22日検察が600億ウォン台の横領容疑で不拘束起訴されたチェ・テウォン SK会長に対し、裁判所が宣告できる最低刑量である懲役4年を求刑したことは、この事件でチェ会長の主導的役割を立証しようとしていた検察の‘自己否定’にほかならないと言える。 検察はこの日の結審公判で「容疑否認」、「証拠隠滅」、「偽証教唆」等、チェ会長に不利な求刑理由ばかり強調しておきながら、求刑は懲役4年に過ぎなかった。当初捜査チームが提示した求刑量についての意見を検察首脳部が握りつぶすなかで、検察の求刑論理内で‘矛盾’が生じたのではないかという疑問が提起される。
■ 検察、100分間 チェ会長叱責
この日公判に出席した検事は求刑に先立ち論告文を読みあげ、“チェ会長はきちんとした教育を受けた役職員を総帥一家の不法行為に加担させて犯罪者にし、苛酷な経済危機の状況で事実上賭博に近い先物オプション投資をした”としてチェ会長が今回の事件の‘主犯’であるという主張を明確にした。 また“チェ会長はSKグローバル事件ですでに組織的証拠隠滅を行ない、執行猶予を宣告された後に赦免された。 これを通じて反省するのではなく、捜査機関の捜査を妨害して証拠隠滅をしてもかまわないという、法を守らないでもかまわないという認識を持つようになったのだ。 これは法の上に君臨しようとする財閥の姿、‘リヴァイアサン’の姿を見せるもの”として強く叱責した。
100分間にわたりなされた検察の論告中に、チェ会長の刑量を割り引くに足る「有利な情況」は一つもなかった。 にもかかわらず裁判所は勧告刑量の最低量を求刑したために、論告の内容と求刑量の「不一致」が発生した。 最高裁の量刑基準は横領・背任額が300億ウォン以上の場合、基本刑で懲役5~8年、減軽刑で懲役4~7年を勧告しているが、最も低い4年を求刑したのだ。 一般的に裁判所は検察の求刑より低い刑を宣告するので検察は裁判所の勧告刑量より高い刑量を求刑する。 裁判所関係者は“宣告する時、懲役3年以下であれば執行猶予が可能だ。 求刑量が懲役4年なら執行猶予宣告が可能な求刑だ”と話した。 検察の求刑量が5年以上なら裁判所も執行猶予宣告に負担を感じるが、この日の求刑量は事実上検察が先に執行猶予の道を開いておいたことになる。
■ SKの前で小さくなる検察
チェ会長に対する検察の「お目こぼし」はキム・スンヨン 韓火(ハンファ)グループ会長のケースを見るだけでも鮮明に対比される。 キム会長は2004~2006年、自身の弟(妹)と母親が所有する企業の不良を解消するためにグループ系列会社に不法に支払保証人にならせる方式等によりグループに4856億ウォンの損失を与え(背任)、秘密資金造成を通じて23億ウォンの脱税をした容疑で不拘束起訴された。 この業務を主導したホン・ドンオク前韓火グループ財務チーム長(現 ヨチョンNCC社長)等も同じ容疑で不拘束起訴された。
検察はキム会長に懲役9年を求刑したが、これは裁判所勧告刑量のほとんど最高量に当たる。 ソウル西部地方裁判所は去る8月、キム会長の容疑の一部を無罪としながらも懲役4年の実刑を宣告した。 裁判所が刑量を低くしたが、執行猶予が不可能な刑量だった。
これで財閥会長が法廷拘束されるという一定の‘成果’を上げたが、それでも検察はキム会長に対する厳罰の意志を崩さなかった。 検察はソウル高裁で先月開かれたキム会長の控訴審初公判で“キム会長は犯行を否認していて、全く反省しておらず、責任をホン・ドンオク社長に転嫁している。 大企業総師の犯罪で‘当て馬’(訳注:誰かが代わりに責任を取ること)の慣行が容認されてはならず、最高裁量刑基準により懲役12年8月から20年までが宣告されるべきだ”と主張した。
SK事件と韓火事件は構造が似ている。 捜査チームは数百億ウォンの会社資金を横領し先物オプションに投資した口座はチェ・ジェウォン首席副会長のものだが、事実上チェ会長の指示によりなされたと結論を下した。 検察が見るにチェ会長は“犯行を否認し全く反省していない”にもかかわらず、キム会長とは異なりチェ会長にだけ最低刑量を求刑する寛大さを見せたわけだ。
これに先立ち検察は、1400億ウォン台の背任容疑で起訴したイ・ホジン 前テグァングループ会長にも懲役7年を求刑したことがあり、イ前会長は1審で懲役4年6月を宣告された。
キム・テギュ、パク・テウ記者 dokbul@hani.co.kr