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韓国警察、進歩系教職員労組への圧力を強める

登録:2014-08-30 08:16 修正:2014-09-01 09:48
キム・ジョンフン全国教職員労働組合委員長が2013年9月24日、ソウル永登浦区(ヨンドンポク)の全教組事務室で記者会見を行い 「教育主体、労働者、市民と連帯して政権の全教組弾圧に対抗する」と明らかにしている。 カン・チャングァン記者//ハンギョレ新聞社

全国教職員労働組合委員長など3人に拘束令状申請
「教師の政治活動禁止」合憲決定の翌日

 教職員労組の政治活動を禁止した教員労組法と公務員の集団行為を禁止した国家公務員法に対する憲法裁判所の合憲決定が下された翌日、警察が「全国教職員労働組合(全教組)」委員長などの事前拘束令状を申請した。同労組が法外労組化されて以降、学校復帰命令に従わない教師たちに対する懲戒も始まるなど、全教組に対する強い圧迫が加えられている。

 ソウルの鍾路(チョンノ)警察署は早退闘争と教師の時局宣言を主導した容疑(国家公務員法・教員労組法違反)でキム・ジョンフン全教組委員長とイ・ヨンジュ首席副委員長と、大統領府青瓦台のホームページ掲示板に時局宣言文を載せたイ・ミンスク教師の事前拘束令状を申請した。

 教育部は時局宣言を発表したという理由などで今年6~7月に、全教組幹部と組合員355人を検察に告発している。鍾路警察署は全教組の本部とソウル支部幹部たち、市・道支部長など46人を調査してきた。警察関係者は「検察が拘束令状を申請するよう指揮した」と明らかにした。彼らの拘束は来週初め裁判所の令状実質審査を経て決定される予定だ。

 全教組の組合員たちは青瓦台の掲示板や日刊紙などに、全教組の法外労組化およびセウォル号事故問題に関連して朴槿恵大統領の退陣などを要求する時局宣言文を載せたり、早退闘争と教師宣言などの団体行動をしたという理由で捜査を受けてきた。警察は先月15日に全教組のサーバーを押収してホームページ掲示板とEメールなどを調査していた。

 全教組幹部などに対する拘束令状の請求は、前日に憲法裁判所が教師たちの「一切の政治活動」を禁止した教員労組法と公務員の団体行動を禁止した国家公務員法条項に合憲決定を下した直後になされたものだ。しかし、こうした条項の違憲性を裁判所が指摘し、憲法裁判所に違憲法律審判を請求しているだけでなく、一部の憲法裁判所の裁判官も違憲とする意見を出している状態で拘束令状まで請求するのはやりすぎで、問題になりそうだ。

 また、セウォル号特別法の協議が進行するなかで、この問題と関連する意見を表明した教師たちを強く処罰するという点で「公安弾圧」の議論も避けられない。全教組は「セウォル号事故に関連して大統領の責任を問う行為は、特定の政党を支持する党派的行為ではない。私的な利益でなく公共の利益のための信念を処罰するのは、良心と表現の自由を侵害する違憲的な措置」として捜査に反発してきた・

 全教組の未復帰教職員たちに対する懲戒議決も始まった。慶尚北道(キョンサンプクト)教育庁はこの日、「前日に開かれた懲戒委員会で、学校復帰命令に従わない全教組慶北支部のイ支部長(48・私立高校教師)とキム事務処長(44・小学校教師)に停職1か月を議決した」と明らかにした。全教組の未復帰教職員(29人)がいる全国11の市・道教育庁のなかで初の懲戒となる。

 慶尚北道教育庁が議決した停職1か月は、教育部が求めている職権免職に比べれば軽い懲戒だ。これに先立ち教育部は、学校復帰命令に従わない全教組教職員たちを職権免職するよう市・道教育庁に職務履行命令を出している。停職1か月の決定により教育部の指示に従いながら、全教組との摩擦も避ける苦肉の策とも解釈される。 慶尚北道教育庁関係者は「懲戒委員会では『職権免職は行き過ぎで教育現場に混乱をきたす恐れがある』と判断し停職を議決したと聞く」と説明した。教育界では慶尚北道教育庁の停職1か月の懲戒が、事情の似た他の地域の全教組教職員たちに対する懲戒にも影響を与えるとみている。

 全教組は懲戒についても法的対応方針を明らかにするなど反発している。全教組慶北支部は声明を出し、「道教育庁が全国で初めて懲戒を議決した理由が分からない。生徒のための教育庁なのか教育部のための教育庁なのか疑問だ」と明らかにした。

パク・キヨン記者、大邱/グ・デソン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2014.08.29 22:10

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/653463.html

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