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朴槿恵政権下で最高裁判事は“大勢順応型”に入れ替わった(1)

登録:2014-09-21 21:50 修正:2014-09-22 07:59
ヤン・スンテ最高裁長官 二度目の最高裁判事交替
自身の指向に合う人物を選択
‘ソウル大・50代・男性・高位裁判官’強化
イ・ヨンフン前院長時期と比較すれば
最高裁判事の多様性が無くなり
大統領の影響力も無視できず
2013年12月18日に開かれた最高裁全員合議体。この日の宣告で最高裁は通常賃金の法的基準を提示した。キム・ミョンジン『ハンギョレ21』記者//ハンギョレ新聞社

 2011年9月25日、ヤン・スンテ元最高裁判事が第15代最高裁長官の業務を始めた。 前任のイ・ヨンフン最高裁長官期に進歩的な意見を多く出し“トクスリ(鷲)5兄弟”と呼ばれたキム・ヨンナン、パク・シファン、キム・ジヒョン、イ・ホンフン、チョン・スアン最高裁判事のうち、現職はパク・シファン、キム・ジヒョン、チョン・スアン最高裁判事の3人だけだった。 その上、パク・シファン、キム・ジヒョン最高裁判事は2か月後に退任を控えている。

 1980年代に時局事件を扱い、情報機関の“協力”要請を拒否して仁川(インチョン)地方裁判所から僅か6か月後に春川(チュンチョン)地裁寧越(ヨンウォル)支所に異動措置をされたパク最高裁判事は、裁判所内少壮派の象徴的人物であったし、円光(ウォングァン)大学出身の“非主流”であるキム最高裁判事もまた労働法に造詣が深く、相対的に進歩的色彩を持っていた。 これらの後任に誰を人選するかがヤン・スンテ体制最高裁の方向を判断する試金石になる状況だった。

 ヤン最高裁長官は就任二日後の記者会見で、最高裁判事の人選について「高度な法的経験を備えた人々が必要だ」としつつも「外形的に多様性を備えることも重要だ」と言及した。 しばらくしてヤン最高裁長官はキム・ヨンドク法院行政処次長(57・司法研修院12期)とパク・ポヨン弁護士(53・16期)の二人を最高裁判事の後任に推薦した。 最高裁首席裁判研究官を務めたキム・ヨンドク次長は、法理論に明るく要職をあまねく経たエリート裁判官で、パク弁護士は漢陽(ハンヤン)大学出身で判事を経て弁護士として仕事をしていた。 子供3人を育てるシングルマザーという点も話題になった。 キム次長が“専門性”の象徴とすれば、パク弁護士は“多様性”の代表に見えた。

 だが、最高裁で少数意見を出すだろうと期待を集めたパク・ポヨン最高裁判事の実際の活動は、その期待に達し得なかった。 彼女は自身が参加した全員合議体の56判決で反対意見を5回(8.9%)出すのにとどまった。 別個・補充意見もまた5回(8.9%)に過ぎず、多数意見と少しでも異なる意見を出したケースが17.8%に過ぎなかった。 ヤン最高裁長官の就任以後、全員合議体判決に参加した最高裁判事全体の平均である23.2%(反対意見13%、別個・補充意見10.2%)にも達し得ない水準だ。

 これに反し、前任者であるパク・シファン前最高裁判事は在任期間6年間に95件の判決で反対意見を20回(21.1%)、別個・補充意見を15回(15.8%)陳述し、少数意見を出したケースが36.9%に達した。 キム・ジヒョン前最高裁判事も反対意見13回(13.7%)、別個・補充意見17回(17.9%)を出した。 多様性を代表するような外観とは異なり、パク・ポヨン最高裁判事は“多数派追従者”の一人だったわけだ。

 ヤン最高裁長官の2回目の最高裁判事人事は2012年7月にあった。 パク・イルファン、キム・ヌンファン、チョン・スアン、アン・テヒ最高裁判事が一気に退任した。 最後の“トクスリ5兄弟”であり女性であるチョン・スアン最高裁判事までが退けば、最高裁で最小限の進歩的意見までが消える状況だった。 ヤン最高裁長官はコ・ヨンハン法院行政処次長(59・11期)、キム・シン蔚山(ウルサン)地方裁判所院長(57・12期)、キム・チャンソク裁判所図書館長(58・13期)、キム・ビョンファ仁川地検長(59・15期)を後任に任命推薦した。 全員が正統裁判官・検事出身の男性だったために批判の声があふれた。 前任者時期に2人に過ぎなかった女性最高裁判事の数は1人に減る状況だった。 チョン・スアン最高裁判事は退任の辞で「憲法機関はその構成だけでも、憲法的価値と原則が具現されていなければならない」として遠まわしにこのような人事を批判した。

イ・ギョンミ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/656132.html 韓国語原文入力:2014/09/21 20:23
訳J.S(1876字)

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