原文入力:2012/08/07 08:03(4409字)
←警察装備と類似の盾、ヘルメット、こん棒などで武装した外注警備業者コンテクタス所属職員が先月27日未明、暴力を振るいながら京畿道(キョンギド)安山(アンサン)のSJM工場に押しかけている。 金属労組SJM支部提供
[ニュースの深層] SJM外注警備暴力事態の再構成
緻密に準備された企画だった。 先月27日、数十人の労組員が負傷を負った京畿道(キョンギド)安山(アンサン)、半月工業団地の自動車部品会社SJMの外注警備暴力事態は会社と外注警備業者の事前謀議、警察のほう助の中で意図された手順を踏んだ。 取材過程で出会った多くの外注警備業者関係者たちと警察の調査結果を土台にSJM暴力事態を再構成した。
■ 7月15日 "若いのをちょっと集めてほしい"
6年間にわたり‘フリーチーム’(少なくて数人から、多くて数十人で構成された外注警備集団)を引っ張ってきたKチーム長は去る7月15日「若いのをちょっと集めてほしい」という連絡を受けた。 2500人を集めて‘大宇自動車’に入ると言っていた。 外注警備企業らは常時雇用している警備員はいくらもいないため、大きな仕事があるときはフリーチームとアルバイト生を集める。 これという説明もなしし、現場投入が二度も延期されるや休暇を控えたKチーム長は‘作業’から抜け出ることにした。
約束された27日、下請けガードマンが集まった事業場は大宇自動車ではなかったという事実はKチーム長も言論報道を通じて知った。 彼は「分かってみればセキュリティー維持のために嘘をついたようだ」と話した。 集結場所も何回も変わった。 最初に集まることにした場所はソウル、汝矣島(ヨイド)であった。 集合を先送りした業者が再び知らせてきた集結地は麻浦(マポ)、上岩(サンアム)ワールドカップ競技場だった。 「大規模人材をソウルから仁川(インチョン)、文鶴(ムナック)競技場に連れて行ったのは恐らく大宇自動車に行くフリをするためだったのだろう」とKチーム長は伝えた。
全国各地から麻浦(マポ)、上岩(サンアム)ワールドカップ競技場に集まった外注警備職員は計1500人に及んだ。 SJM工場に入ったコンテクタスと万都(マンド)工場3ヶ所に入ったジウォンガードなどの外注警備企業等が毛細血管のような全国のフリーチームをかき集めたと推定される。 彼らは仁川(インチョン)、文鶴(ムナック)競技場に移動した後、バスに分乗して再びマンドの平沢(ピョンテク)・文幕(ムンマク)・益山(イクサン)工場など金属労組事業場へ向かった。 これに先立ちソウル、蚕室(チャムシル)に集まった外注警備200人余りもSJM工場で向かった。 このように大規模な外注警備が組織的にストライキ事業場を掌握したことは初めての出来事だった。
■ 7月25日‘平均日当16万ウォン’契約書 印鑑
SJMとコンテクタスが実際に契約書を作成したのは現場投入の2日前である7月25日だ。 正確な契約内容は知らされていないが、コンテクタスが動員したあるフリーチーム長は 「推定だが少なくとも50億ウォンの契約」と語った。 昼・夜16時間働くものと計算して雇用された外注警備職員が受け取る平均日当は16万ウォン水準だ。 現場に投入された人員は250人だが、待機人員まで計算して300人程度の余裕を持って契約を結ぶ。 通常外注契約が3ヶ月単位でなされることを考慮して計算すれば54億ウォンという数字が出てくる。 民主統合党暴力警備業者真相調査団はこれらの契約書を分析して、11日間でコンテクタスが5億7000万ウォン以上の収益を上げたと見通した。
コンテクタス 京畿法人のク・某(38)理事は「私たちがこの間上手くやったという評も聞いたし実績があるので、SJM側が先に連絡をしてきた」と話した。 古物商をしながら副業で外注警備の仕事をするあるフリーチーム長は「初心者は10万ウォン程度、経験が多ければ最高20万ウォンまで受け取る」として 「労組と関連した仕事はちょっと高目」と話した。
警備員採用で最も重要な条件は体格だ。 S警備業者を経営するパク・某代表は「体格が大きい人を選ぶ」として「警護学科や警察行政学科出身もいて軍特殊部隊出身、武道の有段者が多い」と話した。 大学生もアルバイトで警備員の仕事をする。 パク代表は「アルバイト生も現場投入前に3泊4日の教育を受ければ‘履修証’が発行され警備員の仕事をすることができる」と話した。
D-12 作業を固辞した外注警備チーム長
"大宇自動車に行くと言っていたが
日程が2度も延期され、分かってみればかく乱作戦だった"
■ 7月27日午前3時 遊園地で作戦会議
27日午前3時、SJM幹部が工場付近の遊園地に到着した。 「できるか?」コンテクタス関係者が頷き「できる」と答えた。
午前4時40分頃、45人乗りバス5台がSJM工場後門に順に到着した。 外注警備は警察に申告した時刻より1時間30分程早く現場を急襲した。 未明には事故が起きる恐れがあるので配置時間を遅らせろとの警察の指示も拒否した。 外注警備隊員の手には長さ50㎝~1mのこん棒と盾はもちろん、消火器まで持たれていた。 SJM幹部とコンテクタス側は携帯電話を通じて進行状況を常に共有した。
