石村湖の水位低下・道路陥没など
ロッテの消極的な対処が住民の不安を煽る
「地盤が弱くなって建物が倒れたらどうする」
不動産市場は悪影響を恐れてひた隠し
松坡区、遅ればせながら現場調査に着手
17日午前11時30分、ソウル松坡区(ソンパグ)蚕室(チャムシル)で建設中の超高層ビル、第2ロッテワールドの工事現場周辺に労働者たちが集まってきた。すぐそばにある石村湖(ソクチョンホ)には小さなボートが浮かんでいた。今月14日からロッテワールドに雇われた2人が1日~2日おきに浮遊物を除去し、緑藻をなくす薬品処理を行なっている。石村湖管理事務所によると、「水面が低下している」事実が広く知られだし、ロッテ側が自発的に始めたものだという。湖水の水辺では、工事が始まって以来どこかに流れ出している湖の水を満たすために、ポンプで汲み上げた漢江(ハンガン)の水が注がれている。水位を4.7~4.9mに合わせるためだ。
松坡区の三田洞(サムジョンドン)に住むイム・ドギョン氏(78)、シム・ヨンエ氏(68)夫婦は、湖の脇の散策路で運動中だった。イム氏は石村湖の水位低下によると思われる道路陥没(シンクホール)について不安げに話してくれた。 「近所の人はずいぶん心配しています。基礎工事はロッテがきちんとやったのでしょうが、地盤が弱くなればどこでも沈下する可能性があるじゃないですか」。妻のシムさんが続ける。「建物が倒れたらどうしましょう。区役所や市からは何の説明もありません」。
松坡区の新川洞(シンチョンドン)に住んで30年になるチャン氏(65)も同じ考えだ。チャン氏は「今年の初めから(第2ロッテワールドの)低層部をオープンすると言っていたが、今にして思うと、ロッテはろくな準備もせずに先走っているのではないかと思う。湖の水がどうして減るのか、きちんと調査しなければならない」と話した。そして「ロッテが蚕室に占める比重があまりに大きいために、区庁や議会がロッテに自由にものを言えないのは、この町の人なら誰でも知っている」と指摘した。
建物が高くなるほど不安も大きくなっているが、住宅の不動産価格が下がるのを恐れ、口をつぐんでいるようだ。 松坡区パンイ洞のK不動産に勤務するハン室長(51)は「今のところはまだ不動産投資の問い合わせが入ってくる。しかし、誰も噂について確認できないでいるから、住民としてはロッテや松坡区役所、ソウル市の発表を信じるしかないのではないか」と述べた。
住民たちが抱える不安は、第2ロッテワールドの工事現場周辺の安全問題について、ロッテが積極的に対応しなかったために悪化した側面が大きい。 特にロッテは、石村湖の水位低下と地盤沈下現象などが第2ロッテワールド工事とはまったく関係ないという立場を繰り返すばかりで、不安感を助長させてきた。
世論が悪化するとロッテと松坡区役所は遅ればせながら収拾に乗り出した。ロッテは地盤沈下現象と関連して英国のエンジニアリング会社である「アルプ」に調査を依頼した。アルプは調査に先立ち、7月初めに石村湖周辺の現場調査を実施した。ロッテは韓国地盤工学会にも調査を依頼する計画だ。
ソウル市も、先月9日にロッテが出した第2ロッテワールドの低層部臨時使用承認申請に対し、「不備事項を補完せよ」とロッテ側に通報することを明らかにした。このため、ロッテが本開業に先だってオープンしようとしたブランド商品館など低層部は、当面はオープンできないことになった。ソウル市は「(第2ロッテワールドは)昨年から今年初めまで、装備の墜落事件、配管破裂、火災など安全関連事故が相次いで発生した。また、低層部をオープンすれば、蚕室駅交差点の交通渋滞が激しくなると予想される」として、補完を要求する理由を説明した。
チェ・ウリ、ウム・ソンウォン記者 ecowoori@hani.co.kr