尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領夫人のキム・ゴンヒ女史が国会議員の公認候補推薦に関与したという疑惑と、ドイツモーターズの株価操作に加担した疑惑を裏付ける情況が相次いで追加されている。疑惑の水準と範囲は、到底見過ごすことができない状況に至った。
キム女史の候補公認介入疑惑は複数の選挙区に広がっている。ネットメディア「ソウルの声」は23日、今年4月の総選挙当時、キム女史が与党「国民の力」の公認管理委員だったイ・チョルギュ議員を通じて公認候補推薦に介入したと主張するキム・デナム前大統領室行政官の発言録音を報道した。京畿道龍仁(ヨンイン)甲選挙区にイ・ウォンモ前大統領室人事秘書官を戦略公認したことに、キム女史が介入したという趣旨だ。イ前秘書官の夫人は2022年6月、スペインのマドリード訪問にキム女史と同行し、「民間人の専用機搭乗」で物議を醸した当事者だ。イ・チョルギュ議員はこれを全面的に否定し、「虚偽事実発言および流布行為について最後まで法的措置を取る」と述べた。
しかし、この他にもキム女史の公認介入疑惑が相次いで浮上している。「ニューストマト」が先日報道した慶尚南道昌原・義昌(チャンウォン・ウィチャン)選挙区の公認介入疑惑もますます大きくなっている。キム女史が先の総選挙当時、同選挙区のキム・ヨンソン前議員に金海(キムヘ)に移ることを提案したという報道だったが、この過程に介入したとみられている政治コンサルタントのミョン・テギュン氏が、2022年の補欠選挙でも尹錫悦大統領夫妻の存在をちらつかせ、キム前議員の公認を実現させたという疑惑も持ち上がった。さらに、キム前議員が補欠選挙当選後の2年間、議員歳費の半分を毎月ミョン氏に渡したという録音ファイルまで公開された。一体、ミョン氏がキム前議員の公認にどのように関与し、前代未聞のこのようなことが起きたのか、疑念を抱かざるを得ない。
ドイツモーターズの株価操作にキム女史が深く介入した情況もさらに多数現れている。13日の控訴審判決文には、キム女史が証券会社の社員から株式売買報告を受け「その方から電話がありましたよね?」と尋ねるなど、株価操作の事実を認知していた情況が多数指摘された。その上、この事件に対する検察捜査が本格化した2020年9~10月に、キム女史がブラックパールインベストメントのイ・ジョンホ前代表と集中的に電話で話したという「JTBC」の報道も23日に登場した。イ前代表は株価操作の共犯として有罪判決を受け、海兵隊員殉職事件でイム・ソングン前師団長のためにロビーをした疑惑の当事者でもある。
このように疑惑は雪だるま式に増えているにもかかわらず、大統領室は沈黙し、誠意のない釈明を並べるばかりだ。疑惑の一つ一つが深刻な国政壟断と犯罪疑惑に向かっている。徹底した真相究明と相応の措置なしには見過ごせない状況だ。