北朝鮮が10日に京畿道漣川(ヨンチョン)地域から散布された対北朝鮮風船ビラを空中射撃したのは、ビラ問題に対する強硬な軍事的警告の意味がこめられている。 今回の銃撃事件がファン・ビョンソ人民軍総政治局長一行の韓国訪問でようやく準備された南北対話の雰囲気を壊さないためにも、双方には冷静な対応が必要だと指摘されている。
北側の今回の超強硬対応は、それだけ北側がビラ問題を深刻に認識していることを伺わせる。今月9日、北の対南機構である祖国平和統一委員会は、韓国の脱北者団体がビラ散布を予告すると直ちに「南朝鮮当局が今回の無法なビラ散布を許容したり黙認するなら、南北関係は再び収拾できない破局に突き進むことになるだろう」と主張した。
先月13日にも北側は“対北朝鮮ビラ散布”問題を南北対話の前提条件に持ち出し“原点打撃”を言及することもあった。当時の高位級接触の北側代表団スポークスマンは「8月から韓国のビラ散布が急増している」として「ビラ散布が開始されれば“挑発原点とその支援および指揮勢力”を即時に焦土化してしまうことを決心した」と主張した。
ある北朝鮮専門家は「ビラには北朝鮮で最高の尊称で呼ばれる金正恩(キム・ジョンウン)を誹謗している」として「北朝鮮体制の特性上、強力に抗議しなければ忠誠度が疑われるので強硬に反応している」と分析した。
北側の威嚇が増加するなか南側政府の反応は鈍かった。先月中旬、統一部は「対北朝鮮ビラは表現の自由に該当し、私的領域なので規制することができない」という立場を示した。こうした立場は最近まで続き、4日に北側最高位級代表団3人が仁川(インチョン)アジア競技大会閉幕式に参加し、第2回高位級接触の開催に合意した後に少しずつ変わる。パク・サンハク自由北韓運動連合代表が9日にビラ散布を予告した後、統一部は既存の立場を変えて散布自制を要請する電話をパク代表にしている。
今回の事態が南北関係にとり悪材になるのは明らかだが、決定的に悪影響を及ぼすかは、さらに今後の状況を見守らなくてはならないようだ。なにより北側が南側の土地や人ではなく、大型風船が飛んでくる空中目がけ発砲したという点から、警告以上の意味は込められていないと分析される。このため政府が北側の行動に明確かつ強い抗議の意を示す一方で、ビラ問題に関して国内の団体とも明確な線引きをしなければならないという指摘が出てくる。
キム・チャンス コリア研究院研究室長は「ビラが南北関係に現存する威嚇である点が明らかになった」として「地域経済に被害をもたらし、北朝鮮挑発を誘発し、南北合意に逆行することが明らかなだけに、統一部は規則などを定めてビラ問題に対する制裁に乗り出さなくてはならない」と話した。
しかし、今回の事件をめぐり南北が責任を追及して状況が悪化する場合、南北間の対話基調が壊れることもあると指摘される。 ある北朝鮮専門家は「南北が相互に射撃をくりひろげた状況なので緊張は高まるほかはない」として「北側の射撃を受けた我々がどんな措置を取るかにより、第2回南北高位級接触の成功の有無が決まるだろう」と話した。
今回は南北が比較的制限的に対応したため事態が大きくならなかったが、双方の軍部の過剰対応が続いた場合は深刻な武力衝突につながりかねなかった。休戦ラインでの対立状況がいつでも南北の“火薬庫”として爆発する現実を見せつけているのだ。
韓国語原文入力:2014.10.10 22:25