原文入力:2012/05/03 23:02(2478字)
←ソ・キュヨン農林水産食品部長官の扮装をしたICOOP消費者活動連合会会員が3日午前、ソウル世宗(セジョン)文化会館前で開かれた‘狂牛病危険 米国産牛肉 輸入中断 要求記者会見’で先月27日ソ長官が京畿道(キョンギド)のある冷凍倉庫で輸入牛肉検疫システムを点検している姿を風刺する行為劇をしている。 パク・ジョンシク記者 anaki@hani.co.kr
‘検疫中断’から‘輸入継続’へ急旋回…4月25日 何があったのか
午前10時、検疫政策課実務者
検疫中断を尋ねると "そうしなければならないでしょう"
午後1時半 食品産業政策室長
"中断せざるをえません" 確認にコクリと
午後4時 公式発表 "通商摩擦憂慮" 検疫中断せず
米国牛の狂牛病発生急報が伝えられた先月25日午前。農林水産食品部の担当ラインでは‘検疫中断’を当然と受け入れる雰囲気であった。 午後2時までも大勢は‘検疫中断’だった。 だが、午後4時の公式発表は "輸入継続、検疫強化" に急反転された。その日、農食品部では何があったのだろうか? 記者たちの取材ノートを通じて当時の状況を再構成してみる。
■ 4月25日取材日誌 再構成
25日午前10時頃、農食品部の検疫政策課を訪ねた。 担当実務者は 「決定されていない。まだ論議中」と話した。「検疫中断?」に対しては「そうしなければならないでしょう」と答えた。これに先立ち、MBN記者は午前8時30分頃にチョン・ジョンミン検疫政策課長の「検疫を中断する」という話を聞いてそのまま報道した。チョン課長は「当時は非定型狂牛病であるとは知らなかった」と後に釈明した。 <ブルームバーグ>通信は午前9時頃 「農食品部スポークスマン室の課長の言葉を引用して、検疫中断することにした」という報道を送りだした。
農食品部は午前10時30分が過ぎて 「家畜伝染病予防法と輸入衛生条件を考慮して必要な措置を早く取る」という報道資料を配布した。 ブルームバーグ報道に対しては「事実でない。決定されていない」と説明した。
発表が度々遅れた。 午後1時30分頃、ヨ・インホン食品産業政策室長の部屋に行った。ヨ室長は 「米国側に質問文を送って疎明を聞く(様式)手続きでも備えてこそ通商摩擦の素地を減らすことができる」として「少しだけ待ってほしい」と話した。「検疫中断はしなければならないでしょう?」という質問に首を縦に振った。 農林水産検疫検査本部のパク・ヨンホ本部長は同日午前、農食品部担当者の電話を受けた。 パク本部長は "検疫中断" 意見を出したという。 これと関連して、パク本部長は1日、国会農林水産食品委員会で 「公式に検疫中断を話したことはない」と話した。 政府の公式立場が決まる前に‘非公式’意見を出したという意と読まれる。
■ソ・キュヨン長官の3つのごり押し論理
多くの専門家は、与党議員らでさえどんな議論過程を経て "輸入継続" 決定が下されたのか、理解できないという反応だ。
‘検疫中断不可’決定を下した4月25日、政府が初めて前面に掲げた理由は「通商摩擦憂慮」であった。 だが、暫定的に検疫を中断したからといって深刻な通商摩擦が起きる可能性は殆どなく見える。本当に国民の健康と安全に危険がないならば、すぐにも輸入を再開できることで、米国側では提訴を推進する時間的余力も実益もないはずであるためだ。
ソ・キュヨン農食品部長官は「絶対安全なのに、そんなマネ(検疫中断)を何故するのか」とし、‘通商摩擦憂慮’に続く第2の理由をオウムのように繰り返している。 しかし狂牛病発生当日である25日、農食品部が確保した情報は米政府がマスコミに配布した報道資料、それ以上でも以下でもなかった。 不充分で一方的な発表資料を根拠に国民の安全を大きな危険に陥れかねない重大な決定を下した計算だ。
ソ長官は1日、国会農食品委員会で「法と規定上できなくなっているのに、法規を破るという話か」と話した。 家畜伝染病予防法に‘国民の健康が危険な時、輸入中断することができる’とされているだろう、‘米国で狂牛病発生すれば輸入中断しなければならない’とはなっていないということだ。 これに対してキム・ウナム民主統合党議員は「当時の立法趣旨は‘検疫中断後の科学的調査’であった」として「今になって何を言うのか」と批判した。
■定説は“大統領府がひっくり返した”
専門家と実務ラインの常識に符合しない決定が下されて、これをごり押し論理で強弁する状況の悪循環が広がっているわけだ。 なぜこのようになったのだろうか? 農食品部では‘検疫中断’意見を上げたが、大統領府でひっくり返されたということが定説となっている。
匿名を要求した農食品部のある関係者は「結局は信頼の問題で、それでひとまず検疫を中断しなければならないという声が農食品部と検疫検査本部で支配的だった」として「何らかの理由で大統領府が頑強に反対したせいで基調が急旋回したと皆が知っている」と伝えた。 大統領府関係者は「そのような事実はない」と話した。
農食品部が能動的に大統領府を説得できなかったという批判も出てきている。 ソ・キュヨン長官とオ・ジョンギュ次官、ヨ・インホン食品産業政策室長まで、全て畜産検疫政策に経験のない人々だ。 担当局長である消費安全政策官の席は今も空席で残っていて、担当課長は三,四ヵ月前に検疫政策を初めて引き受けた。 誰も2008年の‘ロウソクのあかりの歴史’を経験していなかった。 さらにソ長官は‘絶対忠誠’を前面に出す人物だ。
キム・ヒョンデ先任記者 koala5@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/531187.html 訳J.S