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欧州の熱波、エアコンなしで耐えてみた【コラム】

登録:2026-07-03 01:24 修正:2026-07-03 08:43
先月24日のフランスの首都パリ。熱波の中、市民がエッフェル塔近くのトロカデロ広場の噴水で暑さをしのいでいる/AP・聯合ニュース

 先週、出張でロンドンとパリへ行ってきた。行った日にちょうど、北アフリカからやって来た「ヒートドーム」に覆われていた欧州は、蒸し風呂のようだった。韓国でも近年は35度は珍しくないが、41度の暑さは次元が違った。エアコンの風を浴びられる避難場所のない現地の状況に、つらさも倍増した。

 ロンドンのホテルの部屋も蒸し蒸しする。エアコンはなく、小さな扇風機が1台回っているだけ。ちょうどロンドン気候行動週間だったのだが、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)で開催予定だった「極限の暑さ:全世界のガバナンスの改善と対応の強化」をテーマとする会議は、まさにその暑さのせいで中止になった。建物に冷房がなく、会議の実施が不可能だったのだ。

 パリへ移動すると、パリ北駅からホテルに向かう電車は冷房が効かず熱がこもっており、熱波で線路に異常が生じたのか、運休や遅延が相次いでいた。手持ちの扇風機とうちわでしのいでいる乗客たちの隙間で、10歳ほどの男の子が後ろに倒れた。熱中症のようだった。父親がすぐに上半身の服を脱がせ、隣にいた中年男性がスプレーを吹きかけながらあおいだところ、その子は我に返った。

 パリのホテルも同様だった。築100年にはなる建物に冷房設備を設置するのは難しいだろうなとは思った。夜でも28度前後の熱帯夜に、扇風機はヘアドライヤーのような風を吐き出した。

 極限の蒸し暑さが2週間以上続いていたため、みな疲れ果てた様子だった。英国とフランスの家庭のエアコン普及率は20%以下。学校も病院も食堂も公共交通機関も多くは冷房がないため、真っ先に危機に陥るのは高齢者などのぜい弱階層だ。今回の熱波で、フランスでは先月24日からの3日間で平年と比べて1000人ほどの超過死亡が発生し、葬儀場が飽和状態だという。

筆者のスマホのアプリに表示された先月24日のパリのある地域の昼の気温//ハンギョレ新聞社

 このような暑さの中を歩き回ったのは、欧州の持続可能な投資の現状を取材するためだった。両国の金融会社や関連機関はESGを軸とした責任投資に熱心だ。とりわけ、企業の炭素排出削減の実行や化石燃料との決別を監視・けん引する機関投資家としての役割には忠実だ。極右化の流れの中でESGに対する反発がまん延する米国とは異なる。そのような話を聞いて建物を出ると、気候変動がもたらす熱波に苦しむ市民がいた。なんだかズレている。

 視線は気候危機への対応の2つの軸、「緩和」と「適応」へと向かった。緩和とは、温室効果ガスの排出量を減らし、気候変動のスピードを遅らせること。適応とは、すでに進行している、あるいは避けられない影響に社会システムを合わせていくこと。1.5度への抑制が厳しく、熱波、豪雨、山火事がニューノーマルとなった今、適応は緩和に劣らず重要になっている。

 欧州はカーボンニュートラルやグリーンディールなどの緩和政策で世界をリードしてきたが、もう一方の適応インフラは整備できていなかった。すでに熱波により、2003年に7万人、2022年に6万人が死亡している。極限の気候の頻度が適応のスピードを上回っているのだ。パリとロンドンの建物の半数近くが築60年以上で、100年を超える建物も多い。屋外機の設置は物理的に困難で、古い建物が観光資産となっている地域は景観規制も厳しい。適応が単なる「エアコンをもっと設置しよう」ということにとどまらない、都市計画、建築規制、電力網を包括したシステムの転換の問題であることを示している。

 そのため、フランス政界ではエアコン設置をめぐって論争が起きている。極右はまたしてもエアコン不足を左派や環境主義の失敗としてフレーミングしている。国民連合(RN)のマリーヌ・ルペンは「政権に就いたら、まず病院、介護施設、学校などのぜい弱階層がいる場所から大規模に冷房設備を設置する」と述べている。カーボンニュートラルのような抽象的な言説よりも、今まさに暑さに苦しんでいる市民の心理に分け入ろうとしているのだ。対して左派「不服従のフランス(LFI)」のジャンリュック・メランション代表は「すべての場所にエアコンを設置してはならない。むしろ被害を拡大させる」と反論。緑の党のマリーヌ・トンドリエ代表も「今や(冷房が)必要になってきている」と一歩引きつつも、「万能ではない」と述べて、都市の緑地拡大、労働者のための気候休暇など、緩和と適応の並行を強調している。この論争が示すのは、緩和と適応のバランスをうまく取らないとポピュリズムの「逆風」にさらされうるということだ。

27日(現地時間)、数日にわたって続いた熱波の影響で、ドイツの一部地域ではトラムの線路が各所で溶け、トラムの運行が中止される事態が発生した=ライプツィヒ/AP・聯合ニュース

 帰国したら、韓国はエアコン天国だった。しかし、私たちは「適応」に見合った炭素排出の削減にも努めているだろうか。国際環境団体が主導する「気候変動パフォーマンス指数(CCPI)」の評価で、韓国は昨年、調査対象となった67カ国中63位で、前年と同じく最下位圏だった。さらに大規模な半導体、データセンター建設計画に飲み込まれ、既存の炭素削減計画さえも蒸発の危機に直面している。熱波への適応も平等に進んでいるのかも問うべきだ。冷房設備なしで暮らす貧困地区の住民が存在する。強く照りつける日差しの下で働かなければならない人も少なくない。

//ハンギョレ新聞社

イ・ボンヒョン|ハンギョレ経済社会研究院研究員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1266407.html韓国語原文入力:2026-07-02 16:11
訳D.K

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