検察・警察などが要求すれば名前と連絡先など加入者個人情報を無条件に渡していたインターネットポータルの慣行に、裁判所が初めてブレーキをかけた。
ソウル高裁民事24部(裁判長キム・サンジュン)は18日、個人情報を自身の同意なしに警察に渡したネイバーを運営するNHNを相手に、チャ・某(32)氏が起こした損害賠償請求訴訟で「NHNは50万ウォンを支払え」として、原告が一部勝訴した。 裁判所は判決文で「個人情報提供行為により原告が精神的苦痛を受けたことは明白で、被告もそのような事情を十分に知ることが出来だろう」と明らかにした。また、ネイバーが加入者個人情報を渡した根拠となった旧電気通信事業法第54条第3項(現83条3項)に対しては「一般的な捜査協力義務を確認しているだけなので、電気通信事業者が従わなければならないいかなる義務もない」とし、ただし「個人情報を提供するかどうか、およびどの範囲までの個人情報を提供するかに関する細かい基準を用意して、個人情報保護のための十分な措置を取る義務がある」と判断した。
チャ氏は2010年、柳仁村(ユ・インチョン)元文化体育観光部長官がキム・ヨナ選手の肩をたたくと、すぐにキム選手がこれを避けるシーンを編集した「回避ヨナ」動画を、インターネットからコピーしてきて自分が加入していたカフェに上げ、柳元長官から告訴され、警察の捜査を受けた(ハンギョレ 10月9日付10面)。当時、NHNは警察の要求によりチャ氏の住民登録番号と注所、名前、電話番号などを渡した。これに対しチャ氏はNHNを相手に損害賠償請求訴訟を起こしたが、一審裁判所(ソウル中央地方裁判所民事48部 裁判長イ・ウネ)は「被告は法令と業務処理指針により、人的事項を提供した」として原告敗訴判決を下したことがある。
今回の判決は、8月23日に憲法裁判所が該当法律に対する憲法訴訟を却下した趣旨と一脈相通じる。憲法裁判所は当時「この事件の法律条項は、電気通信事業者に利用者通信資料を合法的に提供できる権限を付与しているだけであり、いかなる義務も賦課していない」と判断した。
判決に関してNHNは「実際の捜査機関の要請に対して事業者がこれを拒否することは容易ではない状況」として「今後、通信資料提供が厳格な基準の下に制限的に行われうる方法を議論し、早期に発表する」と明らかにした。 チェ・ソンジン韓国インターネット企業協会事務局長は「先の憲法裁判所の却下決定が通信資料提供の可否に関する企業の裁量を認めたので、状況に応じた個人情報提供基準案を論議中」としながら「今回の判決と共に事業者に責任を問えるようになったので、現行法を遵守しながらも利用者の権利を保障する適切な基準を用意する」と話した。
原告の弁護を引き受けたパク・ジュミン弁護士は「今回の判決により通信事業者は、警察の要請という名分の下に加入者個人情報を意のままに提供することはできなくなった」として「事業者は今後、個人情報をより一層積極的に保護しなければならないだろう」と話した。ポータルなどの通信事業者は、昨年、1日平均1万6000の加入者電話番号を検察と警察などに提供した。
キム・ソンシク記者 kss@hani.co.kr
韓国語原文入力:2012/10/19 08:58
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/556504.html 訳M.S(1355字)