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[朝の陽射し]一流企業を三流にする政権

原文入力:2009-04-28午前12:02:32
チョン・ナムギ記者

←チョン・ナムギ論説委員

国税庁で高位公職者になるのは空の星を取るほどに大変だ。本庁課長を経なければならず、そこで数年苦労してやっと機会が開かれる。だが本庁課長になること自体が難しく、その後にも昇進に対する保障はない。職員2万人に対して高位公職者が50人内外と、はるか遠い道のりだ。
しかし分かってしまえば難しいことでもない。権力実力者と近かったり、大統領府にさえ行ってくれば1,2段階は簡単に飛び越えることができる。人事の季節になれば請託があふれ、投書と情報提供が幅をきかすのもこのためだ。

イ・ミョンバク政府になってからはコネ作りが特に激しくなった。昇進序列ではるかに滞る地方庁課長が1年で局長に昇るかと思えば、地方庁の局長が3回も職務を変えて次長級地方庁長に昇進したケースもある。事実上、2段階を跳ね上がった格好だ。TK(大邱・慶北)という出身成分と大統領府派遣勤務という背景が不可能を可能にしたのだ。

政府が毎日のように公職者らの規律確立と公企業改革を叫んでいるが、本来公職社会の水を曇らせる主犯は大統領府だ。自ら原則と慣行を無視し、出身地域と人脈で動くなら公職社会が完全なはずがない。バックを持たない公務員たちは政権と調子を合わせなければならない。ノ・ムヒョン前大統領の金脈だったテグァン実業に対する税務調査で1年間地位を維持することに成功したハン・サンリュル前国税庁長のように。

公企業はどうなのか。職員はいっそのこと落下傘がよりマシだと話す。「経営陣がいつ変わるかも知れない不安な状況で正常業務が可能か」という話だ。 実際に韓国取引所(KRX)は政府との葛藤で1年を超えて経営不安が続いている。政府はイ・ミョンバク大統領の側近であるイ・パルソン ウリ金融持株会社会長の理事長選任を拒否したことのために、去る1年間イ・ジョンファン理事長の辞退を圧迫してきたし、うまくいかないと見るや、去る1月には取引所を公共機関に編入させる方法まで動員した。人一人、席一つのために組織を握って揺さぶる幼稚な姿だ。

公職者に対する人事は法的・制度的根拠でもある。民間企業の経営陣選任にまで介入するに至っては最早言う言葉もない。今年初め、イ・グテク前ポスコ会長を退かせ後任者を選ぶ過程で権力中枢人物たちが介入したという疑惑が代表的な事例だ。当時、何の職責もなかったパク・ヨンジュン国務総理室国務次長とチョン・シニル セジュンナモ旅行会長がチョン・ジュンサン現会長選任に見えない圧力を加えたということだ。分かる人は皆知っていることなので新しいことでもない。会長交替説,検察捜査着手,会長辞任,捜査終結,後任者指名の過程が権力者の意中を反映した明らかな総入れ替え手順だということを。

問題は国外の視線だ。先進国と呼ばれる韓国で、それも世界的な企業であるポスコの会長を、検察捜査で揺さぶって置き換えるのを見守る外国人の反応はどうだろうか?恐らく ‘韓国はまだまだ’ という冷笑だけが残ることになるだろう。

それだけか。政府はまたKTを圧迫してイ・ソクチェ前情報通信部長官を新会長に座らせた。長官時期に個人携帯通信(PCS)事業者選定不正で物議をかもした彼は、就任するやいなや一番最初に政界関係者と資質問題で落馬した公職者らを社外重役として迎え入れた。それと共にKT改革を叫んでいる。果たしてそれ相応の資格があるのか疑問だ。

ポスコとKTは各々の分野でわが国を代表する企業だ。イ・ミョンバク政権が公務員と公企業人事を揺るがすことでは足りなくて、民間企業にまで手をつけて何を得るということなのか気になる。側近何人かの席の用意が、世界市場で走っている一流企業を三流に落としてでも更に価値があるという話なのか?

チョン・ナムギ論説委員jnamki@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/352013.html 訳J.S