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[キム・ヨンホ教授の揺れ動く東北アジア-韓国の選択(1)]右傾化アクセル踏む日本

登録:2014-01-01 00:17 修正:2014-09-03 16:42
‘バックダンス’安倍に対応、‘民族主義的反日’を越えなければならない
安倍晋三 日本総理が去る26日、A級戦犯14人が合祀された靖国神社参拝を終えて出てきている。 新華ニューシス

 尖閣諸島(中国名 釣魚島)を巡る中-日葛藤激化、その後に続いた中国の防空識別区域宣言で露わになった西太平洋秩序再編の動き、安倍晋三総理の集団的自衛権行使の動きと靖国神社電撃参拝など露骨な過去回帰行動、米国のアジア回帰政策標ぼうなど、韓半島周辺の東北アジア情勢は既存秩序を揺るがしている。 韓-日関係の専門家であり米国の対アジア政策にも精通したキム・ヨンホ教授(ハーバード大招へい教授)が各国の対外政策と実際の動きを緊急点検し、韓国が選択しなければならない道を提示する特別寄稿を3度にわたり載せる。

 去る26日偶然にも東京で安倍晋三総理の靖国神社参拝ニュース特報に接して、むしろさばさばした感じを受けた。彼の歴史観や政治哲学から見て、靖国神社に参拝することが本心であり保守本性がそのままあらわれるようにすることが、彼に対する期待や誤った判断を防げるためだ。 今後、経済活性化に対する期待のために見守っているという日本の市民社会指導者も彼の本性に接してどのように出てくるだろうか?

 米国でも相当なアジア専門家たちが 「安倍総理が2006年政治的に脆弱な総理だった時も国内極右派の誘惑にはまりはしなかったが、今ははるかに強力な総理として国内外の大きな課題が多いから、そのようなかたくなな誘惑に落ちるはずもなく、就任後およそ1年間参拝しないでいるのでないか」と評価し予想していた。 韓国は昔のことばかり言って、反対のための反対ばかりしているのではないかと言う雰囲気だった。 これで彼らも後頭部を殴られて、考えがちょっとは変わるだろうか?

 安倍のキーワードは "日本が帰ってきた"(Japan is back)だ。 安倍のバックダンス(Back Dance)はアベノミクス(Abenomics)よりアベノティクス(Abenotics)によくあらわれていて、アベノティクスの中でも政治軍事的正常国家論より‘過去事に対する正常歴史認識’の有無により一層よくあらわれている。 そして彼のバックダンスは、靖国神社にバック(Back)したところに最もよくあらわれている。 彼は日本の侵略戦争を‘自尊自衛の戦争’と規定する。 したがって村山談話(1995年当時の総理談話文)で "植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました" としたことに我慢がならなくて "侵略の定義は学者により違う" というあきれた主張をした。 そして彼の追従勢力は "日本は侵略国ではない" というプラカードを持って街頭デモを続けている。 そして保守的エピゴーネン(追従者)を前面に出して村山談話に代わる安倍談話を出すと言う。 したがって‘自尊自衛の戦争’で戦死した人を戦犯、特にA級と言うのは、使ってはならない原子爆弾のために無念に敗戦した後に勝者の勝手な東京裁判で一方的に規定したという認識だ。無念だとして憤慨までしている。 広島・長崎被爆で日本は無念にも犠牲になったという被害者意識が和やかに流れて、戦犯国家の反省気流は白雲のように漂流する。 このような立場でヤスクニに参拝するのであるから、過去の総理在任時にヤスクニに公式参拝できなかったのは‘痛恨の極み’と自嘆したのだ。 ヤスクニ公式訪問は憲法上の政治と宗教の厳格な分離原則に反することだが、米国の影響で作った戦後憲法は戦後体制の克服を推進する立場では、無視することがまた別の政治的メッセージになりうる。 このように高度で政治的な行為を 「政治的に解釈しないでくれ」とし、民俗的儀礼に過ぎないと糊塗している。 彼は就任以来、実に周到に‘ヤスクニ政治’をしてきた。 毎度ほとんどすべての閣僚を参拝させて、自身も代理人を送り供物だけ捧げる演出をしてきた。

 靖国参拝はその性格上、サンフランシスコ講和条約違反だ。 戦後、連合国中心の国際秩序に対する挑戦的性格を持つのは仕方がない。 ある人は日本保守本流のヤスクニ臥薪嘗胆について、2次大戦はまだ終わっていないとまで言う。 したがって、韓・中に劣らず米国が神経を使わなければならない問題なのだが、米国は米-日問題と見るよりは韓・中・日の問題にしようとしている。 日本は対外的にアーリントン墓地に参拝するのと同じだと糊塗を継続するや、去る10月の2+2会議に参加したジョン・ケリー国務長官とチャック・ヘーゲル国防長官が無名勇士の墓である‘千鳥が淵戦没者墓地’に参拝することにより無言のメッセージを送った。 また、日本は対内的に靖国神社に参拝するのは、韓国・中国などの内政干渉をはね除けて外交的自主権を守ることだと宣伝している。 問題はこういう話にもならない詭弁が通じるという事実だ。

靖国参拝で保守の支持を固め
韓・中敵対視→国家主義 駆り立て
市民社会の反発を静めようとする判断
秘密保護法など日本市民社会の反発
平和憲法継承を強調する日王など
‘アベノティクス’多くの難題に直面
朴大統領 東北アジア平和協力構想
米・中・日 呼応を得られず孤立 招来
各国市民社会が同調する価値を込めるべき

