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[現場から]‘セウォル号の真実’を回避する与党

登録:2014-07-29 01:22 修正:2014-07-29 07:17
イ・スンジュン記者

 ‘セウォル号特別法’が消えた。 与野党政治家たちが揃って「セウォル号惨事以前と以後とが違う大韓民国を作る」と声を高めたが、いつのまにかセウォル号惨事の教訓は国会から消えた。 去る24日、チュ・ホヨン セヌリ党政策委議長は最高委員会議で「これ(セウォル号惨事)は損害賠償の観点から見れば基本的には交通事故」と話した。 事故発生から100日、セウォル号惨事は大韓民国を‘革新’しなければならない歴史的転換点から、被害者に対する補償・賠償問題がかかった交通事故に格下げされた。

 チュ議長の発言当時、与野党は去る12日から2週間にわたり連日夜遅くまで交渉を続けた。交渉の過程でセウォル号被害者と遺族に対する補償・賠償、後続支援問題に対する異見を調整し、政府部署との協議まで事実上終えた状況だった。 残ったのはセウォル号惨事の真相糾明を担当する特別委員会(真相調査委)に捜査権を付与する問題だけだった。 それも新政治民主連合がセヌリ党の反対を考慮して、‘特別検事の任命を通じた調査権強化’という折衷案も出した状態だった。

 ‘なぜ突然に補償・賠償問題を提起するのか’という純真な疑問に対する答えを見つけるには長い時間はいらなかった。 イ・ワング セヌリ党院内代表はその翌日「(新政治連合の特別法案には)天文学的予算が投入される。 国民に到底説明できない」と話した。 セヌリ党が補償・賠償問題を持ち出し始めた時点は、順天(スンチョン)で40日前に発見された変死体が検察・警察があれほど騒々しく追いかけ回したユ・ビョンオン前会長だったという事実が明らかになり、朴槿恵(パク・クネ)政府と検察・警察に対する非難が一気にあふれた時期と重なる。

 続いて、25日から‘対外秘’が捺された文書がモバイル メッセンジャーとソーシャルネットワーク(SNS)を通じて広がり始めた。 セヌリ党が党内議員に送ったものだった。 文書ファイルには交渉過程で与野党合意で除いた補償・賠償、支援項目があたかも野党の現在の要求事項であるかのように含まれていた。

 セウォル号事故の真の原因を明らかにし、安全な社会を作ろうとしたセウォル号特別法の‘精神’が、7・30再補欠選挙を控えて与野党政争の具に転落したのだ。 聖域なき‘真相糾明’のためにセウォル号特別法を制定しようという遺族の訴えも、セヌリ党が持ち出した‘補償・賠償カード’で一瞬にして‘無い物ねだり’に歪曲された。

 しかし国会の玄関に出れば、今日も4人の遺族たちが猛暑の中で半月に及ぶハンストを続けている。 ハンスト座り込みを始めた24人の遺族のうち20人が病院に搬送されたためだ。遺族たちは今まで補償・賠償を要求したことはない。 今も‘事故の真実’を問うているだけだ。

イ・スンジュン記者 gamja@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/648874.html 韓国語原文入力:2014/07/28 21:50
訳J.S(1305字)

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