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YTN記者解雇、言論の自由より解雇の自由を優先した大法院判決

登録:2014-11-27 22:17 修正:2014-11-28 19:34
ノ・ジョンミョンYTN元労組委員長(中央)と組合員たちが27日午前、ソウル瑞草洞の大法院の懲戒無効確認訴訟上告審で棄却宣告を受けた後、裁判所を後にしている。イ・ジョンア記者//ハンギョレ新聞社

 『YTN』記者3人の解雇は正当だという大法院(最高裁)判決は、言論にとって重要な公正性と政治的中立という公的価値を守るための努力より、企業の一般的な「解雇の自由」を重視したものと受けとめられる。 2週間前、双龍(サンヨン)自動車の労働者153人の整理解雇を正当だと見た判断と流れを一にすると見ることができる。

 今回の事件では“落下傘”で就任した大統領候補特別補佐官出身の社長に対する反対行為の正当性と「経営権保護」という価値が衝突した。解雇という最も極端な人事措置が適当かも争点だった。

 2009年1審裁判所は「ニュース専門放送会社であるYTNは、公正報道の原則を遵守する責任」を前提にした。それと共に「原告の行為は、代表理事が李明博(イ・ミョンバク)大統領候補のために活動した経歴があり、公正報道原則や政治的中立が阻害されるかも知れないという憂慮から始まったものであり、公的利益を守るための動機が含まれていた点を参酌する必要がある」と明らかにした。 さらに、株主総会を妨害しク・ボンホン新任社長の出勤を阻止した行為の動機と関連して、株主総会招集過程に手続き上の誤りがあり、労使葛藤過程でク社長の人事措置に不合理な側面があったと判断した。 また、懲戒の適切性についても「社会通念上、会社との勤労関係を持続できないほどに責任ある事由があるとは見難い」と判断した。

 だが、控訴審と大法院は「懲戒対象行為に至ることになった動機と経緯に、放送の中立性など公的利益を守るという目的が含まれている事情を参酌」しなければならないとしながらも、3人には十分に解雇される理由はあったと判断した。 大法院は社長の出勤妨害、人事委の開催妨害、抗議座り込み、人事命令拒否、給与決裁妨害などは「使用者の本質的で核心的権利である経営陣構成権と経営主の代表権を直接侵害したものであり、社会通念上、雇用関係を継続できないと判断される懲戒解雇理由」と明らかにした。 そのような行動に至った経緯は無視して結果だけを重視したわけだ。

 言論界内外では、李明博政権の言論掌握過程で公営放送である『MBC(文化放送)』と『YTN』で解職者が続出したことと関連して、政治的中立と公正報道のための抵抗は言論人の重要な勤労条件に該当すると強調してきた。 ソウル南部地方裁判所は、ストライキを理由に解雇などをされた文化放送労組員44人が起こした訴訟で「報道機関の場合、民主的基本秩序の維持と発展に必須である表現の自由と国民の知る権利保障、正しい世論形成のために客観性と公正性を維持する義務がある」として、労組員の手を挙げたことがある。

イ・ギョンミ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/media/666536.html 韓国語原文入力:2014/11/27 20:13
訳J.S(1237字)

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