ある大企業で契約職の司書として仕事をするキムさん(30)は、会社の同僚に“合コン”させてあげると言われるたびに断るのに苦労する。 キム氏はすでに2012年に結婚した“人妻”だ。 だが、結婚している事実を会社に知らせることも、婚姻届を出すこともしなかった。 司書は2年単位の契約職として採用するケースが多い。 離職が迫るなか結婚の有無が就職に影響を及ぼすと考えるためだ。
実際、キムさんは昨年職場を求めて履歴書に“既婚”と書いたが、何度も書類審査で脱落させられた苦い経験がある。 ある会社の面接では「結婚計画はいつか」という質問まで受けた。 結局、面接で脱落した。
それ以来、キムさんは履歴書に“未婚”と書き始め、すぐに書類選考と面接に合格した。 キムさんは13日「すぐにでも仕事を始めることが急務だと考えた。 周辺からも結婚することを会社は喜ばないと言われる度に、ひょっとして不利益を受けるのではないかと心配になり、婚姻届は子供産むまで後回しにすることにした」と話した。
政府は結婚女性たちの“経歴断絶”をなくすとして種々の対策を約束した。 だが、キムさんの事例のように、現実は変わっていない。 今年5月に結婚したアンさん(25)は、就職の不利益を心配して婚姻届の先送りを重ねていたが、舅姑の“圧迫”に負けて結局“法的既婚者”になった。 航空会社の乗務員試験を準備しているアンさんは「航空会社公開採用時の書類通過は重要な関門なのに、結婚している事実を明らかにして減点を受けるのではないかと心配している。 航空機乗務員学院の先生や勉強している友達も結婚に関連した質問は必ず出てくるという。 それに備えた返答も十分に準備している」と話した。
女性にとって結婚は、経歴断絶の大きな原因になる。 再就職も難しい。 キム・ジョンスク韓国女性政策研究院研究委員が先月書いた雇用動向報告書によれば、昨年基準で結婚と出産などにより経歴が断絶した女性たちが再就職するまでにかかった平均期間は9.7年だ。 平均的には27歳で経歴断絶がなされ、再就職をしたくても37歳まで待たなければならないという話だ。
キム研究委員は『ハンギョレ』との通話で「このような差別は該当企業が否認すれば確認しようがない。 韓国も米国の平等雇用機会委員会のように雇用差別を調査・是正する政府直属機構が必要だ」と語った。