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大統領選に介入した前国家情報院長 公職選挙法違反で無罪の“政治判決”

登録:2014-09-11 17:14 修正:2014-09-12 08:36
裁判所、“国家情報院コメント事件”のウォン前院長に国家情報院法違反のみ認定
大統領選挙に介入した容疑で起訴されたウォン・セフン前国家情報院長が11日午前、1審宣告を受けるためにソウル瑞草洞のソウル中央地裁に入っている。 シン・ソヨン記者 //ハンギョレ新聞社

 裁判所が2012年の大統領選挙の際の“国家情報院コメント事件”などで起訴されたウォン・セフン前国家情報院長に11日、選挙法違反に対しては無罪、国家情報院法違反には有罪を宣告した。今回の事件の核心は大統領選挙への不法介入にあったが、裁判所が政治介入だけを認め選挙法違反容疑には免罪符を与えたことにより“政治判決”という批判が出ている。

 ソウル中央地裁刑事合議21部(イ・ポムギュン部長判事)はこの日、公職選挙法と国家情報院法違反容疑で起訴されたウォン前院長に懲役2年6月、執行猶予4年、資格停止3年を宣告した。一緒に起訴されたイ・ジョンミョン前国家情報院3次長とミン・ビョンジュ前心理戦団長は懲役1年に執行猶予2年と資格停止1年をそれぞれ宣告された。

 裁判所は国家情報院心理戦団のコメントとツイッター活動が国家情報院法違反には該当すると判断した。 裁判所は「特定世論の造成を目的に国民の自由な意思表明に直接介入したことは、いかなる名分をもってしても許されず、民主主義の根幹を揺るがしたことであり罪責が重い」と明らかにした。 だが、裁判所は公職選挙法違反とは見做せないと判断した。 国家情報院の職員がウォン前院長らの指示で毎日示達を受けたイシューおよび論旨に従い、特定政党や政治家を支持または誹謗する政治関与行為をした点は認められるが、選挙法上の選挙介入疑惑とまでは言えないというのだ。 公務員の地位を利用した選挙法違反に該当するには、特定候補者の当選や落選のための行為という点が立証されなければならないが、そのような指示はなかったというのが裁判所の判断だ。

 選挙介入に関する証拠不足は、大統領府と法務部、国家情報院、検察・警察の偽証と否認などの妨害戦略によったもので、裁判所が国家機関の犯罪裁判には対応できないという限界を露呈した。 裁判所は国家情報院職員の証拠隠滅と捜査・裁判への非協力、“しらばくれ”証言に手が出せなかったわけだ。 選挙法違反に対する無罪宣告には法務部と検察首脳部の継続的妨害も一役買った。

 ウォン前院長は就任以後、サイバー心理戦団を通じて政治活動に関与して、国家情報院長の職位を利用して2012年大統領選挙など選挙に介入した容疑で昨年起訴された。 検察は7月の結審公判でウォン前院長に懲役4年と資格停止4年を求刑していた。

 ウォン前院長は大統領選挙に介入した疑いで起訴され、その一か月後には個人不正容疑で拘束起訴されたため、収監された状態で二種の容疑に対する裁判を受けてきた。 個人不正事件に関して控訴審で懲役1年2か月を宣告されたウォン前院長は、9月9日に刑期満了で出所し、この日は執行猶予を宣告されたため再拘束されることは免れた。

イ・グンヨン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/654745.html 韓国語原文入力:2014/09/11 16:07
訳J.S(1486字)

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