SJM側は「労働者を殴れと指示してはいない」と抗弁するが説得力がない。 外注警備が投入される時、会社の思い通りに動くということは業界の定説だ。 ある警備業者の室長は「作戦を遂行する時には100%会社側の指揮に従う」として「人を集めて現場に投じるまでは業者が責任を負うが、投入後には会社の責任下に置かれる」と告白した。
D-DAY SJM幹部-コンテクタス関係者“できるか?” “できる”
外注警備隊員 こん棒・盾で武装 両者 携帯電話通じて情報随時共有
■ 7月27日午前4時40分 流血の工場
工場2階に集まった労組員が‘助けてくれ’と大声を上げた。 現場から112に7回も申告したが、警察は事態が起きて1時間後の午前5時30分になって現場に到着した。 随所で労組員数十人が外注警備が投げた組立部品にあたり血を流していた。 到着した後にも警察は目の前で起きた暴力事態に手をこまぬいていた。 労組員など30人余りが負傷し、10人余りは近隣病院に搬送された。
外注警備業者は不法事態を防止するために警備指導士を雇用して警備員に対する教育と現場管理監督を任せるよう警備業法に規定されているが、この日未明、警備指導士 オ・某(31)氏ができることは何もなかった。 オ氏は「コンテクタスが保安事項だとして何の話もなく当日未明に現場に出てこいと言った」として「(作戦について)何の話もなく、なぜ私にまで隠すのかと考えた」と話した。 京畿道(キョンギド)安山(アンサン)檀園(タンウォン)警察署はSJMが労働者に暴力を使うようコンテクタスをそそのかしたとの結論を下した。
警察の無策傍観
仕事から身を引いた前職フリーチーム長
“外注警備業者社長-警察署 事件が起きれば‘取引’”
民主調査団“コンテクタス 少なくとも5億の収益”
■ 7月29日 2日後に投入された国外代替人材
暴力で労働者を追い出すと同時にSJMは職場閉鎖を断行した。 代替人材投入もやはり速かになされた。 SJMは労組員暴行の当日である27日から人材業者と単純生産職40人の派遣受け入れ契約を結んだ。 会社が労働者の争議で中断された業務を遂行するために外部人材を採用したり代替できないよう規定した‘労働組合および労働関係調整法’違反だ。
2日後には南アフリカ共和国国籍の技術者12人が生産ラインに投入された。 プラスチック整形機を扱う高級技術者だった。 SJM側はこれら技術者は「SJM南アフリカ共和国法人所属職員」だと話した。 事態の2日後に南アフリカ共和国から技術者を呼び入れたとのこともやはりSJMが十分な期間を持って職場閉鎖を緻密に準備していたという事実を傍証する。 だが、韓国国籍でない外国人は就職ビザなしで国内で仕事はできない。 南アフリカ共和国技術者12人は全員観光ビザで入国した。
同日、職場閉鎖と外注警備投入がなされたマンドでは3日後に会社側と近い新労組が作られ、既存労組組合員に全国金属労組脱退を誘導する作業が相次ぎ進行された。
←SJM労組員暴行事件不良対応に対する責任を問い、去る3日に待機発令されたウ・ムンス前安山檀園警察署長(ワイシャツ姿)が先月27日未明、京畿道、安山市、檀園区のSJM工場を後ろ手を組んで見ている。 金属労組SJM支部提供
■ 8月3日 コンテクタス 押収捜索…
その後、暴力をほう助したという世論の袋叩きに遭うや、京畿地方警察庁は去る3日SJMとコンテクタスの事務室を押収捜索した。 今までにSJM役職員5人とコンテクタス役職員16人など計21人が警備業法違反および暴行容疑で立件された。 警察はコンテクタスに対する警備業許可も取り消すことにした。
コンテクタスにとって許可取消は今回が初めてではない。 2010年にも全南(チョンナム)、羅州(ナジュ)の韓国スリーエム事業場で労組員を暴行した。 当時コンテクタス役職員は少なくて70万ウォン、多くて200万ウォンの罰金刑を宣告され、会社は警備業許可を取り消された。 だがコンテクタスは役員名簿と住所地だけを変えて半月後に再び許可を受けて営業を始めた。 数年前に手を引いた前職フリーチーム長は「暴力事件が起きれば会社社長が警察署と‘取引’した」として「数人はつかまり、数人は罰金刑になるようにあらかじめ決めておいて現場に入る」と話した。 コンテクタスの前職代表であるイ・某(38)氏は「暴力を使えば刑事処罰を受けて警備業者免許が取り消しになることが明らかなので、裏で数億ウォン台の裏面契約を結ぶ」と話した。
不法を犯した業者が軽い処罰で再び外注警備事業を始め、警察は依然としてこれら業者に寛大で、暴力で労働者を押さえ込もうとする資本の態度が続く限り、またある日未明に再び「若いのをちょっと集めてほしい」という連絡が全国各地のフリーチーム長に行くことになるかもしれない。
オム・ジウォン、ホ・ジェヒョン、キム・ジフン、イ・ジョングク記者 umkija@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/546015.html 訳J.S