ヒョン・オソク副総理兼企画財政部長官は22日 "愚かな人は何か紛争が起きれば責任を問い詰めたがる。 今重要なことは事態を収拾すること" とし、一角で提起されたシン・ジェユン金融委員長とチェ・スヒョン金融監督院長の更迭要求を一蹴した。 シン委員長とチェ院長は最近、KB(国民)・NH(農協)・ロッテなど3社の信用カード会社の1億件を越える個人情報流出事件と関連して監督失敗責任を問われている。
シン委員長とチェ院長の辞退を要求する金融消費者たちを‘愚か者’と規定したヒョン副総理の発言は、政府ソウル庁舎で経済関係長官会議を終えた後に記者たちと会った席で出た。 ヒョン副総理は「金融消費者も情報を提供する段階から慎重でなければならない。私たち皆が情報提供に同意したじゃないか」とも話した。
彼の発言は今回の史上最大個人情報流出事故に対する政府の認識を推し量らせる。 この発言が知らされた直後、国会政務委員会所属の民主党議員は声明を出し "金融会社で史上初の事件が発生したが、金融当局には責任を負う人がいない" として、シン委員長とチェ院長の辞退を要求した。
辞退圧力を受けているシン委員長はこの日午後、ソウル世宗(セジョン)大路の金融委庁舎で記者会見を行い「国民の不安と不便を解消し、情報流出に関連した責任者を厳正制裁する。 再発を根本的に遮断するために情報保有・流通・管理などを画期的に改善する」として‘金融会社顧客情報流出 再発防止対策’を発表した。 だが、この対策もやはり "中身がなくにわか作りの対策" という評価を受けている。
まず政府が出した対策には△取引終了顧客情報5年間保管△金融グループ内子会社間情報共有時顧客同意必須△システム開発など外部委託時 最高経営者(CEO)事前承認△不法情報活用金融会社に課徴金導入などが含まれた。 そのほかに△情報流出責任者に5000万ウォンの過怠金賦課△情報流出金融会社経営陣の重懲戒も含まれた。
当初、金融委は外部専門家たちが含まれた‘金融会社個人情報保護タスクフォース’を中心に十分な議論を経た後に総合対策を用意する予定だったが、大統領府が早急な対策準備を注文したことにより、わずか五日で今回の対策を出した。 議論が生煮えな状況で対策が出てきたわけだ。
特に集団訴訟制と懲罰的損害賠償制とともに、小額多数の被害が発生する事故予防に役立つ根本的制度は検討さえされなかった。 該当制度が導入されれば、金融会社など企業の過失により多数の小額被害が発生した時、被害者代表1人の訴訟(集団訴訟制)でも被害者全体が賠償を受けられ、被害者は被害額の数倍以上の賠償金(懲罰的損害賠償制)を受けることができる。 イ・ヘソン金融委中小庶民政策官は 「集団訴訟制などは制度全般に根本的な変化を呼び起こしかねない。 十分な議論が必要な事案」とし、集団訴訟制などが検討されなかった背景を説明した。
これに伴い、政府総合対策の実効性論難は避けられないように見える。 直ちに政界では、政府対策を補完する立法競争が激しくなる展望だ。 現在国会には集団訴訟制と懲罰的損害賠償制が反映された金融消費者保護法改正案(ミン・ビョンドゥ、イ・ジョンゴル民主党議員代表発議)が発議されている。
キム・ギョンナク、クォン・ウンジュン記者 sp96@hani.co.kr