守政権に対する疲労感のため政権交代を望む世論が相対的に優勢だが、第1野党の脆弱な競争力が野党勢力の総選挙・大統領選挙の展望を暗くしていると評価された。 保守に有利な政治環境や有権者の低い政治意識を問題にするより、野党自ら支持層との一体感を高め、進歩的政策議題を掘り起こす積極的努力が至急に求められている。

歴代大統領の国政運営評価 //ハンギョレ新聞社

 28日、ハンギョレが入手した民間シンクタンク「ザ・ミレ(未来)研究所」による有権者政治意識調査の結果は、革新勢力の政治的失敗が保守優位の政治環境を指す「傾いた競技場」 によるものでなく、野党自体の無能と無気力のためという主張を裏付けている。 まず目に付くのが、歴代政権に対する評価だ。 調査結果、1997年のIMF危機以降に登場した政権のうち最も高い評価を得たのは金大中(キム・デジュン)政権で、「よくやった部分が多い」 という肯定評価が 63.3%、「できなかった部分が多い」という否定評価が36.6%だった。2位は盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権で肯定59.6%、否定40.4%だった。 一方、李明博(イ・ミョンバク)政権は肯定29.5%、否定70.5%で、朴槿惠(パク・クネ)大統領の国政運営評価(肯定32.6%、否定67.3%)にも及ばなかった。 李明博、朴槿惠政権の支持度は金大中、盧武鉉政権の半分にも及ばない。

 次期政権の理念方向に関しては、「改革指向」(50.5%)と「保守安定指向」(49.5%)に対する選好度がほぼ等しく現われた。 大統領選挙支持意向を与野の構図で尋ねると「セヌリ党を除く野党候補を支持する」という回答が53.1%で「セヌリ党候補を支持する」(46.9%)という回答を若干上回った。総選挙での支持意向も同様に「野党候補を支持する」(53.6%)という回答が「セヌリ党候補を支持する」(46.3%)という回答を若干上回っている。 研究所関係者は「野党勢力の中で言われている『傾いた競技場論』とは裏腹に、保守政権に対する疲労感の中でわずかに野党に優勢な状況が開かれている」と分析した。

 今回の調査はザ・ミレ研究所が世論調査機関マシスコンサルティングに依頼して、7月24日から8月7日まで全国の有権者800人を対象に実施した個別アンケート面接調査の結果だ(95%信頼水準に3.46%ポイント)。 同研究所は新政治民主連合内の改革指向の初当選議員・再選議員の集まり 「より良い未来」が設立した独自のシンクタンクだ。

 セヌリ党と新政治民主連合は「政党の競争力」で差が大きく開いた。 政党の単純支持率(セヌリ 38.6%、新政治民主連合 30.6%)のみならず、支持者との一体感でもセヌリ党が新政治民主連合を上回っている。 セヌリ党支持層では「長期間一貫して支持してきた」という回答が39%だったのに対し、新政治民主連合は26%にとどまった。「支持政党に満足している」という回答もセヌリ党支持層は82.8%、新政治民主連合は63.7%だった。

 党を支持する理由も偏差がはっきりしていた。 セヌリ党は「仕事がよくでき、推進力があるから」という回答が29.4%だったが、新政治民主連合はその3分の1水準の11.4%にとどまった。 これとは対照的に「党が志向する理念と哲学のため(支持する)」という回答は、新政治民主連合支持層(36.7%)がセヌリ党支持層(20.4%)より多かった。 セヌリ党に対する支持は「実利追求型」、新政治民主連合支持は「価値追求型」が多いということを示している。

新政治民主連合支持者は
「まともに闘えないでいることが問題」が圧倒的
69%に達する…全羅道地域では 77%
「長期間変わらず支持」の政党
セヌリ党39%、新政治民主連合26%で格差大きい

 支持者の忠誠度でも差が大きかった。 「好きで支持する人物が党にいるから(支持する)」という回答は、セヌリ党支持層(37.2%)と新政治民主連合支持層(35.5%)で同水準だったが、「支持政党から好感を持てない候補者が出馬した場合どうするか」という問いでは、両党の支持者間の温度差は小さくなかった。 セヌリ党支持者は「(それでも)支持政党候補に投票する」という回答が54%だった反面、新政治民主連合支持者では同じ回答が38.9%にとどまった。

 新政治民主連合の対与党関係については、全体では「何でもかんでも与党に反対することが問題」(51.1%)という回答と、「与党に対してまともに闘えずにいることが問題」(48.9%)という回答がほぼ同程度だった。しかし新政治民主連合支持層に限定すれば「与党に対してまともに闘えずにいることが問題」(69.0%)という回答が圧倒的だった。 その回答率は光州(クァンジュ)・全羅道地域では76.5%で最も高かったが、新政治民主連合に対する湖南(全羅南北道)民心の離反と関連して示唆するところが少なくないようだ。

 新政治民主連合の理念については「現在より進歩的・改革的でなければならない」という回答が55.9%で、「現在より保守的・安定的でなければならない」という回答(44.1%)より多かった。興味深い部分は「支持政党なし」と答えた無党派層の中でも新政治民主連合に対し「進歩・改革アイデンティティ」を注文した割合(63.8%)が、そうでないケースより2倍近く多かったという点だ。 この数値は新政治民主連合の支持層内部の意見分布(進歩・改革アイデンティティを好む 67.8%、保守・安定アイデンティティを好む 32.3%)と比べても大きな差はない。 新政治民主連合がアイデンティティの確保に失敗した結果、「革新的有権者の無党派層化」が深化していることを暗示する事例だ。

 チ・ビョングン朝鮮大教授は「保守政権に対する疲労度がいくら高くても、第1野党に対する一体感と忠誠度が低ければ実際の投票にはつながりにくい」として「野党は頻繁な離合集散と党名変更、一貫性のない左右蛇行のために、セヌリ党に較べて支持者が一体感を持ちにくい状況だ」と診断した。

イ・セヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/714998.html 韓国語原文入力 :2015-10-29 10:26
訳A.K(2755字)

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