民主党が11日午前8時48分、記者たちに携帯メールを送ってきた。‘午前9時40分にキム・ハンギル代表が国家情報院不法大統領選挙介入事件関連緊急記者会見をする’という内容だった。 第一野党の代表が‘緊急会見’をすると言うので、取材記者たちと新聞社カメラマン、放送会社カメラ記者たちが党代表室に続々と集まった。 カメラの焦点が固い表情のキム代表に向けて合わされた。
"国家情報院の大統領選挙介入政治工作事件に対する…" キム代表は‘政治工作’という表現を使って話し始めた。 彼は「国家情報院の大統領選挙介入政治工作と警察の隠蔽・縮小の試みは憲政秩序を揺さぶる反国家的犯罪行為」として「そのうえ、法治の最後の砦でなければならない法務長官が、むしろ先頭に立って法治を遮っている」という強いトーンで会見文を読み続けた。
だが、彼の悲壮な表情とは異なり、会見が終わった後に記者の間からは 「党代表の緊急会見だと言うので、特別なメッセージがあると思ったが特別なことがないね」という不満が溢れた。 「来なければよかった」とため息をつく記者もいた。
この日の会見でキム代表は「ファン・ギョアン法務部長官の検察捜査介入と関連して長官解任建議案提出を検討する」と力説した。 また、検察がファン法務部長官の反対のためにウォン・セフン前国家情報院長を公職選挙法違反疑惑で起訴しなければ高裁に‘裁定申請’(検事の不起訴処分に従わず裁判所に不起訴処分の正否を決めてほしいと申請する制度)を出すことも検討すると明らかにした。
だが、キム代表が‘緊急’と付けた記者会見内容は、すでに去る9日民主党の‘国家情報院選挙介入真相調査特別委’と国会法制司法委員会所属議員が行った記者会見内容の繰り返しに過ぎなかった。 記者たちが「緊急だといったが新しいメッセージがないね」と指摘したのはこのような理由のためだった。
そのために党内部からもキム代表の記者会見がタイミングをのがした‘後の祭り’という指摘が出た。 真相調査特別委所属のある議員は「キム代表に9日(日曜日)に記者会見をしようといったが受け入れられず、私達で記者会見をしなければならなかった。 10日から始まった対政府質問以前にキム代表が会見を開いたとすれば、もっと良かったはずだが、どうせ党に国家情報院真相調査特別委が構成されているのだから特別委が記者会見をすれば良いではないかとキム代表が考えたようだ」として残念がった。 真相調査特別委と法司委所属議員らの判断は、国家情報院選挙介入問題を集中追及する対政府質問が始まる前日にキム代表が‘第一野党代表の重量感’を持って記者会見を行い、政府と検察、法務部に厳正な事件処理などを強力に注文していなければならなかったということだ。 党内では昨年の大統領選挙以後6ヶ月が過ぎた状況で、国家情報院の選挙介入疑惑に対する対応を強める場合、世論がどのように反応するかに対する心配のために指導部がためらっているという見解もある。
それでも第一野党の代表が記者会見を行ったので、多くの言論はキム代表の発言を記事化することを検討する雰囲気であった。 だが、この日午後になって検察がウォン・セフン前国家情報院長らを公職選挙法および国家情報院法違反容疑(政治関与)で不拘束起訴し、再び状況が180度変わった。 野党圏の要求どおり検察が公職選挙法を適用して起訴しはしたが、拘束ではなく不拘束起訴に終わったことに対する野党の反応に関心が集まったのだ。 検察の不拘束起訴以前に開かれたキム・ハンギル代表の‘緊急記者会見内容’の時宜性が低下してしまったわけだ。 キム代表の記者会見内容を別途の記事で新聞紙面に入れようとして、記事化計画をあきらめる報道機関が出てき始めた。
12日朝の新聞で、多くの言論はキム代表の緊急記者会見をまったく扱わなかったり、小さく紹介する程度に終わった。 検察の不拘束起訴決定に対する‘政界反応’を扱った記事に、キム・ハンギル代表の記者会見内容が1,2行入る水準に留まった。 さらには11日夜、南北当局間会談中止という大型イシューまで弾けたためだ。
民主党のある議員は自嘲混じりの話を吐きだした。 「党代表緊急記者会見なのに言論にまともに扱われることもないとは残念至極だ。 いっそ議員の要請どおりに9日に記者会見をあらかじめしていれば良かったものを…」ソン・ホジン記者 dmzsong@hani.co.kr