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[2012大統領候補 探求] 朴槿恵③チェ・テミン一家の財産

原文入力:2012/07/111:23(4413字)

チェ・テミンの娘 スンシル氏、江南(カンナム)に市価160億~200億台の不動産

←チェ・テミンの娘チェ・スンシル氏のソウル江南区(カンナムグ)、新沙洞(シンサドン)建物<ハンギョレ>資料写真

 チェ・テミンは1994年5月1日ソウル 江南(カンナム)の永東セブランス病院で心筋梗塞のために息をひきとる。 その便りは同年7月になって世の中に知らされた。 当時<中央日報>に載せられた二行の訃報記事には「チェ氏は最近まで槿恵氏の生活費をまかない財産管理人の役割をしてきたと知られている」という内容がある。 チェ・テミンが朴槿恵の財産管理人ならば、彼が生前に転がした資産は朴槿恵の財産であるわけだ。 それが事実であるか否かは別に置いても、朴槿恵に初めて会う時までこれといった財産がなかったチェ・テミンの娘たちが今は資産家になっていることは理解に苦しむ。

 チェ・テミンの娘たちは江南一帯に数百億ウォン台の不動産を所有している。 チェ・テミンの5番目の娘で育英財団の内紛に登場するチェ・スンシルは32才だった1988年7月、2人と共同名義で新沙洞(シンサドン)に661㎡(200坪)規模の土地を買い入れた。 1988年12月と1996年7月には共同持分を順次買い入れて単独所有主になった。 2003年7月にはこの土地に地下2階地上7階の建物(Mビルディング)を建て現在まで保有している。 周辺不動産仲介業者らはこの建物の市価は160億~200億ウォン台だと話す。

夫のチョン・ユンフェ氏が運営していたヤンスンが入居
職員 "ビル管理が主業務"
エレベーターが停まらないなど出入りを統制

 Mビルディングの5階にはチェ・スンシルの夫であり一時は朴槿恵の秘書室長だったチョン・ユンフェが代表理事を務める㈱ヤンスンが入居している。 ヤンスンは1994年にコーヒーおよびコーヒー機械の輸入・販売、乗馬場業、体育関連用品輸入・販売、休憩室業などの業種を申告したが2001年に削除し、まもなく教育デジタルコンテンツ製作・流通・販売・コンサルティング、図書出版および販売などを申告して2003年に削除した。 同年、衣類および家具の輸入・販売も申告したがそれも削除した。 2003年末には国外移住者募集・斡旋、移住申告代行、移住相談および案内などの業種を申告して今日に至る。

 1993年からヤンスンの監査役として登記され、現在ヤンスン事務室で勤めているムン・某(50)氏は「あれこれ試みてみたがみなうまくいかなかった」と話した。 チョン・ユンフェはこの他に1994年~96年の期間にはソウル、江東区(カンドング)、明逸洞(ミョンイルトン)で‘ヤンスン’というパン屋を、1995年~99年の期間にはソウル江南区、清潭洞(チョンダムドン)で‘風雲’という和食店を経営した。

 ヤンスン事務室で勤める職員は「ヤンスンの主業務はMビルディングの管理」と語った。 この建物に入居した業者関係者たちも「入居契約はヤンスンと結んだ。 建物関連事項はヤンスンと議論している」と話した。 ある入居者にチョン・ユンフェの写真を見せて、「ヤンスン社長に間違いない。時々来られる」と話した。 不動産仲介業者に尋ねると4階の場合、保証金3000万ウォン、家賃250万ウォンで入居する人を待っていると話した。 アクセシビリティが良い1・2階は賃貸料がより高いのは言うまでもない。

 ヤンスンの事務室には机が4ヶあったが会えた職員は3人だった。 庶務担当者の机の上には建物主のチェ・スンシル宛に届いた各種料金納付通知書が目についた。 職員は言論との接触を極度に敬遠し、チョン・ユンフェやチェ・スンシルに関する質問には「ここには出てこない。 直接訪ねて行って尋ねてください」として、知らぬ存ぜぬで一貫した。 事務室も普段はヤンスンのある5階にエレベーターは停まらず、階段側の出入り口も鍵がかかっており入れなかった。 職員が出入りするために開けた時だけ出入り可能だった。 チョン・ユンフェ、チェ・スンシル夫妻が暮らす6階は終始接近が不可能だった。 「引っ越した」という話もあるが、事実確認はできなかった。

 チェ・スンシルは29才だった1985年9月にMビルディング向いの土地357.8㎡(108坪)をイム・某氏と共同で買い入れ。地上4階建ての建物を作り、1987年5月には共同持分を買い入れて単独所有主になった。 朴槿恵が理事長であった育英財団オリニ(子供)会館でチェ・テミン-チェ・スンシル父娘の財団介入論難で職員の反発が激しかった時期に土地も買い建物も建てたわけだ。

 この建物の3階にはチェ・スンシルが営むC幼稚園があった。 チェ・スンシルが幼稚園はと別に運営したという総合学院、研究所などもこの建物にあったものとみられる。 チェ・スンシルはこの建物を2008年2月D貯蓄銀行に売った。 当時この建物は50億ウォンを上回ったと推定される。

