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MERS感染者が8日間も日常生活…韓国当局の遅い対応が事態悪化招く

中国に出国した患者の発症特定される
中国に出国した韓国人のMERS感染が確定した29日午後、MERS感染患者が治療受けている病院の応急医療センター入口に案内文が貼られている=キム・ソングァン記者//ハンギョレ新聞社

 29日、中国で中東呼吸器症候群(MERS)の感染が確定した男性(44)が、(中国に出国する前の)19日から8日間、隔離されないまま国内で日常生活を続けていたため、保健当局の管理外にある感染者(3次感染)が発生する可能性が高くなった。保健当局はこの患者と密接な接触をした人すべてを隔離する方針だが、接触の有無が把握されない患者が発生する可能性も排除できなくなった。保健当局の初期対応の失敗と粗雑な防疫体系によりMERSの感染を拡大させた批判は免れにくいものとなった。

 中国で感染が確定したこの患者が、(韓国の病院に入院中の)父を見舞いに行ったのは16日のことで、その3日後の19日に発熱症状が現れていた。翌日の20日と21日、相次ぎ最初の患者(68)と父(76、3番目の患者)にMERS感染が確定した。保健当局の疫学調査過程で、父と姉(4番目の患者)は、この患者が病院を訪問した事実を知らせていなかった。保健当局も家族関係の把握などを粗雑に行った。このため、この患者は26日に出国する時まで、会社と自宅などを往来し、普段通り生活し続けた。発熱症状が現れた19日から8日間、患者と密接な接触をした人は多数いるものとみられ、すべての人を追跡して隔離しなければ感染拡散は防げない。クォン・ジュンウク中央メルス対策本部企画総括班長は「この患者が接触した家族、職場同僚などをすべて確認し、発病の有無を確認中」と明らかにした。

 まず患者が訪問した医療機関の医療スタッフ10人、職場同僚180人、香港に向かった航空機でこの患者周辺にいた搭乗客28人を探しだし、密接接触および発病の有無を確認する作業を始めている。また、航空機搭乗者のうち、密接接触者に分類される26人(乗務員6人、乗客20人)に対しては、帰国と同時に仁川空港検疫所に隔離することにした。

父の見舞いに行った後に発熱症状
何の統制もなく病院や会社に通う
福祉部、家族・職場同僚・乗客を隔離
接触者の把握は困難で患者急増の憂慮

 しかし、3次感染の可能性を用心深く指摘する専門家は多い。キム・ホンビン盆唐(プンダン)ソウル大病院感染内科教授は「病院や会社同僚はそれなりに管理できる接触者だが、普段通りに会った人たちが問題だ。今からでもこの患者を含み感染が確定した患者などが通った病院を公開し、その病院に通って患者と接触した可能性があるなら、自ら隔離し保健当局に申告させる必要がある」と訴える。

 中東とは異なり、最初の患者が9人にMERSを感染させたことで、韓国で伝染されやすい変種ウイルスではないかとする疑いも広まっている。ソウルのある大学病院感染内科教授は「今までの遺伝子検査結果によれば変種ウイルスの可能性は少ない。最初の患者が症状が最も重くより多く感染させる時に無防備に接触したため、感染が広がったと見られる」と指摘した。

 韓国で感染したMERS患者9人のうち、最初の患者と6番目の患者は人工呼吸器を付着するなど、多少症状が悪化した状況にある。残りの患者7人は安定した状態だ。保健福祉部関係者は「人工呼吸器を付けたとことが命に危険な状況にあるという意味ではない。2人とも酸素飽和度など検査数値は安定している。免疫力が回復すれば治療可能性が高くなる」と説明した。

 一方、KBS放送は21日、4番目のMERS確定患者と接触した取材・撮影記者など取材陣6人に、2週間自宅で待機するよう措置したことが29日確認された。また、ソウルのある大学病院は6番目の患者が応急室を訪ねて10分程診療を受けているので、医師2人と看護師5人を隔離中だ。

キム・ヤンジュン医療専門記者、キム・ソンファン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-05-29 22:05

https://www.hani.co.kr/arti/society/health/693512.html 訳Y.B