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シヒョン氏 5億 特恵 あらわれたのに…検察、大統領府釈明そのまま受け入れ

原文入力:2012/06/10 20:17(3027字)

検察‘内谷洞(ネゴクトン)捜査’全員 無嫌疑

国家だけが開発利益を得てはいけない?
相場差益を予想し国家負担を高める
MB一家は相対的に利益を得て
シヒョン氏 実名制違反ではない?
貸出・税金 本人が解決したというが
実際の金の出処 疑わしい点が多い

核心人物 書面調査で終わり?
"大統領府釈明 ぴったり合致"
大統領の息子は検察召還せず

 検察が8ヶ月間にわたり李明博大統領の内谷洞(ネゴクトン)私邸用地安値買い入れ事件を捜査したが、疑惑に対するすっきりした解答を出せないまま無嫌疑処分を下した。 検察は大統領府が出した釈明をそのまま受け入れた。 また、検察は事件の核心関連者である李明博大統領の息子イ・シヒョン(34)氏を書面で調査するに終わるなど、捜査過程でも消極的だった。 検察捜査で新たに明らかになったことはシヒョン氏に私邸用地の買い入れ代金 6億ウォンを貸した‘親戚’が李大統領の長兄であるイ・サンウン(79)氏だという点程度だ。

■  "地価上昇利益を国家だけが得るのは不適切" 荒唐解明 受入

 大統領府は昨年5月、ソウル、内谷洞(ネゴクトン)に李明博大統領の私邸と警護棟敷地を54億ウォンで買いとった。 私邸用地は宅地2筆と畑1筆にまたがっており、警護棟用地として買い入れたところは宅地ではない畑だった。私邸用地に対する共有持分は李大統領でない息子シヒョン氏の名義で契約がなされ、シヒョン氏は11億2000万ウォンを負担した。 残りの42億8000万ウォンは国家の持分だった。当時、私邸用地の相場は16億7200万ウォン程度と推定された。 大統領府が契約前に鑑定評価機関2ヶ所に依頼した評価結果も、私邸用地は平均17億3212万ウォンであったし、警護棟用地に対して国家が負担しなければならない金額は25億1481万ウォンだった。 相場・鑑定評価額より李大統領一家は5億~6億ウォン安く私邸用地を買いとったのであり、国家はそれだけ損失を被ったわけだ。

←李明博大統領退任後、私邸として使われる予定だったソウル、瑞草区(ソチョグ)、内谷洞(ネゴクトン)20-17一帯。シン・ソヨン記者 viator@hani.co.kr

 ところが検察は 「私邸と警護棟用地を54億ウォンでまるごと買いとった後、警護棟用地の地価が上がることを予想し、国家負担分を高めた」という大統領府の主張を受け入れた。 総額54億ウォンの中で畑が大部分である警護棟用地の負担分を上げて、宅地が混じっているシヒョン氏負担分を低くしたという話だ。 3.3㎡当たり1500万ウォン程度であった宅地を1000万ウォンに、200万~500万ウォンだった畑は600万~700万ウォンで計算したということだ。

 大統領府側は 「私邸ができれば周辺に開発利益があるはずだが、国家が一人でその恩恵をみな得るのは適切でないと考えた」と述べたと検察は明らかにした。 将来予想される開発利益を李明博大統領にも分けたという話だ。 国家に損失を及ぼし、李大統領にそれだけの利益を与えようとする意図を表わした釈明であるわけだ。 だが、ソン・チャンヨプ ソウル中央地検1次長は「わざとイ・シヒョン氏に利益を与え、国家に損害を与えようとした犯意は認め難い」と話した。 検察はその一方で、李大統領一家と大統領府間の持分比率および金額分担の‘客観的不均衡’が発生した点は認め、これを監査院に通知した。

■イ・シヒョン、イ・サンウンに6億を借りて、利子は後日

 李大統領が退任後に居住する私邸用地を買いとるのに李大統領ではなく息子シヒョン氏が出ることによって不動産実名制法違反と便法贈与論難がおきたが、検察は問題ないと判断した。 キム・インジョン前警護処長は「金大中大統領の時も私邸付近の警護施設敷地を買いとろうとすると地主が相場の5倍を言って来て困ったことがあり、李大統領に‘息子イ・シヒョン名義で契約して後ほど名義を変えるのが良いだろう’と建議した」と検察で述べた。

 シヒョン氏は母親のキム・ユンオク氏所有のソウル、ノンヒョン洞の不動産を担保に提供して農協大統領府支店で年利子5%を条件に6億ウォンを借りた。 また、伯父であるイ・サンウン氏からは6億ウォンを借りた。 11億2000万ウォンを土地代として支払い、4000万ウォンは取得・登録税と登記費用でとして使い、残りの4000万ウォンで利子を払ったということだ。 検察はシヒョン氏が購入資金の調達と利子納付などを行い、李大統領との間に‘名義信託約定’がなく不動産実名制法違反で処罰はできないと話した。

 シヒョン氏は検察に送った書面答弁書で「伯父(イ・サンウン)から年利子5%で6億ウォンを借りたが、私邸の名義が父親(李明博)に移った後に利子は一括支払うことにした」と述べた。 イ・サンウンシはイ大統領が実所有主という疑惑を受けている(株)ダースの代表であり、イ・シヒョン氏はダースで経営企画チーム長として仕事をしている。

■イ・シヒョンは書面調査、キム・ペクチュンは調査もせず

 検察は告発された大統領府関係者の中で、キム・インジョン前警護処長と私邸用地買い入れ作業を代理したキム・某警護処職員だけを召還調査した。 検察が私邸用地買い入れの主体と認定したシヒョン氏は、書面調査に終わった。 検察はシヒョン氏がイ・サンウン氏から6億ウォンを借りて書いた借用証も提出させたが、借用証は事後にいくらでも作成できることだ。 シヒョン氏が私邸用地買い入れ過程で実際に大統領府釈明どおりに動いたのか直接調査が必要だが、検察は彼を呼ばなかった。 ソン次長検事は「6億ウォンずつ借りて利子をどのように払いというような内容を書面で受け取ったがぴったり合った」ために召還調査をしなかったと話した。

 内谷洞(ネゴクトン)土地を54億ウォンで買い取り、これを李大統領一家と国家が分担する過程が記録された大統領府内部書類も存在しないと検察は明らかにした。 40億ウォンで策定された警護棟予算費用とその後に転用された警護処予算2億8000万ウォンを全て使って残った不足分を李大統領一家が負担することにした可能性を排除することはできない。 しかし検察は大統領府の釈明に対し、それ以上の疑いを抱かなかった。 ソン次長検事は「(大統領府の釈明を)信じないといわれるならもう言う言葉がない。 それを打破して背任を認めるに足る証拠は探せないと見なければならない」と話した。

 検察はまた、キム・ペクチュン前大統領府総務企画秘書官に対しても書面調査すらせずに却下処分をした。 これに先立ちキム前処長は言論インタビューでシヒョン氏の12億ウォンの資金調達経緯について「それは総務首席(キム・ペクチュン秘書官)がよく知っているだろう」と話した経緯がある。しかし検察は「実際、契約に関与しなかった人は調査する必要がない」として調査対象者を最少化した。

キム・テギュ記者 dokbul@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/536995.html 訳J.S