本文に移動

教室で‘和解の法廷’を開いたら魔法のように暴力が消えた

原文入力:2012/01/12 22:13(2601字)

学校暴力 沈黙のカルテルを破ろう(下) ある教師の実験

←去る2011年1月、3学年への進級を控えて江華島(カンファド)興旺体験学習場へお別れ旅行に出発したクァク・ウンジュ教師と仁川(インチョン)龍現中2年4組の生徒たち。クァク・ウンジュ教師提供

 "私たちのクラスにはいじめのようなことが本当にありませんでした。 一真のような子供たちが何人かいて、クラスの友達を困らせたりもしたが、その子たちが誤りを認めて私たちに許しを請い、私たちは受け入れました。"

 仁川(インチョン)龍現中卒業予備生であるイ・スンフン(16)君は去る2010年の‘2年4組’時期を思い出しながら自慢した。 イ君は「勉強はいつもビリだったけど、、争いが殆どなくて他の組の子供たちがかなり不思議に思っていた」と話した。 当時この学級の担任だったクァク・ウンジュ(36)教師は「持続性ある平和体制を構築することに成功した」と自評した。 クァク教師は昨年学校を移って現在は仁川官校中で勤めている。

 青少年暴力予防財団の‘2010年学校暴力実態調査’資料を見れば、いじめ加害学生の54.8%は‘同じクラスの生徒’だ。 30~40人の同じ年頃の生徒たちが集まった‘学級’が学校暴力の基礎単位であるわけだ。 1年間で学校暴力を根絶することに成功した龍現中2年4組の事例が注目される所以だ。

■一真中心の学級を共同体に再組織化
クァク教師は新学期の初日、生徒たちに "平和、平等、和睦" を学級の運営方向として公表した。 これを基に生徒たちは皆が参加した学級会の時間に11条項の‘平和規則’を作った。 この規則は学級掲示板に一年中公示され、生徒たちはこの規則を小さく印刷して机に貼って置いた。「教師たちはよく愛と献身で学級を指導できると考えるが、子供たちが受けたいものは愛ではなく認定です。子供たちに規則と規範を守ってこそ学級で認められるということを知らせなければなりません。" (クァク教師)

 生徒たちは規則を守る過程で共同体構成員として新たに出発した。 当時学級委員だったト・キヒョン(16)君は「規則があるとそれを守るためにしたくないこともするようになり、譲歩もするようになった。 時間が経つにつれ争う必要が全くなくなった」と話した。

友人など‘和解の法廷’参加 "面白半分で殴っても暴力" 判決
教師 "法処罰" きっぱり知らせて加害者 謝罪後 暴力絶つ

 この過程でクァク教師は規則と規範が支配する共同体を構築する上で、障害物になるいわゆる‘一真’を把握し、彼らを新しい秩序に編入させた。「学級に権力構造ができることをあらかじめ遮断しなければなりません。 生徒たちが教師をののしり逆らうことも互いに強いフリをする過程で先生を犠牲の羊にします。それを知らずに巻き込まれれば教師たちが被害者になります。 子供たちも‘先生が分かっていないんだな’と思えば、無視して利用するが、これは授業準備を熱心にしても解決されないのです。」

■学級共同体が暴力を公論化
2年4組は教室内で学校暴力が発生すれば隠さずに‘和解の法廷’を開いて公論化した。 被害生徒と加害生徒、両方をよく知っている友人1人ずつ、そして客観的な立場で是非を切り分ける4~5人の‘生徒市民論客’が参加した。

 和解の法廷は学校暴力が‘悪いこと’であり‘してはならないこと’だということを公論化して、これを学級共同体が共有する過程だった。 学級文集にのせられた‘和解の法廷’会議録を見れば、 「痛いと言ったのに、謝ってからまた繰り返して殴ったから暴力だ」「自分の気分により殴ったもので、謝罪をした後に守らなかったので暴力だ」「自分をアピールしようとして、自分の面白味のために殴ったのは暴力だ」というなど、中学生たちが各々規定した‘学校暴力’の概念が出てくる。

教室の平和を成し遂げた教師も成績を上げれずに‘無能力’評価
生活指導教育課程認定 国英数ぐらい重要視すべき

 深刻な暴力が発生した場合、クァク教師は和解の法廷で「自分が見るには、これは学生部に引き渡して処理する事案」という意見を明らかにして‘学校暴力予防および対策に関する法律’により処罰を受けることがありうるという点を知らせるなど断固として対応した。

 アン・ジヨン(16)君は「相手が嫌がるのにいたずらするのは‘いじめ’だということを知るようになった友人が、和解の法廷が開かれた後に私にそのような行動をしなくなった」として「初めはいじめといたずらを区分できなかったが、和解の法廷を通じて分かるようになった」と話した。 実際、友人を持続的に困らせ和解の法廷に回付されたある生徒は誤りを認めて謝罪文を書いた後、クラスの友達の前で朗読して許しを乞うた。

■学級共同体を脅かす条件
2年4組は共同体として成功を収めたが、クァク教師は学校で“能力ある教師”とは認められなかった。「学校では学業達成度評価成績がよい学級の教師を“能力ある教師”と考えます。 体罰をしてでも学級を掌握して成績を上げる教師たちが良い待遇を受けます。 しかし、子供たちを恐怖で統制する教師の学級であるほど学校暴力事件が隠れている可能性が高いのです」

 学力を高めるとして0時間目と強制補充授業をするようにして、教師と生徒から共同体を作り葛藤を解決できる時間を奪うのも学校暴力の解決を難しくさせる原因だ。 学級で学校暴力問題を解決しても水準別移動授業をしながら被害生徒が別のクラスに移動して他の生徒たちから再び被害を受ける現実も、現在クァク教師を無力感に陥らせている。

 「生活指導を教育課程として認定し国・英・数と同等に重要な領域として扱うならば、無関心な教師たちも参加できるでしょう。 学級と学校を越える学校暴力があるが、まず一つの学級ででも平和の秩序を作れば全体的な学校暴力の強度は顕著に低くなるでしょう。」<終わり>チン・ミョンソン記者 torani@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/schooling/514563.html 訳J.S