20日(現地時間)に就任した米国のドナルド・トランプ大統領が、就任初日から強力な数々の「米国第一主義」政策を打ち出し、米国と全世界に衝撃を与えている。米国メディアが「騒々しい日(Flurry day)」と表現した就任初日からトランプ大統領は、自国の利益のためなら国際規範や同盟国の立場などは気にしないという態度を公然とあらわにした。それによって、米国が作り上げ、戦後80年間にわたって維持してきた既存の国際秩序が大きく動揺する危機に直面している。トランプ式の過度な「米国第一主義」が長期的に世界をどのように破壊するのか、米国自身はもちろん、韓国を含む主な同盟国も真剣に悩まざるを得ない状況になった。
トランプ大統領はこの日の就任演説で、「我々はすべての国の羨望の対象になるだろう。そのうえで、我々自身が(他国に)利用されることを許さない」として、「トランプ政権の任期を通じて、ひたすら米国のみを優先する」と語った。これに沿って戦略上の要衝である「パナマ運河」を「取り戻す」と述べ、メキシコ湾を「米国湾(Gulf of America)」に変えると宣言した。
焦眉の関心事である関税については、誰もがまさかと思っていたカナダとメキシコに対する25%の高率関税を実際に来月1日から課すこと、新たに関税庁を設立することを宣言するとともに、「米国の労働者と家庭を保護するために、貿易システムを再点検」すると述べた。これらの結果を見ながら、米国のすべての輸入品に対する10~20%の普遍関税などの追加措置を検討していくと予想される。
朝鮮半島に関しては、北朝鮮を「核保有国(nuclear power)」と認めつつ、朝米対話の再開に対する強い意欲を示した。グリーンランドについては「(かの地の)人々はデンマークに満足しておらず、我々のことが好きだ」と強調した。国内政策でも様々な「多様性政策」を廃棄するとともに、数々の厳しい反移民政策を打ち出した。
トランプ大統領の述べた様々な政策が現実のものとなれば、全世界で同時多発的な貿易戦争がはじまるという大混乱が起きる。それによってグローバルサプライチェーンがかく乱されれば、国際貿易は大きく減る。これは経済成長をむしばみ、結局は誰もが「敗者」となる。米国の強力な武器だった「同盟ネットワーク」も弱まるのは避けられない。結局は米国の覇権が崩壊し、中国やロシアの望む「多極秩序」が始まる可能性がある。米国が最も望まないシナリオだろう。トランプ政権には過度な「米国第一主義」をもう一度点検してもらいたい。