セウォル号事故後、海軍の救助艦である統営(トンヨン)艦の投入論議が盛んに行われていた5月、統営艦の音波探知機がマグロ漁船などに付ける魚群探知機を改良した装備に交替されていた事実が遅れて明らかになった。 核心装備である音波探知機の性能問題で海軍が統営艦の受け取りを拒否したため、防衛事業庁がまともな検査も行わずに軍用には不適切な装備を付けて海軍に渡そうとしたのではないかという疑惑が起こっている。
■魚を追う魚群探知機を装着した統営艦
チン・ソンジュン新政治民主連合議員が防衛事業庁から受け取った「統営艦/掃海艦 船体固定音波探知機関連協力会議」という文書を見ると、6月25日に統営艦導入の主務部署である防衛事業庁上陸艦事業チーム主管で、防衛事業庁試験評価2課、海軍本部通信電子技術課、大宇造船海洋関係者など18人が参加した会議が開かれた。 監査院の特別監査で統営艦と掃海艦の音波探知機の性能が著しく劣るなどの問題が明らかになり、その対策を準備するための会議だった。
会議で海軍本部通信電子技術課は「(現在)統営艦に設置されているSH90は魚群探知機として知られている装備」で軍用には使えないと明らかにした。
当初、軍需業者であるハケンコ(米国Hakenko)は統営艦と掃海艦に6219万ドル(約660億ウォン)規模の音波探知機MS3850(5台)を納品することにしていた。 だが、該当装備が要求性能を充足できなかったため海軍は統営艦の受け取りを拒否した。こうしたなかで4月16日にセウォル号事故が起き、現場に投入されないまま造船所に停泊中だった統営艦に関連して軍と防衛事業庁に対する非難の世論が沸き立った。 この頃、5月にハケンコが防衛事業庁の許可を得て統営艦に商用の魚群探知機であるSH90を搭載した。 SH90を製作したメーカーは、ホームページでSH90がマグロの群れなどを追う魚群探知機(Fish findingsonar)と紹介している。
海洋装備業者のある関係者は「軍用音波探知機と魚群探知機では目的が全く違う。 魚群探知機は下側の観側が主用途だ。 広く水平方向を探知したり、速い速度で移動する物体などを探知する必要がある軍用音波探知機より探知範囲が狭く性能が劣る。 特に商用品では軍が要求する具体的条件を満足させることはできない。 改良したと言っても限界がある」と話した。
■魚群探知機の装着過程も疑問
漁船で使う魚群探知機を統営艦に装着したこと自体が法規違反という指摘もある。 チン議員が公開した会議資料によれば、6月27日に開かれた2次協力会議で、防衛事業庁国際装備契約チームは「欠陥/瑕疵の改善は同じ機種(MS3850)で遂行すべきで、防衛事業法規および契約書上、異種品は受け入れ不可」と明らかにした。 当初付けることにしたものと異なる魚群探知機を統営艦に設置したこと自体が違法だということだ。
だが、防衛事業庁上陸艦事業チームは今年4月、統営艦を保管している大宇造船海洋側に「既存の音波探知機の性能を改良した装備を送るので、設置に協力してほしい」という趣旨の公文書を送った。 新装備は4月末に入庫され、防衛事業庁は注文した製品と納品された製品が同一であることを確認する入庫検査を行った。 こうして防衛事業庁の指揮の下、魚群探知機が軍艦である統営艦に装着されたわけだ。 統営艦と同様にMS3850音波探知機が設置された掃海艦に対してはハケンコが「技術仕様と設置性を考慮」し次第改善計画を提出すると明らかにしたが、統営艦にはセウォル号事故直後に魚群探知機を設置したことにも疑問がある。
これについて、キム・シチョル防衛事業庁スポークスマンは「海軍に早く引き渡すために新しい音波探知機(SH90)を設置したわけではない。 性能評価をして見る必要があり、ひとまず統営艦に装着しただけだ。 手続き上に大きな問題はないと考える」と説明した。また「新しい音波探知機は試験評価書もなく、海軍が要求したいかなる条件も充足できない装備なので使うことはできない水準」と話した。
問題の音波探知機の納品契約を結んだハケンコのカン・トグォン代表(43)と前職防衛事業庁職員2人は、2億ウォン(1ウォンは約0.1円)の音波探知機を41億ウォンで納品する過程で賄賂を授受した容疑などで拘束起訴された。ソウル中央地検特捜3部(部長 ムン・ホンソン)が後続捜査を進行中だが、検察・警察・国防部・監査院などが参加する大規模防衛産業不正合同捜査団を発足させる方案が政府部内で議論されている。
チン・ソンジュン議員は「軍艦である統営艦に魚を釣る魚群探知機を付けさせたということは安保を放棄するに等しい。 セウォル号以後、統営艦投入論議が広がると、自らの失敗を隠蔽しようとしたハケンコを助けようとしたものと見られる。 厳重な問責が必要だ」と話した。