原文入力: 2009-05-11午前 09:17:32
‘大転換’の時代 第2部 大転換を読むキーワード
5回 労働者株主行動, カナダ ‘労働後援連帯基金’
チェ・ウォンヒョン記者
投資収益,退職年金 払い戻し…労働者,運営に参加
ケベック州, 昨年1880ヶ企業投資で12万ヶ働き口
政府, 基金出資額 30%まで 税金控除 恩恵支援して
←カナダ ‘ケベック州労働組合連盟’ (FTQ)で仕事をするブルーノ バリ(52)は連盟で運用する‘連帯基金’の長期投資者であり株主だ。1983年から今までにカナダ通貨で8万ドル(約8600万ウォン,以下カナダドル)を投資し基金株式3781株を保有している。バリは「今まで累積収益率が4.8%だから60才で引退すれば毎年1万5千ドル(1600万ウォン)程度を年金として受け取ることになる」と話した。だが彼は基金を単に老後生計の保障手段としてだけ考えているわけではない。「私が投資したお金は私自身だけでなくケベック地域の経済発展とケベック州の労働者たちのために使われる。」彼の声に基金に対する自負心がにじみ出ている。
今年でスタート26年目をむかえた連帯基金は主に労働者から投資を受け、ケベック州にある中小企業に投資する。これは地域経済を活性化させ企業をして働き口を作ったり維持するようにさせる基礎になる。基金の投資収益は出資した労働者の退職年金として還元される。カナダ政府は基金出資金に対する税制優遇により労働者の投資を誘導する。労働者としては働き口の安全性と老後保障という ‘二匹のウサギ’ を一度に得ることができるわけだ。2008年12月現在の純資産規模が61億ドル(6兆7千億ウォン)に達するこの基金には、ケベック州労働者57万5千人余りが株主として参加している。
基金資産の主人が労働者であるだけに、投資対象選定など基金運用と関連した意志決定の主体も労働者だ。計17人で構成される理事会は労働組合連盟が任命する10人、株主総会で選出される2人、そしてこれら12人が指名する各分野の外部専門家5人で構成される。労働者の利益を代弁しなければならない基金理事会は ‘労働の利益’ と ‘地域経済発展’ という資産運用原則に忠実でなければならない。連帯基金の定款は基金の主要機能を△働き口創出・維持のための事業に投資すること△労働者にケベック州の経済発展に寄与できるように経済教育を行うこと△労働者に利益になる事業に戦略的に投資することなどだと明らかにしている。こういう原則は基金が投資する企業と結ぶ投資協定にも常に反映される。基金のすべての投資は ‘社会責任投資’ に連結する構造を備えているのだ。
連帯基金は1980年代初期にケベック州を見舞った経済危機の産物だ。当時企業が連鎖倒産し失業率が10%を上回る状況が好転の兆しを見出せず、ケベック州の労・使・政代表はマラソン対策会議を開いた。雇用を増やすことに必要な投資がなされないという現実認識の下、労働界が先に出した解決策がまさに連帯基金の造成だった。‘労働者が金を出し企業に投資するから、企業は雇用を増やし政府はこれを助けろ’ という趣旨だった。こういう大妥協案を巡って労働界では「労働運動の目的を失い資本に屈服した」、企業側では「労組が過度に経営に参加しようということ」という批判を買いもした。当時、労組連盟事務総長だったペルナン ダウ連帯基金顧問は「しかし多くの人々が私たちの趣旨に共感し、政府と経営界がこれを助け合いと決定し ‘独特の実験’ を始めることができた」と回顧した。
その後4半世紀ぶりに再び襲った経済危機局面で、連帯基金の成果は危機克服の道案内の役割を果たしている。2008年末現在、連帯基金はケベック州にある1880ヶ所余りに投資をし、12万6035ヶの働き口を創り出したり維持するのに大きく寄与したと評価されている。こういう評価に力づけられ、投資した労働者らの基金に対する信頼も格別だ。ブルーノ バリは「連帯基金はケベック州の地域経済と密接に連結しているので、ケベック州の経済が完全に没落しない限り私が投資したお金を安定的に返してもらうことができるという信頼がある」と話した。
もちろんケベック州も米国発経済危機寒波から逃れられはしなかった。特に対米輸出比重が高い製造業者は大きな打撃を受けた。このために概して年3~4%を維持してきた連帯基金の投資収益率が昨年-1.2%に落ちた。しかし基金運用者などは落ち込むどころか未来を楽観する。ミッシェル アルセノ連帯基金会長は最近開かれた今年の株主総会で「私たちは長期的な持続可能性に集中しようとしている」と明らかにした。ペルナン ダウ連帯基金顧問は「景気低迷で労働者
にも厳しい時期が来ている」として「だが初めて基金を作った時のように仕事をする労働者がお金を集めて投資を作り雇用安定を後支えできる連帯基金の価値はさらに高まらざるを得ない」と話した。
モントリオール(カナダ)/文・写真チェ・ウォンヒョン記者circle@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/354237.html 訳J.S