2009年に会社側が実施した大規模整理解雇の真実究明を要求してきた双龍(サンヨン)自動車労組が、7月30日の国会議員再・補欠選挙にキム・ドゥクジュン(写真)支部長を立てて、国会入りを狙う。政界への問題解決要求がもはや意味がないと見て、自力救済に立ち上がるということだ。労組が出馬を決めた京畿道平澤(キョンギド・ピョンテク)乙選挙区は、雇用労働部長官時代に労組の専従者数を制限する立法を陣頭指揮したイム・テヒ元大統領室長がセヌリ党予備候補に登録したところだ。 労働政策をめぐる労・政の代理戦が激しく繰り広げられる見通しだ。
全国金属労組双龍自動車支部は25日「内部的に、キム・ドゥクジュン支部長が7月30日の国会議員再・補欠選挙に無所属で出馬することを決定した」と明らかにした。支部側は26日午前10時30分、国会政論館で出馬記者会見を開く予定だ。チョ・グク ソウル大教授が後援会長を務め、シン・スンチョル民主労総委員長など労働界及び野党側人士に共同選挙対策委員長を依頼する計画だ。
解雇労働者たちが自らの代表を直接国会に送り込むことに決めた背景には、未だに解決されないもどかしい現実がある。 2009年、双龍自動車経営側が「会社の事情が困難」として大規模な整理解雇と休職を実施しようとするや、労働者側は「危機が誇大に膨らまされている」として反発し、工場占拠ストを行なった。 結局警察に鎮圧されたが、今なお整理解雇の真実は明らかにされていない。
それでも去る2月、ソウル高裁は整理解雇者153人が提起した解雇無効訴訟の控訴審で「解雇は無効」と判決し、多少息がつけるようになった雰囲気だ。裁判所は2009年に双龍車が整理解雇の根拠として提示した会計が、期待収益は減らし損失は水増しする方式で誇張されていたことを認めた。しかし、これまでに26人の双龍自動車の労働者とその家族が自ら命を絶ったり事故に遭ったりして死亡したことからも分かるように、最高裁の判決を黙って待つには苦痛があまりにも大きい。
イ・チャングン双龍車支部政策企画室長は「これまで国政調査を要求して、与党に泣訴し野党にも頼ってみるなど、あらゆる方法をすべて動員してみた。国政調査を実施すると言ってからも1年を越えているが、いつになるか分からない。もう直接乗り出すしかない」と述べた。
関心を引くのは、イム・テヒ元大統領室長との対立構図だ。イム元室長は2010年の雇用労働部長官時代に、労組専従者数を制限する“タイムオフ”制度を導入し、複数労組がある事業場で多数労組だけが交渉権を持つ“交渉窓口の一本化”制度を導入して労働界の激しい反発を買った。<非正規職連帯会議>のオ・ミンギュ委員は「イム元長官の出馬が労働者たちの自尊心に火をつけた側面も無視できない」と述べた。
チョン・ジョンフィ記者 symbio@hani.co.kr