突破口となるかと思われた三星(サムスン)電子半導体工場の白血病など職業病論議のための交渉が結局足踏みすることになりそうだ。
三星電子半導体工場の白血病などの被害者と遺族たちを代弁してきたパンオルリム(半導体労働者の健康と人権を守る会)は15日‘第3の仲裁機構’を通じた議論に反対する意向を明らかにした。 三星電子が前日 「‘職業病被害者およびその家族との合意の下で公正で客観的な第3の仲裁機構を構成し、仲裁機構で用意した合理的な方案に従い補償’せよとのシム・サンジョン議員らの要求を真剣に検討し、近い将来に公式立場を出す」(<ハンギョレ> 4月15日付8面 http://japan.hani.co.kr/arti/politics/17152.html )で明らかにしたことと関連し、「第3の仲裁機構ではなく、三星が直接パンオルリムとの誠実な交渉を通じて補償案を用意しなければならない」と線を引いたのだ。
この問題と関連して初めて経営陣が公式立場を明らかにするとして‘前向き’な立場を出すのではないかという期待を集めた三星電子は困惑している雰囲気だ。‘白血病の職業病因果関係を認める’という形でこれまでと180度変わった立場を出すよりは‘第3の仲裁機構構成による補償案準備方案を受け入れる’という側の立場発表を念頭に置いていたためと見られる。 三星電子関係者は「去る1年間、両側の意見対立で交渉がはかどらない中で、パンオルリムがシム議員と共に既存要求(2012年末)にはなかった第3の仲裁機構構成案を持ち出して期待をしたことは事実だ。 ところがパンオルリムの立場はそうでないと言われれば困惑せざるを得ない」と話した。
事態がこのようになったのは、パンオルリムとシム・サンジョン議員室間のコミュニケーション‘ミス’のためだ。 シム議員室ではパンオルリムなどとの相談をせずに第3の仲裁機構構成案を去る9日の記者会見文に入れ、パンオルリムがこれをきちんと確認できなかったということだ。
パンオルリム側は第3の仲裁機構構成がむしろこれまでの議論を‘後退’させると見ている。 三星電子が第三者仲裁機構構成などを理由に、4ヶ月ぶりに再開することにしていた交渉(16日予定)日程を先送りしたのもその例として見ており、三星電子半導体工場で起きた白血病などの職業病論議解決のための交渉が依然容易ではなさそうだ。 三星電子半導体工場の白血病などの被害者と遺族たちを代弁してきたパンオルリム(半導体労働者の健康と人権を守る会)は‘直接対話’を要求している反面、三星電子は‘第3の仲裁機構’を通した解決に重点を置いているためだ。
パンオルリムは15日声明を出して "三星は直接パンオルリムとの誠実な交渉を通じて補償案を用意しなければならない" として、第3の仲裁機構を通した議論には反対する意向を明らかにした。 前日、三星電子が "‘三星電子の公式謝罪と第3の仲裁機関を通した補償案を用意せよ’という半導体白血病家族側の提案を真剣に検討し、近い将来に公式立場を出す" と明らかにしたことと関連して、第3の仲裁機構提案はパンオルリムと家族側の意ではないと一線を画したわけだ。パンオルリム側では去る9日の国会記者会見当時、シム・サンジョン正義党議員ときちんとした意見調整ができないままに、この提案が含まれたものと説明した。 シム議員側でも "議論の客観性と合理性を企図する趣旨だけで、補償額を決める機構を作ろうという訳ではない" と明らかにした。
経営陣の初の立場表明を予告して‘前向き’な解決策を出すのではないかという期待を集めた三星電子は‘それなら何も言うことはなくなったのではないか’という雰囲気の中で事態の推移を観望している。 当初‘白血病の職業病因果関係を認める’という形に立場を急旋回するより‘第3の仲裁機構構成による補償案準備方案を受け入れる’という側に糸口をつかんでいたためと見える。 三星電子のある高位関係者は「去る1年間両側の意見対立で交渉が事実上はかどらなかったので、パンオルリムと白血病家族がシム議員と共に既存要求(2012年末)にはなかった第3の仲裁機構構成案を持ち出して、今度は問題を解決できるかもと期待した」として「パンオルリムの立場がそうではないと言われて、困惑しているのが事実」と話した。
パンオルリム側では第3の仲裁機構構成が時間を遅延させるだけの‘後退案’と見ている。 三星電子が去る9日の記者会見提案を理由に4ヶ月ぶりに16日に再開することにしていた交渉日程を先送りしようと通知したのもその例として見ている。 パンオルリムは特に、国会環境労働委員会がこの問題と関連した決議案を議論する前日に三星電子が突然公式立場を発表すると言ったことを‘焦点ボカシ’の性格と見ている。 これについてパンオルリムのイム・チャウン常任活動家は「三星が真正性を持ってこの問題を解こうと思うならば、2012年12月にパンオルリムが伝達した‘三星職業病対策準備のための要求案’に具体的な回答をしなければならない」と話した。
イ・ジョンエ記者 hongbyul@hani.co.kr