「現在は環境造成されていない・・・
赤十字の協議で解決される性格のものではない」
南の提案 性急・真正性 論難
北が6日、離散家族問題を解決するための韓国政府による赤十字実務接触提案を拒否した。政府がこれを提案した翌日だった。
北は同日午前、板門店(パンムンジョム)連絡官を通じて朝鮮赤十字会中央委員会委員長名義の電話通知文を送り、「現在は離散家族問題を協議するための南北赤十字実務接触を持つような環境と雰囲気が造成されていない」として提案を拒否する意思を明らかにしたと、統一部が伝えた。また、北は「現在の南北関係から見て、離散家族再会の定例化といった重大な人道的問題は、南北赤十字社間の協議で解決される性格の問題ではない」と主張した。
韓米連合軍事演習が行われている状況で南と離散家族問題という人道的事案を論議することは難しく、今後この問題を扱うにしても“格”の低い赤十字実務接触ではなく、多くの懸案を論議できる“高位級接触”などを通して行なうという立場を明らかにしたものだ。これに先立って北は5日午後、大統領府国家安保室に「この4日に行われた韓国民間団体のビラ散布」に抗議する内容の通知文を国防委員会名義で送ってきた。
これに対して統一部は「北が韓国側の提案に応じないことを遺憾に思う」として北の提案受け入れを再び求めた。統一部は「今後の対応策は関係機関との協議を通して立てていく」と明らかにした。大統領府国家安保室も北に答弁通知文を送り、「韓国国民は憲法で表現と集会・結社の自由を保障されており、明確な法的根拠なくこれを制限することはできない。韓国当局は高位級接触で合意したとおり、貴側に対する誹謗中傷をしていない」と明らかにした。
北が離散家族問題の解決に向けた南の接触提案を拒否したのは、「赤十字実務接触」という小さな枠では南北間の様々な重大な問題を解くことができないという意思を明らかにしたものと解釈される。先だって合意したとおり、相互関心事を責任を持って論議する高位級接触を続け、もっと大きな枠組みで話さなければならないということだ。前日の政府の実務接触提案については、南の専門家たちも「提案する内容に比べて対話の形式が小さすぎる」と指摘している。
政府が、北側が拒否する可能性の高い実務接触カードを出したことについて、ある統一部当局者は「離散家族の問題は人道的な事案であり、他の事案と連携させることはできない、というのが政府の基本的立場だ」と説明した。以前の政府と異なり、離散家族問題を食糧・肥料支援や金剛山観光再開などと連携させないということだ。問題は、離散家族問題が主に南の政府に利益となり、北にとっては別に得るものがないという点だ。
政府が離散家族問題を解決しようとする意志を持っているのか、という根本的な疑問も提起されている。朴槿恵(パク・クネ)大統領は昨年から離散家族問題の根本的解決を相次いで提起しているが、北側が希望する食糧・肥料支援や金剛山観光再開などのカードは取り出そうとしない。したがって、北としては何の成果もなく南が望む離散家族再会だけを聞き入れることは難しい状況だ。ヤン・ムジン北韓大学院大学教授は「離散家族問題の解決に対する政府の真正性が、不足しているように見える」と述べた。
政府が先月合意したように、北側に“高位級接触”を再提案するかが注目される。しかし政府は一旦、北の反応を待つ雰囲気だ。統一部のある当局者は「北に赤十字実務接触に対する再考を促したので、すぐにまた新しい提案をすることはないだろう」と述べた。
チェ・ヒョンジュン記者 haojune@hani.co.kr