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「革新」と「保守」という用語は消えたのか【寄稿】

登録:2025-03-28 06:53 修正:2025-03-29 07:01
ロバート・ファウザー | 言語学者
15日、ソウル各地で尹錫悦大統領弾劾に賛成または反対する集会が行われている。左はソウル鍾路区の景福宮東十字閣で「尹錫悦即時退陣・社会大改革非常行動」(非常行動)が開いた第15回汎市民大行進。右はソウル世宗大路で「大韓民国立て直し運動本部」が開いた光化門国民大会/聯合ニュース

 2月末、韓国の最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表が「民主党は中道保守政党」だと語ったというニュースを見て、米国の民主党も保守政党ではないかと考えた。考えは次々と広がり、2025年現在の韓国と米国を含めた多くの国の政治的現実を、はたしてどの用語で説明すべきかにまで及んだ。

 問題を理解するには、政治用語の歴史をまず振り返る必要がある。米国では20世紀半ばから「リベラル」と「保守」という用語がよく使われてきた。リベラルは庶民中心の政府政策を通じて暮らしの問題と民権を志向する一方、保守は政策が社会と市場に介入することを避け、伝統の価値を強調した。つまり、リベラルは政府、特に連邦政府の政策に対する期待値を高め、保守は小さな政府、市場の原理と伝統を守ろうとした。

 21世紀に入り、リベラルの代わりに革新主義(進歩主義)という言葉の使用頻度が急激に増えた。1930年代から約50年間にわたり米国の主流だったリベラルは、1980年に保守政治の代表的人物であるロナルド・レーガンが圧勝して以降、力を失っていった。1992年に当選したビル・クリントンは民主党候補だったが、リベラルとは距離を置き、大統領選挙で2度の勝利を収めた。

 2008年、世界金融危機を経験し、変化に対する声が高まった。リベラルの中でも、より大きな変化を求める勢力は革新を名乗った。リベラルには「古い」イメージがあった。新鮮なイメージの革新がますます勢力を広げた。

 2016年の大統領選挙は大きな変化を見せた。民主党の予備選挙で自らを革新と称したバーニー・サンダース候補は多くの支持を獲得したが、アイデンティティが曖昧なヒラリー・クリントンが民主党の候補に選ばれた。共和党では保守を名乗らず、昔に戻ろうという反動的政治志向主義者のドナルド・トランプが候補になった。そうやって行われた大統領選は、リベラルや革新、保守などを明確に標榜する候補のいない選挙だった。2020年と2024年の選挙でも状況はほぼ同じだった。

 2024年の大統領選では新しい構図が登場した。民主党はトランプの復活を阻止するため、変化を避け、体制の維持を目指す勢力へと変わり、トランプは支持を確保するため、反革命に近い反動政治を強調した。結局、2025年現在、民主党は革新に背を向ける体制守護勢力であり、共和党は保守に背を向ける反動的勢力だ。こうして見ると、米国の民主党は20世紀型保守とは異なるが、保守政党ではないとも言えない。

 韓国の政治史と政党の歴史は米国とは大きく異なるが、状況だけを見れば、似ているところが多い。民主党は独裁時代の野党と民主化運動に、与党「国民の力」は独裁時代の与党と独裁協力勢力にそれぞれ根ざしている。民主化後、民主党は20世紀半ばの米国の民主党同様、庶民中心の暮らしの問題と民主主義を志向する政党になった。国民の力系列の政党は、米国の共和党のように市場原理と伝統を尊重する政党になった。以後、民主党はより多くの支持を取り込むために、次第に保守側の価値にも関心を示す一方、国民の力は伝統的保守から脱して極右に近い反動的政治を目指している。

 2020年代の韓国と米国の政治における変化の原因は、尹錫悦(ユン・ソクヨル)とトランプという、民主主義の秩序を脅かす反動的政治家の登場である。彼らの脅威の前に革新を標榜した勢力は、憲法と体制を守る道を選ばざるを得ない。しかし、一部の市民の目には、従来の秩序を守る側より反動的な政治が魅力的に映る。このため、民主党は保守政党ではないと言えなくなり、真の変化を求める市民は民主党を批判せざるを得なくなる。多くの国々が直面している現実だ。

 しかし、民主先進国で政治の社会的役割は根本的に変わらない。「革新」と「保守」という用語もやはり依然として生きている。社会の基本秩序を守らなければならない時に保守という用語を選んだとしても、社会変化にともなう真の改革が必要な時には市民は革新を選ぶ。その時になれば、真の意味の革新を選ぶ市民の要求に合わせて、政党は標榜する用語を掲げるだろう。そうしてこそ、政治的安定を期待することができる。そう考えると、今こそが「革新」と「保守」という単語を忘れずに記憶しなければならない時かもしれない。

//ハンギョレ新聞社
ロバート・ファウザー | 言語学者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1189050.html韓国語原文入力: 2025-03-26 18:55
訳H.J

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