実務交渉 事実上 失敗…文候補側に特使提案
夜 パク・ソンスクが手ぶらで戻るや決心固める
23日午前11時40分、安哲秀候補がソウル公坪洞(コンピョンドン)のキャンプに姿を現した。 前日、文在寅(ムン・ジェイン)候補と2時間にわたる非公開会合をした以後、すべての日程を取り消して以来初めて言論の前に立った。 カジュアルなジャンパー姿の安候補は記者たちに「二日間、ご苦労様です。 夜もよくおやすみになれずに…」と挨拶した後、6階の候補執務室に上がった。 普段と変わらない表情だった。
安候補も眠れなかった。 22日、文候補と単一化方式を談判する直前に安候補には3つの選択肢が報告された。 ‘１案:候補間交渉、２案:安哲秀辞退、３案:文在寅譲歩’がその核心内容だったと参謀が伝えた。 安候補は二日間にわたり１案と３案を貫徹しようと努力したが、思い通りにはならなかった。 単一化はすでに秒読み段階に入っていた。 彼は結局２案を選択した。
候補間談判では文候補から何の約束も受け取ることができなかった。 解き難いもつれは翌日まで続いた。 単一化交渉団は事実上荷物をまとめた状態であった。 安候補は午前にパク・ソンスク、キム・ソンシク、ソン・ホチャン共同選対本部長、チャン・ハソン国民政策本部長などキャンプ核心人士と今後さらにできることを熟考した。 候補らから全権を委任された‘単一化特使’ラインを最後に稼動させることにした。 パク・ソンスク本部長が昼から文候補側のイ・インヨン議員と額を突き合わせた。 特使談判だった。
安候補は終日公坪洞のキャンプに留まっていた。 午後3時30分、ホ・ヨン随行チーム長と外に出た。 歩いて10分の鍾路(チョンノ)警察署で、候補登録に必要な犯罪経歴証明書の発給を受けるためであった。 キャンプ5階に用意された記者室には安候補が交渉力を高めるために‘瀬戸際戦術’を使うのではないかという観測が走った。 この時、すでに辞退の決心がなされていたか否かは確認できなかった。 3時50分頃、再びキャンプに戻り「早かったでしょう？」と言って笑った。 文候補に会う計画を尋ねると「連絡をもらわなければね」と答えた。 ‘単一化特使’がどんな答を持ってくるのか、待ってみなければならないという意だった。 安候補が待っていたパク本部長は夜6時15分頃に帰ってきた。 候補の全権を任された特使談判結果も同じだった。 最後の交渉が失敗に帰した瞬間だった。
安候補は特使の対話でも難題が解けないならば辞退する決心をしていたようだ。 国民に約束した期限があり、それでも簡単には受け入れ難い世論調査ルールの前で選択できる道は２つだけであった。 一旦、無所属で候補登録をした後にその後を模索するか、あるいは候補職を放棄することだった。 無所属で候補登録をした瞬間、彼はもう二度と帰ってくるのが難しい橋を渡った形になる。 安哲秀のスタイルに似合う方法ではなかった。 彼は後者を選んだ。 9月19日の出馬宣言文がそうだったように、「政権交替のために白衣従軍します」で始まる辞退記者会見文を自ら書き始めた。 安哲秀候補キャンプを出入りする記者たちが単一化交渉の難航のために長い夜になるだろうと予感して夕食をとっていた時間だった。
安候補のユ・ミニョン スポークスマンと文候補のチン・ソンジュン スポークスマンの緊急ブリーフィングが夕方7時50分に予告された。 両者が同時に行うということは交渉決裂の可能性が大きかった。 両側の共同発表以後、ユ スポークスマンは「私たちとしては物理的に世論調査が難しいという結論に到達した。 8時20分に安哲秀候補の立場発表がある予定だ」と付け加えた。 記者室に集まっていた200人余りの記者の中で‘候補職辞退’がその内容だろうと正確に把握した人々はきわめて稀だった。 安哲秀ソウル大融合科学技術大学院長の最初がそうだったように最後も同じだった。 心にも無いことまで包装して話す普通の政治家とは違い、最後までまったく心を表わさない新しいタイプの政治家が登場した。 安候補は辞退記者会見で自らを政治家と規定しつつ「大統領になって新しい政治を繰り広げることも重要だが、政治家が国民の前でした約束を守ることが何よりも大切な価値と考える」と語った。 キム・ボヒョプ、キム・ウォンチョル、ソンチェ・ギョンファ記者 bhkim＠hani.co.kr
訳J.S(2107字)
