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【土曜版】ニュース分析 なぜ?"資格審査" の俎上に上がったイ・ソッキ議員

登録:2013-03-29 21:04 修正:2013-03-29 23:33
「朴槿恵(パク・クネ)式マッカーシズムに民主党が動揺した格好」
イ・ソッキ統合進歩党議員は21日<ハンギョレ>とのインタビューで「国会に入ってくる前の比例代表候補時期から「あなたが従北でないという事実をあなた自ら立証しなさい」という前近代的魔女狩りに絶えず苦しめられた」と語った。 カン・ジェフン先任記者 khan@hani.co.kr

検察が党内予備選不正を解明すると言い
党員投票の全数調査までして
逆に私の容疑無しを解明した
なのに国会で資格審査とは
俗な言葉で荒唐無稽と言うしか・・・

MB政府の対北制裁失敗は
北の核実験となって現れ
これをまた制裁で解決せんとするのは
問題解決の役に立たない
そう言ったらまた従北だと・・・
本当に私は分断的思考を飛び越える
あたらしいパラダイムを語りたい

▲統合進歩党のイ・ソッキ、キム・ジェヨン議員が議員職剥奪の危機に置かれました。 セヌリ党と民主統合党が22日共同発議した資格審査案のためです。 昨年の統合進歩党比例代表不正競選疑惑と関連して二人の議員に国会議員資格があるかどうかを審査しようということですが、昨年11月に検察は不正競選の "核心" とされた二人の議員に対し、すでに疑惑がないという結論を下しました。 当事者であるイ・ソッキ議員は両党の国会議員資格審査の試みに対してどのような立場でしょうか。

「呆れてものが言えない・・・、一般の常識でこんな話がどこにありますか・・・、俗な言葉で荒唐無稽な政治的報復・・・、法的根拠もない・・・」

イ・ソッキ統合進歩党議員は「イ・ソッキ、キム・ジェヨン議員資格審査案」の話になるたびに怒りを隠すことができなかった。 セヌリ党と民主統合党は22日二人の議員に対する資格審査案を共同発議した。 "国会議員イ・ソッキ、キム・ジェヨン" は国会議員299人の "賛否投票" 結果により議員職を失う可能性がある。 資格審査案の処理には全国会議員の3分の2の賛成を得なければならない。

 イ・ソッキ議員は去る21日<ハンギョレ>とのインタビューで両党の資格審査案共同発議に対し、「セヌリ党などは今、競選不正問題を口実に私たち二人の思想検証を試みている」と抗弁した。 イ議員はまた「昨年の競選不正事態当時、朴槿恵(パク・クネ) セヌリ党非常対策委員長が私たちを指して『国家観が疑わしい』と言ったことがあるが、今回の資格審査は "朴槿恵(パク・クネ)式マッカーシズム" の結晶体だ」と話した。 イ議員とのインタビューは3月国会の最終日(22日)の前日である21日の夜、国会議員会館で二時間にわたり行なわれた。

19代国会は第2の維新国会か

-セヌリ党と民主統合党の資格審査案発議に対する批判世論が相当なものだが、当事者であるイ議員はまだこれといった発言をしていない。 理由があるか?

 「昨年 "比例代表競選の不正問題" が起こって数ヶ月間、私と関連した(批判的)記事が1万件以上出てきた。 見解と立場が異なるなら討論でもしてみるのだが、事実関係に立脚しない批判と主張が(統合)進歩党に対する全面的弾圧になっていった。 進歩党の立場としては非常に劣悪なマスコミ環境だった。 今も時期が良くない。 韓半島上にB-52戦闘爆撃機が飛び核潜水艦が入ってくるという、6・25(訳注:韓国戦争)以後最も深刻な戦争危機状況を(セヌリ党が)不純な理由で利用できる時期なので、発言は非常に慎重にしている。」

