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"30年前に警察に殴り殺された兄、謝罪なしでは葬儀を行えない"

原文入力:2012/04/03 21:49(1344字)

←警察官の暴力で犠牲となったムン・ヨンス氏の弟、ムン・トクス氏が2日午後光州(クァンジュ)警察庁で警察の公式謝罪などを要求して兄の遺影をつけた立て札を持ち抗議している。

死亡後、医大解剖用に回されたムン・ヨンス氏の遺族
国家損害賠償確定を受け警察・医大に謝罪要求

 行方不明になった兄の痕跡は遺骨としてのみ残っていた。 ムン・トクス(55)氏は1987年全南(チョンナム)大医学部追慕館を訪ねたが、その場に思わず座り込んだ。 ムン氏は1982年に連絡が途絶えた彼の兄が医大解剖学教室の実習用に使われた後に火葬されたという事実に驚いた。

 ムン氏の兄(ムン・ヨンス・当時29)を死に追い込んだ事件は1982年8月19日夜9時頃ささいな暴行事件から始まった。バスの運転手として働いていたが解雇されてソウルから光州に来た彼の兄は、派出所に連行され西部警察署に引き渡された。 彼の兄は翌日(8月20日)警察の調査を受けている間‘暴行にあって’病院に運ばれたが、2日後(8月22日)に死亡した。 警察は行き倒れになった人が路上で呻いているのを発見し病院に運んだが死亡した事件として隠蔽するため死体を医大解剖用に回した。 だが、家族ははるか遠くでそのことを知らずにいた。

 ムン氏は1987年5月警察の‘別れた家族探しキャンペーン’を通じて兄の死亡事実を知り、検察に捜査依頼した。 彼の兄を暴行した警察官は1年後に死亡経緯を隠すために虚偽公文書を作成した容疑でのみ起訴され、懲役1年・執行猶予2年を宣告された。 だが‘真実・和解のための過去史整理委員会’は2009年11月‘不当な公権力行使で被害者を死亡させた人権侵害事件’と決定した。 昨年6月最高裁では遺族に損害賠償金を支払えとの判決も確定し、警察官暴行事実も認められた。

 ‘警察暴力犠牲者 故ムン・ヨンス対策委員会’は2日午後、光州警察庁で警察の謝罪と再発防止のための人権教育などを要求して座り込みを行った。 パク・ジェミン全国民族民主遺族協議会事務局長は 「昨年12月イ・クムヒョン光州警察庁長官に面談してこのような要求を明らかにしたが、何の連絡もなかった」として「警察と全南大医大、北区庁は30年間延ばされた故人の葬儀を行えるようにしなければならない」と話した。光州警察庁は15日までにこのような要求に公文書で答えると明らかにし、自発的に故人の葬儀費を募金する方案も検討中だ。

 しかし全南大医学部側はこの日<ハンギョレ>が通話を試みたが、「話すことはない」として応じなかった。 対策委は「全南大医学部は行き倒れになった人の遺骸も一定期間(2ヶ月)保管して保護者が現れない時にのみ解剖権限を持つこととしている法規定に違反した」として「不法実習をしておきながら控訴時効(3年)が過ぎたとし一言の謝罪もしようとしない」と悔しさを爆発させた。

文・写真 チョン・デハ記者 daeha@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/area/526641.html 訳J.S