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「ヒョン・ビョンチョルは植物大統領のアバター・・・二人の男が国民に悲劇を招く」

原文入力:2012/08/01 09:25(2676字)

←アン・ギョンファン前国家人権委員長

ヒョン・ビョンチョル再任 なぜ問題か
連続インタビュー① アン・ギョンファン前国家人権委員長

 国会人事聴聞会以後、ヒョン・ビョンチョル国家人権委員長の再任に反対する声が絶頂に達しているが、大統領府は微動だにしない。 国家人権委が本来の位置を取り戻すためにヒョン委員長再任決定を撤回しなければならない理由について、前職人権委員長をはじめとする人権委の歴史の証人たちに連鎖的に会ってインタビューする。

 国家人権委員長を務めたアン・ギョンファン ソウル大法学専門大学院教授がヒョン・ビョンチョル現人権委員長について「植物大統領のアバターに過ぎない」として「ヒョン委員長の任期は長く見ても(新しい大統領が就任する来年2月までの) 7ヶ月」と直撃弾を飛ばした。 現在の人権委が社会的非難の対象になっていることと関連しては「二人の男の確信が国民に悲劇を招いた」としてイ・ミョンバク大統領とヒョン・ビョンチョル委員長に責任を問うた。

 アン教授は31日、ソウルの自宅書斎で<ハンギョレ>記者と会い、「(人権委に)問題があるという事実はみなが知っているのに指導者一人だけが分かっていないという点で、国際社会では韓国の人権委をリビアやシリアと並べて膾炙している」として再任に固執するイ大統領とヒョン委員長を強く批判した。 2006年10月第4代人権委員長に就任し2009年6月に退任したアン教授は、ノ・ムヒョン大統領から任命された当時、野党だったハンナラ党が受容できる中道性向の人物と評価された。 進歩的な人権団体が任命に反対するほどだった。 彼が主要言論とのインタビューで、ヒョン委員長の再任に対し公式的に反対の立場を明らかにしたのはこれが初めてだ。

MBは国際社会の憂慮を考慮せず
左派剔抉のヒョン・ビョンチョルを放棄しないだろう

北の人権公論化の功績は名分
中立性失い人権に政治色強化
ICC議長国の準備ができていないのは委員長だけ

 アン教授はまた「イ大統領はヒョン委員長がいわゆる“左派清算”をよくやったと考えているように見えるが、そのようなイ大統領がヒョン委員長の再任決定を撤回するわけがない」という見解を明らかにした。 彼は「大統領業務引継ぎ委員会当時からイ大統領は人権委をなくそうとしていた」として「初めから人権委を政治的に、いわゆる“左派勢力”の温床と考えたようだ」と指摘した。

 次いで「ヒョン委員長が聴聞会で『左派職員リストを出させた』と言ったが、昨年人権委職員を選別的に懲戒したのも結果的には市民団体出身や批判的意見を持つ職員の被害として現れた」と話した。 アン教授が見るに、大統領府が掲げる「北の人権公論化」等は名分に過ぎず、実際には人権委を左派集団と見るイ大統領の観点がヒョン委員長の再任を強行する本当の理由だというわけだ。

 アン教授は「イ大統領に会って人権委について説明し理解を求めることができるだろうと考えたが、当選後イ大統領は人権委の業務報告を一度も受けようとしなかったし、私と会ったこともない」と話した。 ヒョン委員長が随時大統領府に出入りして業務報告はもちろん特別報告もしていたのと対照的だ。

 これと関連してアン教授は「2008年ろうそく集会の時、警察の鎮圧に対して人権委の意見書を提出するや、(イ大統領は)完全に心を閉ざしてしまったようだ 」と話した。 以後2009年4月、イ・ミョンバク政府は人権委の定員208人を164人に縮小する職制改編案を施行し、アン教授は自身の任期満了直前に40人余りの職員が退職するのを見送らなければならなかった。

 彼はヒョン委員長が政治的功績として自慢する北の人権問題にも言及した。 アン教授は「在任当時北の人権に非常に誠意を傾けた。中国以外の第3国に滞留する脱北者および女性の脱北者などの人権改善で成果があった」として「しかし太陽政策に批判的な言論等を通して『北の人権侵害を調査していない』ということばかりを強調された」と話した。 「人権は政治的な中立と同時に政治権力からも独立的でなければならないが、(ヒョン委員長が北の人権を通じて)人権に政治色を強化したことは問題だ」と指摘した。

 アン教授はヒョン委員長が‘国家人権機構国際調停委員会’(ICC)議長国出馬をあきらめたことに対しても遠まわしに批判した。 国会人事聴聞会でヒョン委員長は議長国不出馬の理由として「人材と予算の準備ができていなかった」といういいわけをしたが、アン教授は「多分準備できていなかったのは委員長自身だけだったろう」と話した。「私が在任中だった2007年3月すでにICC副議長国に選出されており、これを基に議長国受任を準備するために当時議長国だったカナダに人権委の課長を1人派遣していた状況だった」とアン教授は明らかにした。 韓国人権委の地位を国際的に高められるすべての準備が取りそろっていたという意味だ。

 インタビューの間、ずっとアン教授は腕組みをして落ち着いて話した。 しかし自身の辞任と後任者任命過程を回顧する部分で彼の声は高くなった。 アン教授は「イ大統領が私を『ノ・ムヒョンの人』と考えるならば、ICC議長国を担当できる認知度と知名度を有する人を(新しく)任命するのが人権委のために良いと判断した」と話した。 韓国が ICC議長国になるのに自身が障害物にならないことを願ったということだ。 当時アン教授は任期終了まで4ヶ月余りを残して自ら辞任した。

 その日アン教授は、ヒョン委員長が自ら退くべきだとか、イ大統領が任命を撤回すべきだといったふうに話してはいない。 ただ「(辞任当時) 私が退くから後任者をまともに任命してほしいというメッセージを送ったわけだが、(イ大統領が新しく任命した)ヒョン・ビョンチョルという名前はあまりにも耳慣れない名前だった」と語った。 それから3年余りが流れても、その名前は依然としてアン教授にとって耳慣れないもののように見えた。

チン・ミョンソン記者 torani@hani.co.kr
写真シン・ソヨン記者 viator@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/545116.html 訳A.K