2006年に結婚したキム氏(38)はソウル恩平(ウンピョン)区に新居を定めた。二部屋にリビングをかねて台所が付いた貸切保証金8500万ウォン(約900万円)の借家(小規模マンション型)だった。 子供が二人生まれ、もう少し広い空間と良い居住環境を求めて2012年に1億3000万ウォン(約1400万円)で85平方メートルの借家(大規模マンション型)を京畿道高陽(コヤン)市に得た。 出退勤を考慮してソウルから出たくなかったが、天井知らずに騰がった貸切保証金が負担になった。 2014年には勤務地が変わって世宗(セジョン)市に移った。
“脱ソウル”をする人が後を絶たない。統計庁が27日に発表した「2014年国内人口移動統計」によると、昨年一年間にソウルを離れた人口(転出人口)は計166万1400人で、1年前に比べ4万人近く増えた。 転入人口(ソウルに入ってきた人口)から転出人口を引いた純移動者数はマイナス(-)8万8000人を記録した。 全国17の特別市、広域市、道の中で純移動者数の減少幅が最大になった。 釜山(1万5000人)、大田(テジョン)(9000人)、全羅北道(2600人)が後に続いた。
ソウルを離れる動きは1990年から25年間続く流れだ。 その間、1年の例外もなく転入人口より転出人口が多かった。 ただし、その背景には多少差がある。 かつてはソウル周辺に順次建設された新都市が原因に挙げられたが、最近は月額家賃と貸切保証金価格など庶民の住宅費用の急上昇と関係づけられる。
統計庁がソウル転出人口(166万1000人)を対象にソウルを離れた理由を調べると、職業(28万8000人)、家族(37万8000人)、教育(5万4000人)、住居環境(4万3000人)等より“住宅”を理由に挙げた転出者が82万7000人で圧倒的に多かった。 統計庁関係者は「最近になって新都市人口が飽和状態になり新都市建設効果は半減しているが、貸切保証金の上昇などがソウルの外に居住者を押し出す主要要因と把握される」と話した。
人口(住民登録年央人口基準)を考慮する時、人口純流入が最も多いのは世宗市(24.2%・純流入率)だった。 済州道(1.9%)、忠清南道(0.5%)が後に続いた。 政府庁舎の地方移転が始まった2012年から3年目の昨年には、世宗市転入人口は5万7000人を記録した。