本文に移動

少数者擁護が期待された二人の最高裁判事も存在感希薄(2)

登録:2014-09-23 21:28 修正:2014-09-24 07:56
キム・ソヨン最高裁判事 //ハンギョレ新聞社

 パク・ポヨン最高裁判事は就任から3か月後の2012年4月、全国教職員労働組合(全教組)時局宣言事件有罪判決(主審キム・ヨンドク最高裁判事)に反対意見を提示した。 パク・イルファン、チョン・スアン、イ・インボク、イ・サンフン最高裁判事と共に「国家公務員法が禁止した“公務以外の集団行為”は“公益に反する目的のための行為”に限定して適用しなければならない」と主張した。 憲法上の表現の自由が、国家秩序維持より優先するという趣旨であった。 だが、少数者の権利や表現の自由など基本権を前面に出した意見は他には見られなかった。 昨年1月“借家人の賃貸借保証金に対する仮差押さえの効力が、新しい家主にまで及ぶ”とした判決で、シン・ヨンチョル、イ・インボク、イ・サンフン、キム・シン最高裁判事と共に「仮差押さえの効力は継承されないと見るのが本来の趣旨に合う」とする反対意見を出すなど、個人・法人間の紛争などだけで4件の反対意見を出したのが全てだ。

 キム・ソヨン最高裁判事は就任から半年後の昨年5月、パク氏(73)など7人が国家を相手に起こした珍島国民保導連盟事件判決で反対意見を出した。 この判決でキム最高裁判事は、イ・インボク、イ・サンフン、キム・ヨンドク最高裁判事と共に「真実究明決定は信憑性が非常に高い有力な証拠と見なければならず、明確な反証がない限りその信憑性を簡単に否定してはならない」として、多数意見に反対した。 キム最高裁判事は「離婚時に財産より借金が多くても、財産分割を請求できる」とした判決(主審パク・ビョンデ最高裁判事)では、「離婚後の生活の困難を心配して離婚を躊躇する夫婦の一方、特に女性に離婚の自由を保障するために導入された財産分割制度の趣旨に反する」として、イ・サンフン最高裁判事と共に反対意見を出した。 その他には、国有財産無断占有者に国家が弁賞金の徴収権行使とともに不当利得返還請求を相次ぎ行うことができるという判決で反対意見を出した。

 パク・ポヨン、キム・ソヨン最高裁判事が主審を務めた全員合議体事件を見れば“成績”はより一層みすぼらしい。 事案が全員合議体に回付され議論される場合には、主審裁判官の役割が絶対的なのに、二人の最高裁判事が主審を務めた全員合議体事件のうち、国民の基本権や少数者の権利、または実生活に密接な事案を扱ったのは1~2件に過ぎない。

 パク最高裁判事は昨年6月、韓国人の夫と争い、13か月の息子を連れて実家に戻ったベトナム女性の有無罪を切り分ける全員合議体事件で主審を務め、未成年者略取容疑を無罪判断するのに役割を果たした。 この事件では女性が暴行や脅迫という手段を用いずに息子を外国に連れていった行為までが未成年者略取に該当するかが争点だった。また、キム最高裁判事は昨年4月に「付加価値税が謝って算定された場合、納税者は付加価値税の取り消し訴訟を起こし、同時に減額更正も請求できる」と判断した裁判でも主審を務めた。 付加価値税取り消し訴訟と減額更正訴訟を二重に行わなければならない納税者の不便を減らした判決だ。

 二人の女性最高裁判事の“不振”は、最高裁の構成にあたり実質的な多様化を考慮しなければならないという宿題を残した。 ある現職最高裁判事は「女性や非ソウル大学出身だから進歩・改革的だろうと期待するのはナンセンスだ。 全員合議体で少数意見を出すには、誰が見てもそのような(少数者のための)透徹した生活を過ごしたり理論的な深さがあってこそ可能なことだ」と話した。 表面に現れる出身職域・地域・性別・学校を基準として多様性を評価する風土を再考しなければならない時だという話だ。

キム・ソンシク記者 (お問い合わせ (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/656349.html 韓国語原文入力:2014/09/23 08:22
訳J.S(1883字)

関連記事