旧統一教会(世界平和統一家庭連合)のユン・ヨンホ元世界本部長(拘束起訴)から、旧統一教会の懸案に関する請託を受け、同時に1億ウォン(約1100万円)を受領した疑いが持たれている最大野党「国民の力」のクォン・ソンドン議員が16日、拘束された。3大特検(内乱、キム・ゴンヒ女史、C上等兵)のうち、現役議員の拘束は初めて。尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領夫人のキム・ゴンヒ女史関連の疑惑を捜査するミン・ジュンギ特別検察官(特検)チームが、旧統一教会と尹錫悦前大統領の仲介を担ったユン元本部長とクォン議員の身柄を同時に確保したことで、「旧統一教会・尹錫悦癒着疑惑」の捜査にいっそうの弾みがつくものとみられる。
ソウル中央地裁のナム・セジン令状専門担当部長判事はこの日、「証拠隠滅の恐れがある」として、クォン議員の拘束令状を発付した。クォン議員はこの日、午後2時から約4時間30分にわたり拘束前被疑者尋問(令状実体審査)を受けた後、ソウル拘置所に移送され、拘引被疑者の控室で結果を待った。
特検チームは先月28日、政治資金法違反の容疑でクォン議員の拘束令状を請求し、11日には国会本会議でクォン議員の逮捕同意案が可決された。クォン議員は2022年1月5日、ソウルの中華料理店でユン元本部長に会い、「尹錫悦大統領候補(当時)が大統領に当選すれば、教団(旧統一教会)の政策を国の政策として推進してほしい」「尹候補が教団の行事に参加し、韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁のお言葉を聞けるようにしてほしい」などの要請を受け、尹錫悦候補の支援名目で現金1億ウォンを受け取った疑いが持たれている。
特検チームは、クォン議員の逮捕同意要求書に「被疑者は有力な大統領候補者の最側近として、宗教団体と双方の利害を満たすための取引を行い、大韓民国の予算や組織などを私的目的の達成のために使用しており、罪の性質が悪質な国政壟断に該当する」として、「現職の国会議員である自身の権限と地位を乱用し、証拠隠滅の恐れがきわめて大きい」と指摘した。
クォン議員は2022年、大統領選の前後に旧統一教会の韓鶴子総裁を2回訪ね、ひざまずいて拝礼し、現金が入っていたと疑われるショッピングバッグを持ち帰った疑惑も持たれている。さらに、特検チームによる捜査の過程で、クォン議員が旧統一教会側に、韓鶴子総裁の遠征賭博に関する警察の捜査情報をもらした経緯も明らかになった。クォン議員は昨年の非常戒厳後、自身の名義ではなく補佐団名義の電話を使って、ユン元本部長に加え、「コンジン法師」ことチョン・ソンベ氏と会話した事実も、特検チームによって確認された。特検チームは7月、クォン議員に対して家宅捜索を行い、同議員の補佐団名義の電話を確保し、このような事実を把握した。
クォン議員は、自身の疑惑を一貫して否認している。クォン議員はこの日、令状実体審査に出廷し、「みじめな心境だ。文在寅(ムン・ジェイン)政権期の弾圧捜査が思い出される」として、「あのときも潔白だったし、今回も潔白だ。文在寅検察の捜査が虚偽だったように、李在明(イ・ジェミョン)特検の捜査も偽りだ。裁判所で事実関係をありのまま明らかにして、しっかりと説明する」と述べた。