韓国最高裁(大法院)は、同性配偶者の健康保険被扶養者の資格を認めないことは、明白に性的指向による差別だとする判決を下した。同性カップルだという理由で、誰でも最小限の人間らしい生活を保証される社会保障制度から排除するのは、憲法的権利を差別する行為だということだ。性的マイノリティに対する差別を当然視する社会に警鐘を鳴らす判決だ。
最高裁の全員合議体は18日、同性配偶者をめぐり、ソ・ソンウクさんが国民健康保険公団を相手取って起こした保険料関連の訴訟で、そのような判決を下した。ソさんは、健康保険の職場加入者である配偶者の職場に被扶養者として登録すると、健保公団がソさんの被扶養者資格を取り消し、地域加入者に変更して保険料を請求したため、訴訟を提起した。一審は健保公団の主張を認めたが、二審は「性別が同じだという理由で被扶養者の資格を認めないことは、平等の原則に反する差別に該当する」として、原告勝訴の判決を下した。実質的な婚姻生活を送る同性カップルも、異性カップルと本質的に同一だとする趣旨だ。最高裁は二審判決より一歩踏み込み、社会保障制度での差別がいかに危険なのかを指摘した。国民の基本権を保護する社会保障制度における性的指向を理由とした差別は、「人間の尊厳と価値、幸福追求権、私生活の自由、法の下での平等な権利を侵害する差別行為であり、その侵害の程度も大きい」とした。「男女間の結合」を意味する民法上の事実婚とは違い、社会保障制度における事実婚は、個人の権利を最大限保障する方向で解釈されなければならないという趣旨だ。
今回の判決は、17年間にわたり国会で認められずにいる差別禁止法の必要性を後押しするものだ。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権期の2006年、第17代国会で初めて発議されて以降、立法がたびたび試みられたが、保守的なキリスト教団体などに阻まれ、挫折し続けていた。前国会でも、正義党のチャン・ヘヨン議員が2020年6月に発議したが廃案となった。同性愛に対する誤った認識と根拠のない偏見が原因だ。私たちは誰でもマイノリティになる可能性がある。マイノリティになるということは、マジョリティとは違うということにすぎず、それ自体は間違っても誤ってもいない。多数決の原則が支配する社会であるほど、マイノリティの権利を保護するための努力が必要だ。今回の判決は、同性愛者に限らず、すべてのマイノリティに対する差別禁止が社会全体に広がるきっかけにならなければならない。