-資格審査の表面的根拠は比例代表競選の不正問題だ。

 「二つの巨大政党はすでに昨年6月、第19代国会開院交渉過程で進歩党の比例代表競選不正疑惑を理由に資格審査をすることで合意している。 ところが検察が、数ヶ月間かけて政治弾圧に近いホコリはたき式捜査を行ない、逆説的にも昨年11月、私たち二人には不正競選と関連したいかなる疑惑もないという事実を確認させてくれた。 検察までが無嫌疑の事実を立証したにもかかわらず、1年経って再び資格審査をすると言い出したのは理解できないことだ。」

-民主統合党はこの前の総選挙の時、統合進歩党と野党圏連帯までした政党だ。 民主党が資格審査案発議に同意した理由は何だと見るか?

 「これは民主党のアイデンティティとも関連がある問題なのだが、民主党が本当に第一野党なのか、疑問だ。 昨年の競選不正問題の際、進歩党に対し韓国政治史に残るほどの大規模な思想攻勢がかけられた。 この時、民主党が動揺したのではないかと思う。 途方もない規模の思想攻撃に対する恐怖と、その恐怖の上に立った政治工学的計算が資格審査案の発議につながったようだ。」

-民主党に対し、恨めしい気持ちはないか?

 「恨めしい気持ちというより、民主党は賢明でないと思う。 アカ論争の最大の被害者が他でもない民主党の精神的支柱ともいうべき金大中前大統領だった。 盧武鉉前大統領も地域主義など韓国社会を支配してきた誤った偏見に全身を投じて挑戦した。 このような精神が野党性の根拠であり民主党の力の源泉だった筈だが、今の民主党にはこのような原則がなく、その結果、その時その時政治工学により足をすくわれるのだ。」

-資格審査案発議にどのように対応するか?

 「今回の資格審査論議で19代国会は第2の維新国会であることを自認する格好になった。 恥辱の国会として歴史に残るだろう。 政治的見解の異なる国会議員を第2、第3の資格審査対象にすることはないだろうと、誰が自信を持って言えようか。 議会民主主義の根本を破壊する非常に危険な試みだ。」

 -統合進歩党の比例代表競選不正疑惑は、昨年の党の内紛と分党、検察捜査、そして現在の二人の議員に対する資格審査につながった。 当時<参与党系>では競選自体に問題があったので競選で選ばれた人々全員が辞退しようという意見を出し、イ議員など党権派はこれを拒否した。 その選択が依然として正しかったと見るか?

 「今日の定規で過ぎた日のことを話すのは科学的でない。 当時の<参与党系>の『皆が責任を負わなければならない』という主張は、誰も責任を負わないようにしようという話と同じだ。 全く同じことが再び起きるとしても、誰が不正選挙をやったかについての真実は明らかにしなければならない。 真実糾明なしで政治的責任を云々するのは進歩の価値に反することだ。 進歩の力は真実を守るところから生まれる。」

-当時の立場は変わっていないということか?

 「私たちの主張をどのように明らかにするのが良いのか、方法論は再検討が可能だろうが、原則は依然として有効だと見る。 真実を知らせるのに相当な時間がかかったし、その期間はとても苦痛だったが、進歩党事態の本質は既に明らかになっているではないか。 キム・インソン教授が『加害者と被害者が入れ替わった』と表現したが、事態の本質を正確に描写したものだ。」

