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健全な性風俗を害すのか、生計型売春は許容すべきなのか…

登録:2015-04-10 09:15 修正:2015-04-10 15:17
憲法裁判所が売春特別法の違憲審判で初の公開弁論
売春従事者の集いハント全国連合とハント女性従事者連盟会員らが9日午後、ソウル・鍾路区の憲法裁判所で開かれた売春特別法違憲審判事件公開弁論を前に、嘆願室に同法の廃止を求める嘆願書を提出している シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 自発的売春も処罰すべきか熱を帯びた論争
 法務部「性商品化が健全な性風俗を害す」
 売春女性「不法化された後に業者により隷属」

 姦通罪廃止後の売春処罰条項の運命は?

 9日、憲法裁判所で「売春斡旋など行為の処罰に関する法律」(売春特別法)の違憲法律審判の公開弁論が開かれた。違憲審判台に上がった売春特別法第21条1項は「売春をした者は1年以下の懲役か300万ウォン以下の罰金・拘留・過料に処す」と定めている。脅迫・強要があった場合を除き、買春者や業者をみな処罰し、全面的に売春を禁止する内容だ。公開弁論では現行法を維持すべきとする意見と売春女性を処罰すべきでないとする意見、制限的な許容意見が対立した。

 事件はソウル北部地方裁判所が2012年に起訴した売春女性のキム氏(44)の申請を受け入れ、違憲法律審判を推薦したものだ。当時裁判所は「代価があっても私生活領域である性行為に国家刑罰権を行使するのは過剰処罰」と明らかにした。キム氏の代理人のチョン・クァニョン弁護士は公開弁論で「売春は道徳的に恥ずべきことだが、該当法条項のために前科者にされるのは不本意だ。不法化で売春女性は業者により隷属している」と述べた。チョン弁護士は「売春は被害者がいる犯罪ではなく、売春女性を処罰する条項は違憲」と主張した。

 一方の法務部は「売春は性を商品化して健全な性風俗を害すので禁止するのは正当だ。処罰による不利益より売春拡散抑制などの公益がはるかに大きい。売春拡散は人身売買など非自発的売春も広げる悪影響が伴う」と主張した。

 中国やロシアなどは韓国のように売春業者と買春する者双方を処罰するが、スウェーデン、フィンランド、ノルウェーなど北ヨーロッパでは買春した者だけを処罰する。売春を女性に対する暴力とみなし女性を保護するためだ。ドイツとオランダは特定地域に「公娼」を導入して売春を許容している。パク・ギョンシン高麗大法学専門大学院教授は「世界的な傾向に合うよう売春女性は処罰せず、買春者の処罰の有無は社会的合意を経て決めるのが望ましい」と語る。合憲側参考人のチェ・ヒョンヒ弁護士は「ドイツやオランダで売春が合法化された後、売春する者の保護効果は微々たる反面、性的暴行、人身売買および売春市場拡大など副作用が多く発生している」と主張した。

 制限的許容論も提起された。集娼街取り締まりで彌阿(ミア)里“包青天”(宋代の名判官)と呼ばれたキム・カンジャ元ソウル・鍾岩(チョンアム)警察署長は「集娼街の女性はほとんどが社会的な弱者層だ。生計のための売春者と買春を必要とする性的疎外者が存在するので、彼女らに対し売春を許容する必要がある」と主張した。現在の国会には買春者だけを処罰する案など数件の売春特別法改正案が係留している。

 一方でハント全国連合やハント女性従事者連盟などに所属する売春業従事者882人はこの日、憲法裁判所にこの法律の廃止を求める嘆願書を提出した。違憲推薦申請当事者であるキム氏など8人は、サングラスと帽子で顔を隠し憲法裁判所前で嘆願書を朗読した。キム氏は「性労働も労働と認めてほしい。売春特別法があれば私たちの働き口がなくなる」と訴えた。

イ・ギョンミ、キム・キュナム記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-04-09 22:31

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/686212.html 訳Y.B

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