国外では地下水補充などの対策を実行
専門家「地下工事の際に調査を徹底的に」
ソウルなど大都市の地面があちこちで穴が空いている。何の前兆もなしに現れるシンクホール現象は、地上には高層ビル、地下には上下水道管とガス管・地下鉄が乱麻のようにからまった大都市で集中的に現れている。 人工衛星を通した地盤沈下調査も進行中だが、対策は不十分で市民の不安は高まっている。
去る24日、京畿道(キョンギド)議政府市(ウィジョンブシ)新谷洞(シンゴクトン)のあるマンション団地前の歩道が突然深さ2mの穴が出現し、通行中の女性1人が負傷した。 バス停からわずか1メートル離れたところで、ややもすれば大事故につながるところだった。 去る18日には大規模地下工事が進行中のソウル延世(ヨンセ)大学構内の道路で大きさ3平方メートル程度、深さ40センチの穴ができた。 ソウル汝矣島(ヨイド)の国会前道路でも17日と先月19日にそれぞれ深さ1.5m、3mのシンクホール現象が起きた。 最近ソウル蚕室(チャムシル)の超高層第2ロッテワールド工事現場周辺でもシンクホール現象が多数申告された。 大田(テジョン)でも道路にシンクホールが現れ、車両事故が発生した。 2012年仁川(インチョン)では大型シンクホールでバイクの運転者が死亡した。
専門家たちは地下空間の建設とこれによる地下水流出・枯渇、上下水道管の老朽化などが突然の地盤沈下の原因だと指摘する。 地下25mの地中圧力は、地表面の10倍程度だ。 地下鉄を敷設したり高層建物を建設する際に掘削をするが、この時、地盤を支えていた地下水が土と共に抜け出る。 地下水が支えていた所が空洞になりシンクホールが発生するということだ。
上下水道管の亀裂で地面の下に水路が生じ地面が崩れることもある。 議政府と国会前道路で起きたシンクホールの原因だ。 議政府の事故は付近に埋設されたマンションの浄化槽が破裂し、国会前の道路は40年を過ぎた老朽下水管に隙間が生じ土砂が傾いたために起きた。
国立災害安全研究院は昨年11月から地下水の使い過ぎによる地盤沈下を衛星で観測している。 この研究院のキム・テフン博士(地盤工学)は28日「無分別な地下水開発を抑制し、都心地の地下工事を行う際は、上下水道管情報と地盤状態を確認するなど徹底した事前調査と施工管理が必要だ」と指摘した。
集中豪雨時に酸性化した地下水が石灰岩地盤を溶かし、シンクホールが起きることもある。 ソウル市は「ソウル地域の地盤はほとんどが花こう岩・片麻岩構造」と明らかにした。 だが、イ・スゴン ソウル市立大教授(土木工学)は「超高層第2ロッテワールドが建てられる蚕室一帯は、花こう岩が多いソウル江北(カンブク)とは違い土層が深く地下水が抜ければ周辺地盤全体が沈下する可能性のある所」と話した。 イ教授は「大規模土木工事の際、交通影響評価だけするのではなく地下工事災害影響評価も考慮しなければならない」と指摘した。
外国でははるかに深刻なシンクホール現象も起きている。 昨年8月、アメリカ フロリダ州でシンクホール現象で3階建てのリゾートビルが崩壊した。 2007年アメリカ サンディエゴの住宅街でもシンクホールで住宅数十棟が崩壊した。 昨年9月、中国河北省では深さ20mのシンクホール内に16人が建物と共に引き込まれ命を失った。 2010年6月グアテマラでは都心の真ん中に直径30m、深さ60mの穴ができて建物3棟が引き込まれた。
都心のシンクホールを防ぐために地下水の人工涵養(抜け出た地下水を満たし入れる作業)の必要性も提起されている。 スイスでは地下水を抜いて使った分だけ再補充している。 ソウルでも一部の新築ビルディングは抜け出た地下水を地盤に再注入する人工涵養を実施しているが、地下水汚染の憂慮もあるため、これを制度化する方案はまだ検討中だ。
パク・キヨン記者 xeno@hani.co.kr