除隊を3ヶ月後に控えた兵長がなぜ?
特定人物を照準射撃したのか?
長期に亘り準備された犯行か?
軍、‘のろま対処’の理由は?
イム・某(22)兵長が突然同僚兵士たちに銃口を向け引き金を引いた。これに対処した軍当局の動きには少なからず疑問点が残っている。
まず除隊をわずか3ヶ月後に控えたイム兵長の‘銃器乱射’理由を明らかにするためには、直前の警戒勤務で何かがあったのか、あるいは事前に長期に亘り準備された犯行なのかが糾明されなければならない。 また特定人物を照準して撃ったのかも把握しなければならない。 苛酷行為があったか否かを切り分けられる重要な端緒であるためだ。 また‘保護関心兵士’に分類されたイム兵長の部隊内での人間関係についても糾明が必要だ。 結局、イム兵長に対する面談および各種措置の記録がなされていなければならない該当部隊の生活指導記録簿に関心が集中している。
最初の銃撃当時、他の将兵が対応射撃などの措置を取らなかった点も釈然としない。 勤務に出かける将兵や勤務から帰ってくる将兵も全く同じ量の手榴弾と銃弾を保有していたのに、イム兵長一人に完全に制圧されたわけだ。 以後30~40m離れた生活館でも何の対応もなかった点についても説明が必要だ。 当時、小隊長も生活館に留まっていたことが分かっている。 もちろんあまりに急迫した状況で発生した事件であるため対処が容易でなかった面はある。 一般前哨(GOP)の主要地点には閉回路TV(CCTV)が設置されているので今後の調査が要求される。
国防部の‘のろま対処’も疑問として残っている。 国防部関係者は「事件発生の20分後、イム兵長の南側逃走経路を塞ぐために遮断線を設定し、その周辺道路にすべての兵力を投じた」として「ややもすれば遮断線の近隣で民間人に接触する素地があり、軍警合同作戦のために22師団全地域(高城郡一帯)に危険状況に対する最高段階の警戒措置である‘珍島犬1’を発令した」と説明した。
しかし‘珍島犬1’発令時刻は事件が発生して2時間ほど経過した午後10時12分だった。 民間人統制地域ではあるが、実弾を持ったイム兵長が民間人に被害をもたらす危険を排除できない状況であったという指摘が出ている。 イム兵長の脱営以後、近隣で銃声を聞いたという住民たちの証言に対して、国防部関係者は「該当地域では北朝鮮側で山豚を撃つなど銃声が時々聞こえると承知している」と話した。
キム・ウェヒョン記者 oscar@hani.co.kr