廃業・解雇に対抗し
昨年5月煙突に上って
「働ける環境整えてほしい」と対話訴える
チャ・グァンホ氏(45・写真)は1995年、25歳で韓国合繊に入社した。服の材料であるポリエステル糸を作る仕事を任されていた。経営難にあえいでいた韓国合繊は、2005年リストラをはじめ、2007年に破産した。2010年には韓国合繊を買収したスターフレックスに雇用継承された。 2011年4月、同社はスターケミカルに名前を変えた。給料をもらえたのはごく僅かな期間だけ。 2013年1月スターケミカルは経営悪化を理由に工場の稼働を停止した。1カ月後、スターケミカルは廃業を決定し、残りの労働者29人に解雇通知を行った。解雇通知された労働者たちのうち一部は、2014年5月26日慰労金を受け取って会社と合意した。これを拒んだ11人のうち一人であるチャ氏は、合意が行われた翌日の夜、45メートル高さの煙突に上った。
春の花の香りすら届かない45メートルの煙突は4月1日でも“冬”だった。この日で籠城310日目。 2011年韓進重工業の整理解雇に反対し35メートル高さのクレーンで309日間も座り込みを続けたキム・ジンスク民主労総釜山(プサン)本部指導委員の持つ歴代最長の高空籠城記録を超えた。彼はハンギョレとした通話で「一喜一憂しないと決めたはずなのに、心が痛む。早く(籠城を)終えて家族と一緒にご飯を食べる日を望んでいただけで、記録を作るために来たわけではないのに...」と言葉を詰まらせた。同じ時間彼が所属している金属労組はソウル陽川(ヤンチョン)区 木(モク)洞にあるスターケミカル親会社スターフレックスソウル事務所の前で集会を開き、「極端な事態にならないように、政府と(スターケミカル・スターフレックス)キム・セグォン社長が事態解決に乗り出す」ことを訴えた。
煙突の日常は、毎日が同じだ。朝ごはんを食べて午前中は本を読んだり安否の電話を受けたり、フェイスブックをして過ごす。午後には長い煙突の生活で訛ってしまった体を気遣って運動をする。ひと回りで25メートルの煙突の座込場を100回も行ったり来たりする。毎晩8時に妻と通話して、フェースブックに日記を書く。 「規則正しい生活」は、屋根のない煙突から雪、雨、黄砂、台風、寒さ、熱さを耐え抜くための唯一無二の自己救済策である。
これからは一日一日が、誰も望んでいない悲しい記録の延長である。チャ氏は「上ってくるとき、私たちが働ける環境が整うまでは降りないと心に決めた。こんなことでもするから、人々が関心持って応援もしてくれるが、今降りると何にもならない」と話した。
キム・ジンスク指導委員は「チャ・グァンホ氏が感じた310日は煙突の下で感じる310日よりもはるかに長い時間だったはずだ。政界と市民社会が調整役を果たせない状況で、座り込みを見守るだけというのは惨憺たる気持ちになる」と語った。
韓国語原文入力: 2015-04-01 19