 チェ・スンシルはその他に1995年チョン・ユンフェと共同でソウル、駅三洞(ヨクサムドン)の土地354.1㎡(107坪)を買い入れ、地下1階地上3階の多世帯用一戸建て住宅(19世帯)を作った。 典型的な‘ワンルーム村’に位置したこの建物は40億ウォン程度と推定される。 彼ら夫妻がペ・某氏にこの建物を売却した時点(2002年1月)は、チョン・ユンフェが自身が代表であった㈱ヤンスンの代表理事職をチェ・スンシルに渡した時期と一致する。 翌月には朴槿恵はハンナラ党を離党し韓国未来連合という政党を創党して一時的に独自路線を歩むが、チョン・ユンフェはこの時、秘書室長を務めた。

 <月刊朝鮮>(2007年7月号)はチェ・スンシルが27才だった1983年ソウル、駅三洞(ヨクサムドン)の土地149.1㎡(45坪)を買いもしたと伝えた。 雑誌はチェ・テミンの6番目の娘も29才の時に夫ソ・某氏ら3人と共にソウル江南区、清潭洞に581㎡(176坪)を買い入れ、持分4分の1を所有したと報道した。 夫ソ氏の持分は4分の2であった。 彼ら夫妻が1991年9月ここに作った地下4階地上9階規模の建物は当時少なくとも150億ウォン台だったと言われた。 この他にチェ・テミンの4番目の娘も夫と共同名義でソウル江南区、道谷洞(トゴクトン)にビラを所有しており、彼女らの母親イム・某氏が前夫との間に産んだ娘も1988年8月に夫との共同名義でソウル、瑞草洞(ソチョドン)にアパートを買い、2004年12月に売却したと言う。 これら姉妹とは異なり、イム氏ではない他の婦人との間に生まれた子供は「それほど豊かな状態ではないことが確認された」と伝えた。

朴槿恵に初めて会った当時のチェ・テミン
貸切住宅を転々とするなど暮らし向きは楽でなかった
捜査資料には不正疑惑だけで44件記録

←チェ・テミンの婿 チョン・ユンフェ氏

 チェ・テミンが生前に暮らした居住地とその子供の居住地が朴槿恵の自宅と近いことも興味深い。 朴槿恵の三成洞(サムソンドン)の自宅から500m離れたところにチェ・テミンが暮らしていたし、チョン・ユンフェ、チェ・スンシル夫妻が所有した駅三洞の建物も遠くないところだった。 朴槿恵は<月刊朝鮮>の書面インタビューで「家がそこだったということも初めて聞く話だが、誠意を尽くして返事を差し上げながらも‘なぜこんなことまで出るのか’と考えると、不愉快極まりない」と不快感を示した。

 他の兄弟姉妹については知らされた内容が殆どなく、過去にチェ・スンシル側は各種不動産買い入れ資金について「幼稚園経営がうまくいって江南に不動産を保有することになった。 何の問題もない」と明らかにした経緯がある。

 この言葉が事実なら、幼稚園の成功的経営が育英財団オリニ会館運営介入論難と関係がないかも糾明される必要がある。 当時チェ・スンシルはオリニ会館が主催する大会で、自身が運営する幼稚園と学院の成績が良くなければ電話をかけて経緯を質す程に気を遣ったという報道もある。 この過程で不当解雇論難が起きもした。 朴槿恵は2007年の候補検証聴聞会で「チェ・テミン氏やチェ・スンシル氏が決して育英財団の仕事に関与したことがない」として正面否認した。

 もしチェ・スンシルの不動産保有規模が幼稚園経営成果を越える規模ならば、20~30代であったチェ・スンシルの年齢を勘案する時、父親のチェ・テミンから相当規模の資産を受け継いだという推測が可能だ。 チェ・テミンは朴槿恵に会う時点まで決して豊かな状態ではなかった。 チェ・テミンに対する‘捜査資料’を見れば、彼は1973年ソウル、西大門区(ソデムング)、テヒョン洞のある建物の3階(16坪)に貸切契約で入居し「仏教・キリスト教・天道教を複合して創業した霊世界の教理である霊魂合一法を主唱する」‘教祖’行為を行い、翌年にも東大門区(トンデムング)、祭基洞(チェギドン)のある住宅に貸切で入居し同じ仕事をした。 1974年8月には西大門区、北阿峴洞(プガヒョンドン)のある建物の2階(36坪)に入居したが、朴槿恵と初めて出会う(1975年3月)まではそれ以上の記録はない。

 捜査資料はチェ・テミンが朴槿恵を前面に出して救国女性奉仕団、セマウム(新しい心)奉仕団等を通して不当に財産を取得しようとしたと明らかにしている。 捜査資料が指摘するチェ・テミンの不正は、横領が14件(2億2135万6000ウォン),詐欺が1件(200万ウォン),弁護士法違反が11件(9420万ウォン、土地14万1330坪),権力型不正13件、利権介入2件、融資関与3件など計44件だ。 書かれた疑惑は極めて具体的だ。 奉仕団の公金を引き出し借名口座を通してロンダリングした後に乗用車を買うかと思えば、中央情報部への復職、共和党国会議員公認、大佐進級などを口実に金品を受け取ったりもし、ソウル市の発注工事を受注させるとし金銭を受け取ったりもしたということだ。

 朴槿恵とチェ・テミンの遺族は「当時、朴正熙前大統領が直接各当事者を尋問した後、検察に捜査をしろと言うほどに関心を持った事案だが、疑惑が事実であると明らかになったとすれば既に処罰を受けただろう。 だが、以後に法的処分がなかったことから見て、チェ・テミンは潔白」と主張している。

キム・ウェヒョン記者 oscar@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/542932.html 訳J.S