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‘透明人間’時間講師の残念な死 二度と起きないように

https://www.hani.co.kr/arti/culture/religion/547133.html

原文入力:2012/08/14 20:04(1714字)

時間講師 処遇改善‘講師法’
教員地位制限など かえって改悪
"学者らが闘争を疎かにしている" 指摘も

"どうか今回の会期内に法案(高等教育法改正案)審査を終結させて下さい。 ‘透明人間’たちのいわれなき犠牲がこれ以上起こさないために。"

  先月亡くなったイ・ソンヒョン ソウル大ラテンアメリカ研究所研究教授は、2008年にある日刊紙のコラムで時間講師を‘透明人間’に比喩した。 大学教育の40%ほどを担当すると言うのに、普段はよく見えないが死を通じて社会にその存在を知らせる透明人間。 時間講師のつらい人生を赤裸々に期日した彼の文から無念さがにじみ出ている。

  著名な中堅学者であったイ・ソンヒョン研究教授もやはり専任教員だったことがない。 ソウル大地域研究センター(現、国際大学院)で仕事をして優れた研究業績を積んだが、教授任用では落馬した。 3年間にわたり非専任教員として働いた梨花(イファ)女子大からも釈然としない理由でついに専任にはならなかった。 学界では地方大出身という彼の学閥が影響を与えたものと察している。 安定した席を占められないまま研究に没頭した過程で体験したストレスは胃癌と大腸癌につながり、彼はついに53才の年齢で亡くなった。

  このような事情を考慮すれば、彼がコラムを通じて時間講師が死を持って投じたメッセージに共鳴したことは少しも変でない。 我が国社会の時間講師に関する法は学者集団全体に関する法の基準線であるためだ。 リュ・スンワン博士は「学者が処した根本環境は全く同じだ。まさに学者に学問を許容しないシステム」と話した。

  イ・ソンヒョン教授だけでなく、朝鮮大講師として仕事をして教授の椅子一つを得るのに "1億5000万ウォン、3億ウォン" という遺書を残して自殺したソ・ジョンミン博士、ハイデッガー研究の権威者だったが時間講師と研究教授を転々として突然亡くなったシン・サンヒ博士など学者の相次ぐ死は同じ原因から始まった‘社会的他殺’ということだ。

  雇用不安に苦しめられた時間講師の相次ぐ死は、2010年講師処遇改善などのための‘高等教育法改正案’(別名‘講師法’)が発議される契機になった。 昨年末国会を通過したこの法は、現在施行令準備手順を踏んでいる。 しかし教員としての講師の地位を制限するなど、本来の趣旨に正面から逆らって改悪されたという批判が出ている。 実際、去る8日に教育科学技術部が開こうとしていた施行令公聴会は韓国非正規教授労組の反発で失敗に終わった。

  イム・スングァン非正規教授労組委員長は「通過した法は大学が専任教員を拡充せずに、兼任教授・招へい教授のような非専業講師だけを使っても教員確保率を満たせるようになっている」と指摘する。 「少数の専業講師だけに講義を集中配当する代わりに多数の非専業講師は以前よりさらに劣悪な状況に陥ることになるだろう」という憂慮だ。 そのため労組側は「まず講師を専任教員として100%補充し、専任教員になる必要がない人々は‘研究講義教授’に含ませ一律的な処遇改善を保障せよ」と主張している。

  別の意見もなくはない。 非正規教授労組とは異なる立場で去る4年間、国会前でテント座り込みを続けてきたキム・ヨンゴン全国大学講師労組代表は韓国非正規教授労組側の‘研究講義教授’提案がかえって‘教授社会の非正規職化’をより一層あおりたてると批判する。 非専業講師が量産されるだけでなく、既存の専任の席さえも非正規職である研究講義教授に代替されかねないということだ。

  キム代表は「問題の核心は講師が実質教員地位を確保することなのに、学者までが自己検閲に陥って闘争を疎かにしている」と話した。 現在、全世界で講師に教員地位を与えていない国は韓国・フィリピン・インドネシアなどごく少数だ。

チェ・ウォンヒョン記者

原文: 訳J.S