国連人権擁護者特別報告官が「名誉毀損を刑法で処罰する制度が人権擁護活動を制約している」と指摘するなど、韓国の人権状況に対して広範囲に憂慮を表明した。
2週間の訪韓で人権実態を調査したマーガレット・セカギャ国連人権擁護者特別報告官は7日、ソウル中区のコリアナホテルで出国記者会見を行い、第1次調査結果と勧告事項を発表した。刑法上の名誉毀損罪と国家保安法が、人権活動の中心的な障害物と指摘された。
セカギャ特別報告官は韓国の名誉毀損罪に対して「(名誉毀損が)刑法33条で犯罪と規定され罰金と懲役刑を科されるため、人権擁護者が活動の過程で自己検閲をさせるなど、表現の自由を制約している」と明らかにした。 名誉毀損は民法上の損害賠償責任のみを求めるようにすることで、社会的弱者が人権弾圧を批判できる「議論の道」を広げられるとの趣旨だ。実際、西ヨーロッパの多くの国々は、刑法上の名誉毀損罪が存在しない。
セカギャ特別報告官は国家保安法に対しても「政府の政策を批判する人権擁護者に、反政府団体との烙印を捺している」として、明らかな脅威がある時のみ厳格に適用することを注文した。
国家人権委員会にも落第点を付けた。セカギャ特別報告官は「人権委員会が人権擁護者をはじめとする多様な利害当事者の信頼を失い、人権増進や人権保護に重要な役割を果たせずにいる」として「独立性と専門性を確保しなければならない」と指摘した。
彼女はまた、密陽(ミリャン)送電塔建設反対の座り込みなどに言及して「現行の集会申告制は、平和的集会とデモを遮断する事実上の許可制」と批判した。文化放送(MBC)とYTN解雇記者に言及して、言論の状況についても憂慮を示した。
セカギャ特別報告官は先月27日に韓国を訪問して、警察庁、国家人権委員会、放送通信審議委員会など、政府機関と密陽送電塔座込現場、蔚山現代自動車鉄塔籠城現場などを訪問して人権実態を調査した。 セカギャ特別報告官は1次調査結果を基に最終報告書を作成し、来年3月にスイス・ジュネーブで開かれる第25回国連人権理事会に提出する予定だ。
チェ・ユビン記者 yb@hani.co.kr