 結局、東京のヤスクニ コンセンサスを代表する安倍が標ぼうする‘戦後体制の克服’は、戦前体制に対する肯定的解釈世界への復帰と継承につながる。その野心は、米国が作った戦後平和憲法の改定に帰着して、憲法改定に先行して中国と北韓の安保脅威を挙げて集団的自衛権の解釈改憲を推進し、ここに米国の軍・産・政・学 複合体の後援を受けて米国政府の支持を得るという戦略だ。 ここに決定的に活用されるのが尖閣諸島紛争だ。

 私たちは尖閣諸島を巡る‘紛争の相互依存’構造に注目する。島の領有権に対する歴史地理的側面より、それを習近平政府と安倍政府がそれぞれ国内政治と国際政治に最大限に活用する政治工学が問題だという意味だ。 安倍はこれを利用して領土ナショナリズムを刺激して、国民の右傾化を企み、自身の政治的基盤を強固にして軍事大国化するということだ。 米国政府は中国の台頭に対応して‘アジアへの帰還’(Pivot to Asia)を標ぼうしているが、途方もない財政赤字に縛られて結局はジャパンマネーを利用した日本の軍事大国化で対中国抑制力を維持せざるを得ず、したがって安倍政府の戦略を支持するほかはないだろうという計算が敷かれている。 結局、経済大国日本が戦後体制の克服で戦前の歴史に対する肯定的解釈世界に復帰して、軍事大国に転化するという野望だ。 これはあたかも経済大国ドイツがナチズムに回帰しながら軍事大国化を推進するという仮想状況に比喩することができる。 事実、麻生太郎 日本副総理の 「(憲法改正は)ドイツ ナチの手法を学べばどうか」という言及や、「朝鮮人をガス室に送れ」という嫌韓デモ隊のナチ式スローガンなど、ナチ同盟国の残滓をそのままに見せている。

 このような状況で、最近 日本で特定秘密保護法が強行通過され、民主主義が後退しているという気流が広がり、市民社会の反発の動きが起きて安倍内閣の支持率が40%台に落ちた。 平和憲法継承を強調する天皇の意も平和憲法改正を推進する安倍としては負担になる。 しかも安倍の前には現在難題が山積している。 まず沖縄米軍基地移転問題がある。 沖縄住民と市民社会の反発気流が尋常でない。 消費税8%引き上げ問題もまた途方もない財政赤字のためにこれ以上先送りできなくて、断行しようとすればアベノミクスに深刻な打撃を与えかねない。 環太平洋経済パートナーシップ協定(TPP)交渉もまた、ますます難航している。 集団的自衛権に対する解釈改憲と憲法改定はより一層越えにくい課題だ。 ここで安倍総理としては、靖国神社参拝で保守的支持基盤を確実にしながら韓国および中国などとの関係悪化による保守的敵対関係を拡大することが、国家主義的雰囲気の中で市民社会の反発を鎮め今後の難題を押し進める上で有利と判断することができる。 もちろん国内外の世論が悪化すれば推進動力は落ちる。

 ヤスクニ政治を行う安倍政府としては、河野談話や村山談話にはるかに至らない水準で過去の歴史を再整理しようとしていて、韓国としてはそれよりもう一歩進んだ過去事整理が現実的課題として浮上している。 間隔が一層広がっているわけだ。 すでに2010年韓-日知識人(1000人)共同声明で‘乙巳保護条約’‘韓国併合条約’等の不法・無効を宣言したし、同様な論理で慰安婦問題に対する憲法裁判所の判例と強制徴用に対する最高裁の判例が出てきて、すでに政府を拘束しているためだ。 日本の閣僚が安重根義士を‘法律違反者’と言ったことは、韓末の種々の条約の合法性を前提にして、すべての独立活動家に対してした話であり、韓国としては国家の正統性問題であるため後退はできない。 日本は世界史において、植民地責任の代わりに植民地反動を見せた唯一の国家になるのか?

 私たちは、日本の過去事未清算が東北アジア混乱の歴史的根源という指摘に共感する。 独島(ドクト)問題や尖閣諸島問題もまた、日本の歴史清算次元で解決しなければならないという日本市民・知識人声明に共感する。 そして今、東北アジアの危機を戦争直前まで引き上げている要因はいろいろあるが、核心は安倍のバックダンスだという指摘に共感する。 今こそ安倍のヤスクニ政略を越えた東北アジアの再建築設計が切実だということに共感する。

キム・ヨンホ ハーバード大招へい教授・韓国社会責任投資フォーラム理事長

 朴槿恵(パク・クネ)政府の東北アジア平和協力構想は、米・中・日の国際戦略と結びつけることができず、対日本政策が民族主義的反日次元に留まっているという印象を与えて孤立と不信を買ってしまった。 今回の安倍総理の靖国参拝が、韓国政府を生かす‘救命綱’という指摘が出たが、そんな風に生き返って何をするのかが今緊急な課題だ。

 安倍政策批判を民族主義的反日次元ではなく、民族主義的対立次元を越えた新しいアジア秩序の建設、‘シビル アジア’の建設、あるいは現対立を越えた未来価値を込めた‘建築学概論’を見せてこそ、日本とアジアの市民勢力および改革勢力の同調を得ることができる。 米国のアジア リバランス(再均衡)政策が、安倍バックダンスと誤って絡まることになれば、アジア リアンバランス(再不均衡)政策に帰結される恐れがあるという事実も代案を持って説明しなければならない。

キム・ヨンホ ハーバード大招へい教授・韓国社会責任投資フォーラム理事長

https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/617858.html 韓国語原文入力:2013/12/31 20:04
訳J.S(4562字)

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