原文入力:2012/03/18 21:01(2349字)
日本原発事故後にも国内の安全対策は元のまま
政府、非常計画区域の拡大に消極的…8~10kmを固守
放射能測定所・安全装備 昨年そのまま‘安全不感症’
■変更されない放射能非常計画区域
政府は原子力発電所事故で放射能が流出した時、住民待避要領等を含む放射能防災計画マニュアルを作って運用している。マニュアルの核心は非常計画区域だ。非常計画区域内の住民たちは定期的に待避訓練をしなければならず、自治団体は防毒マスクと保護服など住民を保護するための基本装備を用意しなければならない。
だが、現在非常計画区域は福島原子力発電所事故以前と同じ原子力発電所から半径8~10kmに限定されている。原子力発電所反対団体は福島原子力発電所事故の時に日本政府が半径20km内に暮らしている住民に避難令を下し、21~30km内の住民たちには室内だけに留まるようにした事実を挙げて、福島事故後に非常計画区域を30kmまで拡大することを要求した。だが、教育科学技術部は今日までびくとも動くそぶりを見せていない。
与野党の国会議員10人が非常計画区域を半径20kmまで拡大する内容で昨年5月に発議した法案は常任委員会さえ通過できないまま昼寝している状態だ。
ソ・トドク反核釜山市民対策委員会事務局長は「古里原子力発電所半径30km内に住んでいる釜山・蔚山(ウルサン)・慶南(キョンナム)市民320万人余りの内、6万人余りだけが非常計画区域に含まれ、残りの314万人余りは原子力発電所事故に無対策のまま放置されているわけ」と話した。
■お粗末な放射能監視網
<ハンギョレ>が現在稼動中の原子力発電所21基を置いている釜山、機張郡(キジャングン)、慶北 慶州市(キョンジュシ)蔚珍郡(ウルチングン)、全南(チョンナム)霊光(ヨングァン)郡など4ヶ自治団体の‘2012年放射能防災計画’を入手し‘2011年放射能防災計画’と比較したところ、放射能流出をリアルタイムで監視する測定所は計45ヶ所で1年前と同一だった。韓国原子力安全技術院が全国の主要都市に設置し運営中のリアルタイム放射能測定所も71ヶ所で1年前と同じだった。
特に原子力発電所を置いている自治団体に設置されている放射能測定所は80~90%以上が依然として放射能非常計画区域(半径8~10km)に集まっていることが確認された。機張郡に設置された14ヶ所の内11ヶ所、霊光郡に設置された14ヶ所の内10ヶ所、慶州市に設置された12ヶ所の内9ヶ所、蔚珍郡の11ヶ所の内9ヶ所が非常計画区域内にある。非常計画区域外へ流出する放射能をリアルタイムで監視する体系に依然として穴が開いているということだ。 その上、釜山市が今年5~10kmに10ヶ所、来年には10~30kmに10ヶ所の測定所を追加設置する計画だが、1台当たり1億ウォンを越える測定機ではなく、1台当たり400万~500万ウォンの簡易測定機なのでどれほどの効果があるかは疑問だ。
釜山市関係者は「非常計画区域外の放射能流出をリアルタイムに監視するためには、10~30km地点に測定所をきめこまかく設置しなければならないが、財政が豊かでない自治団体が高価な装備を購入することは難しいのが実情」 とし「政府が国民の不安感を減らす次元ででも直接に放射能測定所を増やさなければならない」と話した。
■安全不感症にかかった自治団体
福島原子力発電所事故後に釜山市と全南道(チョンナムド)、慶北道(キョンブクト)は非常計画区域内の住民たちが待避する救護所とは別に、8~20km内の住民たちが待避する救護所20~213ヶ所を追加指定した。だが、ほとんどが耐震設計になっていないところなので、地震を伴った事故が起きた時には救護所がむしろ危険なのが実情だ。
また、非常計画区域内の住民たちは原子力発電所事故に備えて1年に1回以上の合同訓練をしなければならないが、依然として4年ごとに1回の合同訓練をしている。 機張郡関係者は「毎年1回の合同訓練をすることが必要だと教育科学技術部に建議したが、わずらわしいなどの理由で受け入れられなかった」と打ち明けた。
自治団体が国家と原発事業者から毎年受け取る80億~200億ウォンずつの原子力発電所支援金を住民用安全装備購入に使うことを敬遠している点も改善されていない。
2010年原子力発電所支援金90億~160億ウォンの内、住民用安全装備の購入予算を全く編成しなかった慶州市と蔚珍郡は、昨年にそれぞれ86億ウォンと170億ウォンの支援金を受け取ったが同用途では一銭も支出していなかった。 昨年209億ウォンを支援された霊光郡は防毒マスク購入に5000万ウォンを支出しただけだ。 古里原子力発電所から10km内に2万8600人の住民が居住している蔚山、蔚州郡は昨年初めて114億ウォンの原子力発電所支援金の内、2億6900万ウォンを投じて保護服6740着を購入した。
霊光郡関係者は「原子力発電所支援金は原子力発電所周辺地域道路の拡張など住民念願事業に主に使っている」として「原子力発電所支援金で住民用安全装備を購入すれば住民たちが反発するので政府で別に支援しなければならない」と話した。
釜山、大邱、光州、蔚山/キム・グァンス、ク・デソン、チョン・デハ、シン・ドンミョン記者 kskim@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/area/524048.html 訳J.S