尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は憲法裁判所の弾劾審判弁論期日に初めて出席し、12・3違法非常戒厳の正当性を主張しながら、「不正選挙陰謀論」を持ち出した。でたらめな陰謀論を法廷でも堂々と展開したのだ。高位公職者犯罪捜査処の調査は拒否し、弾劾審判に出席し続けようとする意図は、不正選挙を信じる極右勢力の蠢動(しゅんどう)を煽ろうとしているのではないかという疑念を抱かせる。
21日、憲法裁で開かれた3回目の弁論期日に出席した尹大統領と代理人団は、極右ユーチューバーの主張をそのまま繰り返した。「中央選挙管理委員会の電算システムのハッキング説」、「事前投票操作説」など、すでに事実無根であることが明らかになった様々な陰謀論をオウムのように繰り返した。2回目の弁論期日にも代理人団が同じ主張をしたが、中央選挙管理委員会がすでに詳しく反論した。にもかかわらず、尹大統領は同日、「不正選挙疑惑を確認するための非常戒厳令」を宣布したと、詭弁を並べ立てた。妄想に囚われ、自分が信じたいものに陥り、合理的な判断ができないのだ。かつて尹大統領と不正選挙論を巡り舌戦を繰り広げたユ・ギョンジュン元「国民の力」議員は最近、あるメディアのインタビューで、尹大統領が不正選挙の根拠として「5~10ポイント優位の事前予測より少ない0.73%ポイント差で勝った」ことを挙げたと伝えた。話が通じない人だ。
尹大統領は、自分が宣布した非常戒厳そのものが違憲的だという事実はさておき、むしろ国会の非常戒厳解除議決が違法だとも主張した。ウ・ウォンシク国会議長が「国会法に合わない(非常戒厳解除)決議をした」という詭弁を並べた。これは国会の戒厳解除要求決議案が通過した後にもイ・ジヌ前首都防衛司令官に「2回、3回戒厳令を宣言すれば良いから、引き続き進めろ」という指示を下した理由を示すものだ。尹大統領はまた、軍将官たちの検察陳述をすべて「フェイクニュース」だと非難した。チェ・サンモク副首相に「非常立法機構の予算を用意するよう」指示した内容が含まれたメモを渡した事実さえ否定した。「手のひらで空を覆う」(浅はかな手段で過ちを隠すこと)とは正にこのことだ。
その一方で、尹大統領は同日、「自由民主主義という信念一つをしっかり持って生きてきた」と述べた。尹大統領の発言は、このように居直りの言葉で満ちており、でたらめや詭弁、そしてあまりにも明らかな事実に対する嘘が大半だ。今後も憲法裁の弾劾審判弁論と捜査機関の捜査が続くだろう。 尹大統領が国民の前で最後に謝罪する道は、率直に事実を打ち明け、捜査に十分に協力することだ。