去る12日ソウル市瑞草区(ソチョグ)瑞草洞(ソチョドン)に「庶民のための法律サービス」を標榜した法務法人<イェユル >が開業した。 所属弁護士10人のうち8人が今年2月法学専門大学院(ロースクール)を卒業したロースクール1期生だ。
彼らは独特の実験を始めた。 持ち家がなく月収350万ウォン(個人所得)以下の人には訴訟の種類および規模と関係なく受任料を150万ウォン以下のみ受取ることにした。 多くの法務法人および個人弁護士が離婚訴訟や単純刑事事件でも最低300万ウォンを受取るのと比較すると「半額受任料」なわけだ。 普通訴訟額が1億ウォンを越えれば500万ウォン、場合によっては1000万~2000万ウォンを受取るなど訴訟規模により受任料が跳ね上がることを考慮すれば、間違いなく低価格受任料だ。
交通事故など2000万ウォン以下の小額訴訟に限り100万~200万ウォンの受任料を受取る法務法人がまれにあったりはするが、事件の種類・規模と関係なく依頼人の経済状態だけを見て受任料を決める法務法人ができたのは初めてだ。
<イェユル>のキム・ウン(43)弁護士は「ロースクール導入の趣旨は庶民と中産層が法律サービスを気軽に利用できるように弁護士事務所の敷居を低くすることだ。 私たちがうまく定着できれば全体的な弁護士受任料が下がり、その恩恵が国民に戻る」と話した。
これまで中産層は法律サービスの提供を受ける道が制限されていた。 大韓法律救助公団は月収260万ウォン(個人所得)以下の低所得層の訴訟代理を引き受けている。 訴訟金額が2000万ウォンなら50万ウォン程度の費用だけを受取る。 しかし月額260万ウォン以上の所得があれば、このような援助を受ける方法がなかった。 低所得層に比べて活発な経済活動を行う過程で各種の法的争いにまきこまれる可能性がより大きいとはいえ、国内法律市場は高額受任料を中心に形成されており、法律救助公団は低所得層に対してのみ援助を行なっている状況だ。 法律救助公団広報チーム関係者は「<イェユル>のような法務法人ができるならば、私たちの公団から支援を受けられない月収260万~350万ウォン水準の人々が数百万ウォンの受任料負担を減らすことが出来るなど、大いに役立つだろう」と話した。
ソウル地方弁護士会が運営する「公益弁論活動」(プロボノ)プログラムでも2000万ウォン以下の小額訴訟に限り50万ウォンの受任料を受取っているが、利用件数が昨年150件余り、今年11月までで120件余りにとどまり有名無実だという指摘が出ている。
匿名を要求したある弁護士は「小額訴訟でも難しい事件ならば時間が多くかかるが、法律救助公団の場合ひとりが処理する件数がとても多くて長い時間を投資することが難しいし、プロボノの場合でも長い間集中するのは容易でない」と話した。 キム・ウン弁護士は「庶民と中産層の訴訟を主に扱う法務法人では、低価格の受任料でも誠実に弁論に臨むだろう」と話した。
専門家らはロースクール卒業者の登場と共に法律市場にも変化が訪れると見ている。 2009年全国25の大学でスタートしたロースクールは今年2月に初めて卒業生を輩出したが、このうち弁護士試験を通過したのは計1451人だ。 ハン・サンヒ建国(コングク)大法学専門大学院教授は「高い授業料のためにロースクールが貴族学校という批判も受けているが、ロースクールの多くの学生たちはエリート意識が希薄で一般国民の目線に合わせて法律サービスを提供しようとする意志が強い。 彼らが今後多様な変化を主導していくだろう」と話した。
チョン・ファンボン、キム・キュナム記者 bonge@hani.co.kr