本文に移動

韓国の大型スーパーに白い卵がない理由

登録:2015-06-02 10:47 修正:2015-06-02 16:43
白い卵=資料写真//ハンギョレ新聞社

 韓国で白い殻の卵を見かけることは滅多にない。大韓養鶏協会によると、市中に流通する卵の99%が赤玉だ。アメリカは正反対だ。アメリカのスーパーマーケットでは殻が白い白玉のほうが圧倒的に多い。

 なぜこうした違いが生じるのか? 卵の殻の色は鶏の品種により決まる。概して毛の色が白い品種の鶏が白玉を産み、茶色い品種が茶色の赤玉を産む。アメリカには白い鶏が、朝鮮半島には茶色い鶏が棲息するから? とんでもない。今日の世界のほとんどすべての養鶏農家は、数社のグローバル育種会社から卵を産む鶏を供給される。白玉を産む鶏にするか、赤玉を産む鶏にするかは養鶏場の主人の一存で決まる。

 栄養成分では赤玉と白玉の間に意味のある差はない。その国にどんな色の卵が多く流通するかは、偏に消費者の好みにかかっている。有色人種が赤玉を好み、白人が白玉を好むという俗説もあるが、説得力はない。米国の育種企業ハイライン・インターナショナルによると、オーストラリアとニュージーランドでも赤玉が支配的だ。ヨーロッパの中でもイギリス、イタリア、アイルランドなどでは赤玉が圧倒的に多く消費され、ドイツ、オランダ、スペインなどでは赤玉と白玉の比重が拮抗する。

茶色い卵=資料写真//ハンギョレ新聞社

 韓国の消費者が赤玉を好むようになったのは“誤解”によるものだといのが大方の見方だ。食のコラムニストのファン・キョイク氏は今年2月11日に放送されたケーブル放送「tvN」の美味しい店を訪ねる番組「水曜美食会」で、「80年代末から90年代初めにかけ赤玉を現産地卵だとする業者の“原産地マーケティング”があった」と話した。卵の生産で国内最大の流通企業「ジョイン」のノ・ジュンギ理事も「“身土不二”ブームで赤玉は地鶏が産んだ卵と思う風潮が広まり、白玉消費が次第に減った」と説明する。赤玉にせよ白玉にせよ、外来種鶏が産んだことに変わりはないのだが。

流通する卵の99%が赤玉
「茶色い卵=地鶏卵」の誤解広がる
白玉を産む品種の飼料費のほうが安い
「賢い卵」を買う消費者も増えだす

 赤玉より殻が薄くて壊れやすく、表面についた異物が目立ちやすい点も、白玉に不利に作用した。ジョインの資料によると、赤玉の殻の厚さは約0.6ミリ、白玉は約0.4ミリだ。同社のノ理事は「洗浄施設が劣悪だった頃、白玉は鶏糞など異物がつくと赤玉より目立って汚く見え、薄い殻のために壊れる比率も高く、農家で次第に冷遇されるようになった」と語る。

 洗浄および運送技術の発展で白玉の弱点が消えた今でも、赤玉に固執しなければならない理由はあるのか? 前出のファン氏は「白玉のほうが絶対においしい」と断言する。ノ理事は「卵白対卵黄の比率が赤玉は7:3、白玉は6:4になる。白玉のほうが卵黄の比重が高くより香ばしい味がする」と説明する。

 さらに重要な長所もある。ジョインが赤玉を産むロマンプラス品種と白玉を産むロマンホワイト品種の飼料摂取量を比べた結果、ロマンホワイト品種が平均16%ほど飼料を少なく食べることが明らかになった。飼料費があまりかからないだけでなく、少なめに食べ排泄も少なくなるので環境への負担も減るというのだ。

世界地域別の茶色い卵と白い卵の比率(推定、単位:%)//ハンギョレ新聞社

 ジョインは2012年から大手のイーマートと提携し「賢い卵」という名で白玉を販売してきた。飼料費が節約できた分、販売金額の一部を積み立て国内外の子供の後援事業に寄付している。ジョインは今年に入り白玉を産むロマンホワイト品種を3万羽から5万1000羽に大幅に増やした。白玉を求める消費者が徐々に増加しているためだ。その上、アメリカから白玉を輸入してきた在韓米軍が、昨年末にアメリカで流行した鳥インフルエンザの影響で輸入が止まると、直ちに国内で白玉供給業者を物色中だ。

ユ・シンジェ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-06-01 20:48

https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/693772.html 訳Y.B