大衆的進歩政党、路線は正しかったが…

 昨年11月15日、最高検察庁公安部は同年3月に行なわれた統合進歩党比例代表競選と関連した捜査結果を発表した。 全国14の検察庁で総勢1735人を捜査して20人を拘束起訴、442人を不拘束起訴にした。 この過程で統合進歩党は20万人の党員名簿を検察に奪われ、3万5000人の党員の投票事実を顕わにせねばならなかった。 拘束起訴された20人は他人名義の携帯電話を利用したり、さらにはコールセンターまで設けて組織的不正投票をしたケースだったが、モバイル投票の方法を知らない妻や身動きが困難な父親のために単純に代理投票したケースは不拘束起訴処理した。 検察が当初標的にしたイ・ソッキ、キム・ジェヨン両議員の名は起訴者名簿になかった。 検察捜査結果が出るやIT専門家のキム・インソン漢陽(ハニャン)大兼任教授は「候補者までが加担した唯一の組織的不正事例は<参与党系>が犯したものであるにもかかわらず、その犯罪行為の当事者が疑惑を提起し、調査委員になって偽りの報告書を作ることによって、進歩党だけでなく進歩陣営全体を壊滅させた」と指摘した。

-昨年11月の検察の捜査結果が真実に符合するということか?

 「検察には進歩党の真実を論じる資格すらない。 約1800人を召還調査し462人を起訴する過程で、癌で闘病中の人や子供のいる母親にまで手錠をかけて連行した。 検察捜査は真実性如何より進歩勢力弾圧のために悪行を犯した事例といった程度に記憶するのが良い。」

- "加害者と被害者が入れ替わった" という表現は検察捜査結果を根拠としたものではないか?

 「検察は私を起訴しようとして党員投票結果を全数調査した。 不正選挙の疑いを見つけようとシラミつぶしに探したが、結局拘束どころか立件さえできなかった。 検察は私の無嫌疑を明らかにした。 逆説的に。」

-イ議員は統合進歩党創党当時、統合に最も積極的だった。 その時イ議員が期待した大衆的進歩政党建設の夢は遠のいた状況だ。 ところで統合進歩党の態度を見れば "大衆的" 進歩政党が可能なのかという懐疑を抱く人も多いようだ。

 「初め<参与党系>と統合する時も、一部の党員は『ユ・シミンと手を握っていいのか。 彼は党を分裂させる人だ』と警告したし、不正競選事態以後も一部では『それ見たことか、予想したとおりだ』と言った。 だが私は依然として、大衆的進歩政党の路線は正しかったと見る。 私たちが昨年統合進歩党を作ったあと、総選挙で政党得票基準で10.3%(220万余票)を得票したではないか。 進歩政党の脆弱地域だった首都圏と湖南(ホナム)でもそれぞれ4議席と3議席を得た。 大衆的進歩政党路線の正当性は総選挙ですでに検証されている。 問題は路線ではなく路線を実現する方法だった。 私たちが省察しなければならない部分だ。」

-競選不正を理由に持ち出した資格審査は実際には従北狩りの道具になるだろうという指摘も出ている。 "従北主体思想派" という指摘を認めるか?

 「政治的反対者を除去しようとする非常に暴力的な攻撃手段であり思想攻撃だと見る。 中世に横行した魔女狩りの論理は『おまえが魔女でないという事実を自ら立証せよ』というものだったが、そのような前近代的暴力が2012年の私たちに加えられたのだ。『あなたが従北でないならば自らその事実を立証しなさい』というふうに。」

-イ議員本人は従北ではないというのか?

 「このように見るべきだ。 最近韓半島情勢が非常に険悪になっているが、私たちの党は戦争を防止するには南北間の葛藤を解消し対話しなければならないと促している。 戦争に反対するのが従北ならば、戦争をそそのかす勢力はいったい何か。」

-従北という単語の辞書的意味は「北に追随する勢力」ということである筈だが、従北の概念が拡張し続けているようだ。 "従北主体思想派" から "従北左派" 、 "親盧従北" という言葉まで使われている。 "従北の拡張" にイ議員と旧民主労働党などが寄与したのではないかという指摘もあるが。

 「韓国社会で 従北狩り拡散の問題は、それを利用する支配勢力があって、それが社会的影響力を持つためだ。 政府の論理に反対すれば従北だと責め立てるが、政治的反対者に打撃を与えようとする論理に私たちは利用された。 例をあげてみよう。 私たちは対北問題(北の第3次核実験を指す)と関連して北を制裁しようとする国連とは考えが違う。 北を規制する方式で問題を解くことはできない。」

