先の韓国大統領選挙で虚偽事実を公表した疑い(公職選挙法違反)で起訴され、一審で懲役刑の執行猶予を言い渡された最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表に対し、控訴審裁判所が無罪を言い渡した。一審の量刑が確定した場合は今後10年間被選挙権が剥奪されるという危機から脱したイ代表は、最有力の次期大統領選候補の立場を固めることになった。
ソウル高裁刑事6-2部(チェ・ウンジョン裁判長)は26日、「検事が提出した証拠だけでは、イ代表の発言を虚偽とみることはできない」とし、イ代表の選挙法違反容疑のすべてに対して無罪を言い渡した。
イ代表は、民主党の大統領選候補だった2021年12月に行ったインタビューで、「大壮洞(テジャンドン)開発疑惑の取り調べを受けて死亡したキム・ムンギ元処長を知っているか」という質問に対し、キム元処長を知っていたにもかかわらず、「知らなかった」と答えたうえ、京畿道城南市柏ヒョン洞(ソンナムシ・ペクヒョンドン)の敷地用途変更をめぐり特恵があったという疑惑が持ち上がった後の2021年10月、国会の国政監査で「国土交通部が職務遺棄として問題視すると脅したため、やむを得ず(用途変更に)応じた」と虚偽事実を流布した疑いで、2022年9月に裁判にかけられた。
高裁は「柏ヒョン洞関連発言」は虚偽事実ではなく「誇張」だとし、一審とは異なり無罪と判断した。高裁は「城南市が用途変更に関し圧力を受けたことが認められ、公表事実内容全体で重要な部分が客観的な事実と合致した場合は、細部的に誇張されたとしても虚偽事実とみることはできないというのが最高裁の判例」だとし、「全体的に意見表明に当たるため、虚偽事実公表罪として処罰することはできない」とした。
2015年の海外出張中にイ代表がゴルフ帽をかぶってキム元処長と一緒に撮った写真について、「捏造された」と主張したことについても、一審は有罪と認めたが、控訴審は「原本は海外で10人が一緒に撮ったものなので、ゴルフ行為を裏付ける資料とはみられない」、「原本の一部を切り取ったもので、捏造されたとみることができる」とし、無罪と判断した。「キム元処長を知らない」という関連発言も、選挙法で虚偽事実公表の対象になる「行為」ではなく、「認識」に関するものなので、選挙法違反で処罰できないとみた。
イ代表はこの日、裁判が終わった後「事必帰正」(全てのことは必ず正しい道理に帰する)とし、「検察も自らの行為を振り返り、これ以上このような国力の無駄遣いをしないことを願う」と述べた。検察は上告するかどうかを検討している。