カメラを向ければ必ずその質問だった

-統合進歩党が北に対してもう少し明確な態度を取ろうとしないから、進歩陣営全体に従北の疑いをおっかぶせているという指摘についてはどう考えるか。 例えば民主党が資格審査案に合意した背景には、統合進歩党に対して明確な線を引かなければ自分たちまで従北にされる可能性があるという危機感が敷かれているという分析もあるが。

 「質問の趣旨は分かるが、見解の違いを思想攻撃に変身させるのは別の問題だ。 昨年北が衛星を打ち上げた時、制裁しなければならないという主張が出てきた。 私たちは反対した。 制裁に反対する見解には多様なスペクトラムと数万の根拠があり得る。 科学者としての反対もあり得るし、私たちがナロ号を打ち上げたから反対するという見解もあり得るし、様々な解釈があり得るのに、制裁に反対したということだけで従北と規定して思想攻撃を浴びせるのは危険で暴力的なことだと考える。」

-ロケット発射にともなう北制裁の意見に反対した根拠は何だったか?

 「制裁は南北関係を平和的に解きほぐすのに役立たない。 李明博政府の5年間、すべての南北間交流を絶って制裁と圧迫と攻勢の方式に固執したのが失敗に終わったという事実は今回の核実験を通じてあらわれた。」

-何の脈絡もなく最近の北の第3次核実験に対する立場、3代世襲に対する立場を執拗に尋ねるのは "従北狩り" が横行する今の韓国の現実では思想検証と感じられ得るという指摘に一部同意する。 しかしその一方で、イ議員もまた制度圏政治に足を踏み入れた以上、対北問題に対する具体的立場を明らかにしなければならないという指摘もある。

 「実際に昨年途方もない暴力的攻撃を受けた。 すべてのマスコミ媒体の質問がそれ(北の3代世襲に対する見解)だった。 カメラを向けたと思ったら必ずその質問だった。 ある媒体を通じて「北の体制を見る際に、韓国と米国の視角ではなく北内部の視角で接近する必要があるというソン・ドゥユル教授の内在的接近論に共感する」と話したところ、従北だと批判された。 それが遠い昔のことでなく、ほんの昨年のことだった。」

-統合進歩党は制度圏政治勢力だ。 もし執権した場合、対北問題に対してどんな態度を取るのか、北の問題に対してどんな政策を展開するのか、大衆は判断の根拠を要求することができる。 これを明らかにしないならば、それによって不利益をこうむることもあり得るのではないか?

「韓国社会が要求する答は白と黒しかない。 白か黒かの論理が支配する現実でそのような質問を繰り返しすることが望ましいかどうかについては、一度一緒に考えてみたいと思う。」

-金大中前大統領もアカ論争の被害者であった。しかし北に対する自身の見解を積極的に明らかにした。

 「李正姫(イ・ジョンヒ)代表でさえ現在集中砲火を浴びているではないか。 さらには対北制裁に反対し平和を語ろうと言ったという理由で、ある団体が国家保安法違反の疑いで告発した。 これが今私たちが処している現実だ。 本当に、私は既存の分断的思考を跳び越える新しいパラダイムを語りたい。」

-そのような時期がやってくるだろうか。 李明博政府の5年、全く変化がなかったし、朴槿恵(パク・クネ)政府がスタートするやいなや両議員に対する資格審査をするという状況なのに。

「このような疎通欠如と国民を統制対象と見る政府ならば、5年は予測し難い。 ただし独裁政権を克服した国民が、歴史の退行の前で決して座視しはしないと思う。 変わると思う。」

チェ・ソンジン、ユン・ヒョンジュン記者 csj@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/579359.html 韓国語原文入力:2013/03/23 13:34
訳A.K(6396字)

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